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中国の金型産業の強さとその裏側(後編)山谷剛史の「アジアン・アイティー」(3/3 ページ)

前回は、日本の金型産業が抱える構造的な問題と、その問題に業界全体で立ち向かう「町工場同士の連携」と、その1つの具体的な形である「金型熱血集団JAM」を紹介した。今回はそのメンバーである「並木金型」並木正夫氏が分析する中国金型産業の「真実」を紹介しよう。

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「Made in JAPAN」の未来は明るいか?

 多くの日本の大手メーカーや金型企業が中国に進出した結果、いろいろと痛い経験も積んだ。そんな状況下、最近になって、メーカーや行政は対策を講じはじめている。

 大手メーカーは、金型技術者の自社への取り込みを始めている。キヤノンでは、同社生産技術部門であるキヤノン金型技術センターで金型技術者の求人を行っているほか、少し前には中堅の金型企業を買収した。製品の上位機種の生産を外国で行わず、日本だけで金型を含めた生産ができるようになったという。

 下位機種や普及機種では、まだ中国などで作るものの、最新の技術を搭載した上位機種は国内内製化を進めているそうだ。大手メーカーの囲い込みで、金型業界の再編が行われかもしれない。

 金型企業は、中国から徐々にベトナムに海外工場を移しつつある。中国の半分の人件費、人材が熱心で、教育水準が高く転職が少ない。そして、関税が不安定な中国と比べればベトナムは安定している。これらがベトナム移転を進める理由である。

 金型工場など多くの町工場を抱える地域の行政も企業の支援環境を整えている。大田区にある大田区産業振興協会では、工場と住居が一体化した「工場アパート」の提供や、国内外の展示会の出展、CAD/CAMの講習会など中小企業の情報化支援、知的財産の相談などを行い、中小企業を中心にサポートを行っている。

 他の国には真似できぬ「無敵のMade in JAPAN」が復権するのか? 「Made in JAPAN」の信頼は今後数十年続くのか? 金型産業の将来がすべての鍵を握っている。


削りだされた金型は精度を出すために平面研磨機にかけられる


以上の工程を経て完成した金型


大田区最大の工場アパート「テクノWING」
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