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「改造上等!」な中国PC雑誌事情山谷剛史の「アジアン・アイティー」(2/3 ページ)

日本で台湾のPC雑誌が紹介されることはあっても、中国のPC雑誌が紹介される機会はまだまだ少ない。大衆向け一般誌のような「中国万歳」的アジテーションにそぐわないPC雑誌には、どんな内容が掲載されているのだろうか。

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「ニセモノ対策」も重要な特集企画

 しかし、そんな過激な分解&改造記事の影響なのか、悪意ある業者によってリマークされたCPUが市場に「よく」出回るため、リマークCPUを見分ける技を紹介する記事も、これまた「よく」見かける。中国では小は電池や電源などの小物から始まって、MP3プレーヤーやPCにいたるまでニセモノが横行するので、ニセモノと本物の識別方法を紹介する記事が頻繁に掲載されることになる。


中国ではリマーク品がいろんな製品で出まくり。だから偽物判別方法もよく見る記事だ

 「ニセモノの横行」はこれまでも、この一連の連載で紹介しているように中国の大きな問題の1つ。中国のITに絡む問題といえば、まず思いつくのが著作権問題だ。数年前は、PC雑誌でもこの問題に関してかなりグレーな記事を掲載していたが、最近ではほとんど見かけなくなった(それでもROM付きのエミュレータ専門誌が存在するなど、完全NG雑誌も依然として“出版”されている)。著作権は守って当たり前、というのは大前提であるが、中国のPC雑誌のモラルが改善されてきたことはひとつの「前進」といえるのではないだろうか。

 著作権的にグレーな記事を見つけて「ドキドキ」したのは昔の話で、現在、多くのPC雑誌がこぞって取り上げている主要企画は「フリーウェア」「シェアウェア」の紹介記事だ。その記事では、中国製フリーウェアやシェアウェアだけでなく、英語ソフトから中国人にはたぶん読めない日本語ソフトまで、ワールドワイド規模で取り上げている。

 フリーウェアや安価なシェアウェアをダウンロードすることで無理なく合法に必要なソフトが得られる。海賊版ソフトへ駆り立てた状況を改善して、このような環境へPCユーザーを向かわせているのかもしれない。ただし、著作権無視の現状の報告、例えばBSAの発表などは扱わないなど、中国にとって都合の悪い記事は掲載したくないのでは、と思わせる一面もある。メディアではないが、BSAの世界の著作権侵害の現状のレポートについて、BSA中国でもニュースリリースを掲載していない。

 話を戻そう。

 中国は日本よりも過激なハードウェア志向、と先ほど紹介したが、ソフトウェアだって軽視しない。上記で書いたフリーウェアの紹介だけなく、Windowsや、オフィス用ソフトなどビジネス向け実用ソフトのテクニック紹介はもちろん、中国の一般的な所得のユーザーには買いたくても手の届かない超高価ソフト「Flash」や「Photoshop」の実践テクニックは毎号どこかで掲載されている。

 また、各開発言語によるプログラミング解説記事はハードウェア主体の雑誌でも少なからず紹介している。さらに、PC総合誌だろうがインターネット雑誌だろうが、PCゲーム攻略法やお薦めWEBサイトの紹介、ネットワークの知識や中国各地の電脳街市場の価格調査もあるなど、とにかく、どの雑誌を購入しても、そこに掲載されている情報のジャンルは実に幅広い。

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