ほぼ無音、割り切った構成が潔い超小型ファンレスPC――イーレッツ「Be Silent MS6000」(2/2 ページ)
イーレッツ「Be Silent MS6000」は、マザーボードにminiITX規格のEPIA-ME6000、CPUにファンレス仕様のEden/600MHzを採用する、完全ファンレスの超小型ベアボーンキットだ。600MHzと聞くと「え? それだけ?」と多くの読者は思うかもしれない。そんなBe Silent MS6000は、どのような用途で活用できるだろうか。
Be Silent MS6000で遊んでみる
さて、Be Silent MS6000はおそらく、常時起動するメディア・ファイルサーバーとして最も多く活用されると思われる。
今回は、
- HDDにメディアファイルをコピー、LAN内ファイル共有設定を行う
- S-VideoないしRCAケーブルを用いて、TVと接続
- ステレオ端子−RCA変換音声ケーブルを用いてAVアンプに接続
- TVチューナー付きビデオキャプチャーカード(NEC SmartVision)用のリモコンキットでリモコン操作
- Be Silentをオーディオ機器風にしてAVラックに並べる
という方法で遊んでみた。
LAN内ファイル共有については、Windows同士であれば特に気にすることはないだろう。共有したいメディアファイルが入っているフォルダの共有設定をしておけば、LAN内の他PCよりアクセスできる。起動さえしてしまえば、最低限接続しなければならないケーブルは、LANとACアダプタのみ。キーボードやマウス、ディスプレイなどは接続する必要もない。
EPIA-ME6000には、外部S-VideoおよびRCA出力が標準でサポートされており、TVへの出力が可能となっている。BIOSの「Advanced Chipset Features」にてTV Typeを[CRT+TV]としておけば、BIOS表示よりTV出力もできる。ただし画質はさほどよくないうえ、付属ユーティリティ上からオーバースキャンや画面位置調整ができないので、あくまで“表示できる”レベルだ。
次は、AVアンプ経由で接続し、据え置きMP3プレーヤーとして活用してみる。ステレオ端子−左右RCA変換音声ケーブルを使って接続するわけだが、これに限っては操作部をTVに出力したWindows画面に頼ることになるため、やはり使い勝手はよくない。音もまあそれなりだ。そこでちょっとした悪あがきとして、TVチューナー付きビデオキャプチャーカード、NEC「SmartVision Pro EX」付属のUSBリモコンキットを用いてみた。
このリモコンは、TV視聴/録画操作のほかに、マウスカーソル・スクロール操作機能、音量調整が行える。音量調整の際には、オンスクリーン表示で音量バーが表示されるので、いささか使い勝手は向上したような気がする。ただし音量調整は、AVアンプのリモコンで行うほうがきめ細かくできることに、当然だが気が付いた。
MSI「MEGA 180」(レビュー参照)のように、AV機能のための操作スイッチやインジケータが盛り込まれているのであればよいが、民生CDプレーヤーのような使い方を期待するのはやはりちょっと無理があった。
なお、外部IDEポート接続にてDVDドライブを接続すれば、ソフトウェアデコードによるDVD-Video再生も普通に行える。欲を言えば、ドルビーデジタル出力ができる機能と光出力端子、そしてD端子かコンポーネント端子があると、プロジェクタから大画面出力、超コンパクトなHTPCに変化させるなど、より遊べるのにとも思ったのだが、これをやるには外付け機器に頼るしかないようだ。
こうなったら見た目だけでも変えてみるしかない。Be Silent MS6000の前面にはアクリル化粧パネルが取り付けられているが、それを取り外し、ヘアライン加工がなされたステンレス風ポリカシートと0.2ミリ透明ポリカボードで“オーディオ機器風”にし、AVラック上に配置してみた。なんとなく溶け込んだ気がする。
無骨なHDDレコーダー風でもあるし、ダイヤルが付いていれば三菱電機の色差/RGBデコーダ「D-2001」のようでもあるし。もう少し落ち着いたシルバーで、何らかの液晶パネルやスイッチが配置されていればもっとしっくりきたかもしれない。なお上記加工素材は東急ハンズで各500円ほどで購入した。
ベンチマークスコアは最低レベルだが、ファイルサーバとしての役割は果たせる
さて、遊びはこれくらいにして、基本性能をベンチマークテストでチェックしてみよう。
新製品としてリリースされるコンシューマー向けPCとしては、やはり最下層レベルのスコアだ。DDR SDRAM256Mバイトと512Mバイトの2種類で試したが、スコアはそれほど変わらなかった。
ただし、ファイルサーバとして、LAN経由でのデータの記録と読み出しさえ滞りなくできれば一応の役割を果たすと考えられるわけで、HDD Scoreだけ見ればソニー「VAIO type U VGN-U50」(関連記事参照)に勝っていることからも、その部分だけは一応の基準を満たしていると思われる。
なお今回は、256MバイトDDR SDRAM、2.5インチ40GバイトHDDを搭載し、Windows XP Professional SP1インストール済みの完全キット「PC-MS6000E2-40W」を用いたが、こちらの価格は9万9750円。各パーツをバラ買いすることと比べるとやや割高かもしれない。メディアサーバのような使い方をするためには、もう少し容量の多いHDDを搭載するのが望ましいし、OSもWindowsではなく、LinuxとしSamba、WWW、メール、FTPなど家庭内サーバ化する使い方もある。
そのため、Be Silent MS6000に興味を持つユーザーの多くは、メモリ/HDD/OSなしの「PC-MS6000E」をベースに、好みのパーツをセレクトすることになるであろう。
ちなみに、ITmedia Shoppingでの最安値販売価格(2004年6月初旬現在)は、
製品 | 最安値 (2004年6月初旬現在) |
PC2100 DDR SDRAM 256Mバイト | 4130円 |
PC2100 DDR SDRAM 512Mバイト | 8240円 |
PC2100 DDR SDRAM 1Gバイト | 2万2600円 |
2.5インチHDD 20Gバイト | 7399円 |
2.5インチHDD 40Gバイト | 8649円 |
2.5インチHDD 60Gバイト | 1万1000円 |
Windows XP Professional | 3万830円 |
Windows XP HomeEdition | 2万1315円 |
となっている。
なおPC-MS6000E2-40W以外にも、OSなしの256MバイトDDR SDRAM、2.5インチ40GバイトHDD搭載「PC-MS6000E2-40」(価格:7万3290円)、512MバイトDDR SDRAM、2.5インチ80GバイトHDD搭載「PC-MS6000E5-80」(価格:9万7650円)も用意されている。
コンパクト、低電力で騒音なし。活用しだいで“遊べる”PCに
先に述べた通り、Be Silent MS6000の、PCとしてのスペックは決して高いとはいえないため、メインマシンとして使用するにはやや厳しい。
ただし、常時起動しておけるファイルサーバーとして、パラレルポートも搭載されることからプリンタサーバとして、メール/Webチェックをするためのセカンドマシンとして、LinuxなどWindows以外のOSを用いた家庭内サーバーとしてなど「コンパクト、低電力で騒音なし」という特徴を活かした使い方が多々想像できるのも事実だ。その活用方法を見出せるユーザーであれば、さぞや楽しく役立つマシンとなってくれるであろう。
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