クリエイティブ分野では今も根強い人気──19インチSXGA液晶ディスプレイ「FlexScan L797」レビュー(3/3 ページ)

» 2005年12月22日 18時00分 公開
[林利明(リアクション),ITmedia]
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滑らかな階調性と色変化が少ない視野角性能がウリ

 L797の画質は、S-IPS方式らしい落ち着いた雰囲気だ。内部10ビットガンマ補正を備えているため、階調も滑らかに表示される。黒から白のグラデーションでチェックしてみたところ、同じくS-IPS方式の液晶パネルを採用した上位モデルのL997よりは、階調の滑らかさで若干劣る印象を受けた(L997も10ビット内部ガンマ補正だが、演算精度は14ビットに高精度化されている)。とはいっても、これは高いレベルでの話で、TN系やVA系の液晶パネルを採用した普及クラスの製品よりは、ずっと高精度だ。

 視野角による色変化と輝度変化が少ないことも、S-IPS方式の大きなメリットだ。画面サイズと解像度が小さいこともあって、画面中央から約50センチの位置に正対して眺めたときに、全体がほぼ同じ色調と輝度で見える。

 ハイコントラスト比の液晶ディスプレイ(1000:1など)は画面内の「白(最大輝度)」と「黒(最小輝度)」の輝度比が高いため、局所的に見れば微妙な階調差を判別しやすい。しかし、実際に細かい「色」の作業をするときは、局所的な階調表現力よりも画面全体での色と輝度の均一性が高いほうが快適だ。

 動画性能については、高速応答&オーバードライブ搭載の製品には及ばず、どうしても輪郭部分のシャープさで負ける。とはいうものの、動画性能の評価は個人差が大きいところだが、普通に映像コンテンツを鑑賞するぶんには、大きな不満は感じないと思う。アクション系のゲームについては、それこそ求める表示性能が千差万別なので、一概には言えない。L797は静止画の表示品質こそが長所なので、動画性能をシビアに論じるのは的外れだろう。

高価ではあるが、用途次第でお買い得

 繰り返しになるが、L797はS-IPS方式ならではといえる静止画の表示品質が強みだ。解像度がSXGAと少し物足りないとはいえ、今や希少種となってしまったS-IPS方式の貴重な1台という点も、製品価値を高めている。画面の回転機能やSXGA以下を表示するときの3種類の拡大モード、2系統デジタル入力などにも、魅力を感じる人が多いだろう。19インチSXGAとしてはかなり高価だが(EIZOダイレクト価格:12万8000円)、機能と性能を考えれば、クリエイティブ分野で支持されるのも頷ける。

 上位モデルであるL997のEIZOダイレクト価格は17万8000円なので、L797とL997とは5万円の価格差がある。S-IPS方式ならではの表示品質を低コストで手に入れたい個人や企業におすすめしたい。

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提供:株式会社 ナナオ
制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2005年3月31日