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「トータルバランスNo.1」の複合機――PIXUS MP500(2/2 ページ)

複合機の売れ筋モデルが徐々に固まってきた中で、キヤノンの「PIXUS MP500」が上位に食い込んできた。出足では上位モデルに隠れて目立たなかったが、実売で2万円強という価格は、やはり訴求力がある。印刷品質で上位モデルに負けていない点にも注目だ。

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写真印刷の画質はPIXUS MP800と同等

 写真印刷の画質は、MP800と同等と考えてよい。今回は50種類くらいの画像を印刷して比較してみたが、目立った違いがないというよりも、すべて同じに見えた。ハイコントラストで色ノリがよく、安定して見栄えのよい出力が得られる。画像によっては、もう少し中間調が明るいとより好ましく感じる場合もあったが、これは見る人しだいで評価が変わるところだ。

 階調表現も優れており、明暗差の大きいグラデーション(人物の首筋など)でも、粒状感を巧みに目立たなくしている。相対的に見れば、低濃度インクを含めた6色印刷のMP950が上回るのだが、MP500のクオリティに不満を感じる人は少ないと思う。印刷したL判写真を、ごく普通のアルバムに入れて鑑賞してみると、MP950とMP500の品質差はさらに目立たなくなる。

 反射原稿のスキャン画質にも、特に問題はない。ハイコントラストと高彩度な傾向はあるものの、不自然さを感じずに、見栄えするところでバランスが取れている。

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PCから最高画質の「品位1」で出力。中間調に深みがあり、やや重厚な発色だ。作例のようなゴチャゴチャした画像だと、粒状感はまったく気にならない。
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肌色はもう少し明るくてもよかった。人物のアゴから首筋にかけては粒状感が見えやすい部分だが、4色印刷の割にはほとんど目立たない。

機能を取るか、価格を取るか

 MP500を検討するときは、上位モデルとの機能差を重視したい。冒頭で述べたように、比較的大きな違いは、フィルムスキャンとCD/DVDレーベルコピー/ダイレクト印刷が省かれていることだ。フィルムスキャンはどうしようもないが、CD/DVDレーベル印刷はPCからなら可能なので、カバーできる部分ではある。

 コピーとメモリカードダイレクト印刷は上位モデルとほぼ変わらぬ機能を備えており、省略された機能は付加的なものだ。印刷速度は若干遅いが、印刷品質がMP800と同レベルなのも1つのポイントである。マルチペーパーハンドリングによる高い使い勝手、顔料Bkインクによる高品質な普通紙文字印刷も含めて、メインの使い方がコピーとメモリカードダイレクト印刷、PC印刷で、さらに低価格を求めるユーザーに最適だ。こうしてみると、キヤノンが「トータルバランスNo.1」というのもうなずける。

速度比較

 動作速度は、MP950、MP800、MP500を同列に並べた。印刷速度で全体的にMP500が遅いのは、上位モデルと比べて印刷ヘッドのノズル数が少ないことが大きな要因だ。

  • A4普通紙コピー
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デフォルトの画質モードは「標準」。画質的にも速度的にも「標準」モードが最適で、上位モデルとの速度差も小さい。
  • メモリカードダイレクトプリント
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本体のスタートボタンを押してから排紙までの時間で、メモリカードのリード時間とデータの処理時間を含む。MP500は、印刷中も「ちょっと遅いな」と感じる。
  • PCプリント
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紙送り開始から排紙までの時間。L判フチなしは純正の「プロフェッショナルフォトペーパー」、はがきフチなしは「インクジェット官製はがき」を使った。L判写真印刷はノズル数が少ないMP500が不利。はがき印刷でMP950より高速なのは、MP950が6色印刷である点と、用紙に合わせた細かいチューニングによるものだろう。
  • PCスキャン(反射原稿)
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全面プレビューとA4の原稿は、キヤノンインクジェットプリンタ総合カタログ(2005年9月版)の表紙。全面プレビューはCCDリターンまでの時間だ。MP500のイメージセンサはCISなので、CCD搭載の上位モデルより速度が落ちる(CISよりもCCDのほうが高速化しやすい)。といっても、実用上はそれほど不便には感じないスピードだ。
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