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現地発、途上国仕様PCとは?山谷剛史の「アジアン・アイティー」(3/3 ページ)

これからのPC市場を牽引すると期待される途上国。インテルはIDF 2005 Fallで途上国市場に対し、WiMAXなどいくつかの回答を提示した。でも途上国のPC事情は実際のところはどうなっているのだろう?

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WiMAXを普及させる途上国の裏事情

 IDFで「中国やインドでのブロードバンド普及に、WiMAXが大きな役割を果たすだろう」とインテルのオッテリーニ氏は話す。途上国にはPCを金銭的に何のためらいもなく所有することができるリッチな層がいて、その対極には明日の食事のお金もなく仕事もない層がいる。万策尽きると「生きるために」犯罪に手を出さざるをえない状況が厳しい現実として存在する。そのようなとき、世界のあらゆるところで行われているのが、土を掘り起こし、地中に埋まった電話線などを引っこ抜き、鉄屑屋で売りさばくという手法だ。日本では信じられないような話だが、筆者はいろんな国で同じ話を聞いた。

 アンコールワットのあるカンボジアでは、「公衆電話=その場で携帯電話を貸し出す」というサービスもあるほど、無線が頼りのインフラとなっている(これは2003年に筆者が訪問したときの状況である)。電話線の質がひどい、という以前に、そもそも電話線がなくなっている。そんな国ではWiMAXは救世主になる。

 今まで激遅といわれ、添付ファイルをつけてメールを送ることをためらったネットワークだったが、Webサイトのレスポンスは向上し、サーバーエラーで頻繁に落ちていたチャットコミュニケーションも実用になる。ネットラジオで海外の番組も聞ける(日本ではあまり人気はないが、アジアの国々はずいぶんと需要がある)。動画が見れるまでいけば万々歳だが、そうでなくとも静止画ベースのコンテンツが見れるだけでも、カンボジアのネット事情に革命をもたらす。

 チャットやWeb閲覧だけではない。中国では、高速インターネット網ができたあと、大都会から内陸の地方まで広く公衆IP電話が普及した。このおかげで遠距離通話が非常に安くなり、地方から都会へ出てきた労働者を中心に広く利用されている。WiMAXであれなんであれ、激遅でないインターネットが普及すれば、IP電話のようにネットインフラ整備のメリットがユーザーにもたらされる。WiMAXのような高速無線通信技術は、国によっては通信を利用するすべてのユーザーの生活を変える礎にもなりうるのだ。


カンボジアの公衆携帯電話


「激遅っ!」といわれたカンボジア・シェムリアップのネットカフェ
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