オフィスに不可欠なツールとして、ドキュメントスキャナが急速に普及している。PCを始めとするハードウェアの進化やPDFの普及などがその背景にあるが、スキャナソフトの機能向上も見逃せない。キヤノン製スキャンユーティリティ「CapturePerfect」を切り口に、ドキュメントスキャナの“今”を追った。
ここ数年、北米でドキュメントスキャナが急速に普及しているという。その勢いは、一時のレーザープリンタを見ているようだと話す関係者もいるほどだ。高速に文書を電子データとして取り込むことに特化したドキュメントスキャナは、今やプリンタと対をなすオフィスには不可欠なツールとなりつつある。
では、なぜドキュメントスキャナの出荷が急伸しているのだろう。その背景を見てみると、今後は日本でもドキュメントスキャナの活用価値が高まってくることが容易に想像できる。電子文書が増加しつつも、紙の文書も残る現在のオフィス環境においては、ドキュメントスキャナはあらゆる種類の情報を円滑に流すための潤滑油のようなものだからだ。
古くからコンピュータを活用しているユーザーならば、今から10年以上前、やっとWindowsが世の中で使われ始めた頃、ドキュメントスキャナと呼ばれる文書読み取り専用のスキャナが存在したことをご存じだろう。
資料や伝票などを読み取り、データベースで電子的に文書を管理するという考え方は、ずっと以前から存在した。しかし10年前、このコンセプトは一部のユーザー以外にはあまり受け入れられなかった。理由はいくつかある。
まず、ドキュメントを管理する標準的な手法が確立されておらず、読み取った文書の検索性も高いとは言えなかった。加えて膨大な文書をイメージデータとして管理するには、当時のストレージ単価は高すぎたとも言える。こうした環境の問題に加え、スキャナ自身のコストパフォーマンスにも問題があったと言わざるを得ない。
しかし現在、状況は全く変化している。
数百MバイトのPC用ハードディスクは現在、数百Gバイト、すなわち1000倍にも容量が増加した。加えてPDFの普及や機能強化によって、文書を電子的に管理するための標準フォーマットや、それらを検索・活用するためのツール群もあふれるほどに増加している。PCのパフォーマンス向上によりOCRの精度が向上し、メモリ容量の増加が高解像度かつ大量の文書をクライアントPC上で軽々とハンドリング可能にした。
もちろんスキャナ自身の使い勝手も向上した。原稿の高速な自動両面読み取り機能などは、ごく当たり前の機能として実装。スキャン速度も劇的に高速化されている。
こうした技術の進歩が、紙文書を電子化してファイリングする、あるいは紙の伝票とコンピュータによるワークフロー、業務支援などのシステムを連動させるアプリケーション開発を、実に容易にしてしまったのである。
北米におけるドキュメントスキャナの急速な伸びも、それらを背景にドキュメントスキャナが実用的になってきたのが理由だろう。そしてこの流れは、そのまま日本にもやってきている。
市場の伸びは、ユーザーにとっても、ハードウェアのコストダウンに加え、付随するソフトウェア環境の整備という面でも恩恵をもたらしている。そして、ドキュメントスキャナを活用したアプリケーションを開発するためのツールもまた、大きな進化を遂げているのだ。
では、PCのパフォーマンスが向上し、ソフトウェア技術も進歩し、スキャナの技術も進化した現在、ドキュメントスキャナは我々にどのような恩恵をもたらし、中核となるオフィスのワークフローに変化を与えてくれるのだろうか?
その端的な例として、キヤノンのドキュメントスキャナ「DR-5010C」を例に取り上げながら見ていくことにしたい。
DR-5010CはA3対応で、カラー/モノクロともに毎分50枚(A4縦200dpi・両面)ものを文書を読み取れる中速クラスのドキュメントスキャナである。そのハードウェアの信頼性は高く、原稿をざっくりとセットすれば、ミスなく大量の文書を次々に読み取っていく(詳細は「DR-5010C」製品情報ページを参照)。
しかし、ここでの主役はソフトウェアだ。「CapturePerfect」と名付けられた専用のユーティリティが、文書の電子化を包括的にサポートしてくれるのである。さらに詳細は後述するが、キヤノンから提供されているソフトウェア開発キットを用いることで、CapturePerfectで利用可能な機能のほとんどを、自社の業務システムの中へと簡単に組み込むことが可能となる。
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提供:キヤノンマーケティングジャパン 株式会社
制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2006年6月9日