「どうもオモロない」USBメモリ製品で計る、周辺機器メーカーの温度差:PCUPdate Weekly Access Top10
今週は、先々週よりフライング販売が開始され、ちょっとした“祭り”となったIntel 925XE関連記事が上位に、そして製品レビュー記事がほとんどを占める中で、ちょっと異色な「エレコム、ロジテック買収へ」というニュースもランクインした。ここで考えられることは――。
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今週のランキングは、Intel 925XE関連、スペシャルVAIOレビューなどが上位を占めた。しかし今回7位に入った、エレコムによるロジテック買収のニュースに関連する事柄について個人的にちょっと気になっている。
エレコムといえば、今回のロジテック買収以前に、USBメモリ製品にソースネクスト製ソフトをあらかじめインストールした状態で販売する、新たな製品戦略を発表したり(2004年10月4日の記事参照)、メモリモジュール販売事業に参入したり(2004年7月8日の記事参照)と、2004年下半期にかけて大がかりな発表を行っている。
周辺機器メーカー最大手のバッファローは4日、ディズニー柄を採用したUSBメモリ製品を発表(2004年11月4日の記事参照)、6月にはマウスやキーボードなどのサプライ品事業へ参入した(2004年6月17日の記事参照)。30代ほどでややPCを普通に使いこなしていた男性USBメモリユーザーとは違う、20歳から30歳半ばまでの女性、いわゆるF1層やその子供層といった、いままでバッファローが追い切れていなかった層を取り込むための布石と考えられる。
一方先日8日、周辺機器メーカートップグループの一つ、アイ・オー・データ機器の中期決算(2004年7月〜9月)が発表された。この内容は、純損益でマイナス7億2000万円の赤字となる厳しいものであり、その原因の一つとして、同社主力製品であるストレージ系(DVDドライブとUSBメモリ)などの価格下落が利益に大きく影響したためとした。なお同社では、10月に業界最速クラスと謳うUSBメモリ製品「EasyDisk Platinum 2」を発表している(2004年10月6日の記事参照)。
ここに何となく共通点があった。USBメモリ製品と「ファミリー/ライトユーザー層」との関係、そしてその考え方というテーマである。
周辺機器メーカーによると、USBメモリの人気商品は従来の64Mバイト程度のモデルから、256Mバイトモデルに変化しているという。ただしメモリモジュールの価格が下がったことで、売り上げ金額としては平均6000円前後とさほど変化がない。これは、ユーザーが性能を吟味しながらも、最終的には価格で判断するという事情があるのだろう。
周辺機器メーカー3社によるUSBメモリにおける付加価値の考え方は、このようになっている。
- エレコム:ソフトメーカーと提携、ソフト入りUSBメモリを発売し、量販店のサプライパーツ売り場以外の、販売チャネル拡充を図る。
- バッファロー:ファン層が広い(とくにF1層や子供層が好む)、キャラクターを製品に採用し、従来のユーザー以外の層を狙う。
- アイ・オー・データ機器:ターゲット層はさほど変えず、高速記録・読み込みタイプといった「より高性能」なものを提供する。
このようにまとめてみると、周辺機器メーカー3社における温度差が感じられてくる。
先のエレコムによる記者発表会で、同社社長葉田氏はこう述べた――「(USBメモリ事業に)単に参入するだけではオモロない」。USBメモリは仮に「オモロない」製品だと各社で考えているとするのであれば、なおさらこの温度差は興味深い。はたして2004年度末そして今後に向けて、ここにどのような価値を付加させるのが正しいのか、そしてユーザーはどの温度がちょうどよいと感じるのだろうか。
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