「FlexScan M1950-R」は、シャープな映像と臨場感あるサウンドで定評あった19インチSXGA液晶ディスプレイ「FlexScan M190」の後継となる主力モデルだ。オーバードライブ回路による高速応答と高音質なサラウンドスピーカーを受け継ぎつつ、基本スペックが底上げされている。
ナナオが2004年11月に発表した19インチSXGAの「FlexScan M190」(以下、M190)と17インチSXGAの「同M170」(以下、M170)は、PC用の液晶ディスプレイではいち早く中間階調の応答速度を改善するオーバードライブ回路を搭載し、動画の表示性能を高めた製品だった。また、SRC Labs社の「SRS WOW」というサラウンド技術を採用したスピーカーも搭載しており、それまでの製品と比べて音質面の向上も著しかった。
今回紹介する「FlexScan M1950-R」(以下、M1950-R)は、M190の後継モデルとなる。基本的なところは過去に掲載したM190/M170のレビュー記事で詳しく解説しているので、そちらも参照していただきたい。
M1950-Rは、M190のマイナーチェンジモデルと考えてよい。輝度と応答速度の向上、RoHS指令への対応などがおもな変更点だ。型番末尾の「R」は、PCリサイクルマークが付いた製品であることを意味する。リサイクル料金が製品価格に含まれているため、廃棄するときに追加負担が発生しない。
RoHS指令の正式名称は「Restriction of the Use of CertainHazardous Substances in Electrical and Electronic Equipment指令」と言う。EU(欧州連合)が2006年7月より施行を決定している、特定有害物質の使用制限指令だ。簡単にいうと、電気/電子機器において、(1)鉛、(2)カドミウム、(3)水銀、(4)六価クロム、(5)ポリ臭化ビフェニール、(6)ポリ臭化ジフェニルエーテル──という6種類の有害物質の使用量を制限し、一定量以上が含まれた製品はEU全域で販売できない。RoHS指令を満たさない製品を販売すると、罰則も適用される。ナナオの液晶ディスプレイは欧州でも高いシェアを持っているため、RoHS指令への対応は必然といえる。
M1950-RはVA系の液晶パネルを採用し、表面処理はノングレア(非光沢)だ。輝度はM190の250カンデラ/平方メートルから280カンデラ/平方メートルへと向上した。中間階調の応答速度も、12msから8msへと高速化されている。「黒→白→黒」の応答速度は16msで、これは従来と変わらない。コントラスト比も従来と同じ1000:1だ。パネル解像度はSXGA(1280×1024ドット)で、SXGAより低い解像度はフルスクリーン拡大される。上位モデルのように、アスペクト比を保持した拡大表示や、実ドット表示はできない。
上記以外は、本体デザインを含めて従来モデルのM190と同じと考えてよい。PC入力インタフェースは、デジタル接続のDVI-D 24ピンとアナログ接続のD-Sub 15ピンの2系統。スタンドは、チルトとスイーベル、高さ調整が可能なArcSwing 2だ。正面に向かって左側面にはUSB2.0×2があり、USBキーボードやUSBメモリなどを接続できる。
画面表示関連の機能もM190と同じだ。C-Booster機能は、画面に表示されている映像の階調特性を解析してメリハリのある映像に最適化する。例えば暗いシーンが続く映画などでC-Boosterを利用すると、明るい部分はさらに明るくなるように階調の幅を広げてコントラストを最適化するため、微妙な暗部の差も視認できるようになる。
外光の明るさに合わせて画面の輝度を適切なレベルに自動調整するBrightRegulator機能も搭載している。周囲の温度や時間経過による輝度の変化を補正する同社独自の自動調光機能と組み合わせて使用することで、常に安定した画面表示品質が得られるという。
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提供:株式会社 ナナオ
制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2006年3月31日