SLIに対応したnForce 4シリーズ発表──グラフィックス機能は内蔵せず
NVIDIAは新しいAMDプラットフォーム向けチップセット「nForce4」を発表した。NVIDIAが提唱しているマルチGPU技術「NVIDIA SLI」や転送レート3Gビット/秒の新世代Serial ATAへの対応など、これから登場する新技術をカバーするのが特徴だ。
nForce4は従来の「nForce3」と同じく、AMD64向けのノースブリッジとサウスブリッジを統合したワンチップ構成チップセット。現在インテルが積極的に推進しているPCI Expressにも対応する。
ユーザーの中にはnForce2のように強力なグラフィックスコアを内蔵した統合型チップセットを期待する声も多いが、残念ながらnForce3同様、nForce4でもグラフィックスコアは内蔵されていない。
NVIDIAは以下の4項目をnForce4のアドバンテージとしてアピールしている。
- NVIDIA SLIへの対応
- ハードウェアで最適化されたセキュリティ
- Serial ATA 3Gビット/秒への対応
- パフォーマンスチューニングソフトの添付
NVIDIA SLIは複数のPCI Express対応グラフィックスカードを一枚のマザーボードに組み込んで、一つの画面の描画演算を、負荷が均等になるように分散して処理することで、パフォーマンスを向上させる技術。
すでにNVIDIAは動作デモを世界各地で行っているが、SLIを利用するにはマザーボードも対応する必要がある。しかも、現在、PCI Express スロットを複数用意しているマザーボードはワークステーション向けのハイエンドマザーしかなかったため、実際にどれだけ普及するか疑問視する声も多かった。
AMD64向けプラットフォームで主流であるnForceシリーズがNVIDIA SLIに対応することで、NVIDIA SLIがコンシューマ市場で立ち上がるステップの一つがクリアされそうだ。
nForce 4でサポートされるのは2枚のSLI対応グラフィックスカードによるSLI。NVIDIAの資料では、GeForce 6600で構成したSLIシステムは「Standard Powerで動作」するらしいが、GeForce 6800で構成した場合は500ワットのパワーが必要としている
NVIDIAが3.0Gビット/秒のSerial ATAサポートとともにアピールするストレージ系スペックの「NVIDIA Dual Controller Architecture」 NVIDIAは、ストレージデバイスの転送レートが従来の2倍になると説明している
パフォーマンスのチューニングユーティリティは「nTune」と呼ばれるもので、「ゲームユーザーに適したパフォーマンス重視用途」「DVD再生に向いた静音性能重視用途」といった目的に合わせて、PCの設定を最適化してくれる機能を持つ。
nForce 4は3種類のモデルでラインアップが構成される。最上位モデルの「nForce4 SLI」はすべての機能をカバーするが、ミドルレンジの「nForce4 Ultra」はSLIサポートが省かれ、バリュークラスの「nForce4」では、SLI、ActiveArmor、3Gビット/秒のSerial ATAのサポートが省かれる。
nForce4のラインアップ。ハイエンドのnForce4 SLI搭載マザーの価格は200ドル弱、SLIをサポートしないnForce 4 Ultraで100〜150ドル、バリュークラスのnForce 4で80ドル以下を想定している
NVIDIAは、多くのパーツベンダーがnForce4シリーズを搭載した製品を開発中であると説明しているが、それらパーツベンダーの情報によると(製品化は未定としながらも)、nForce 4を実装したマザーボードの登場は12月から来年の1月になる見通しとしている。
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