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スリムノートPCがほしいのだ! 工人舎の挑戦─ APERA SSレビュー(2/2 ページ)

2005年12月、ヨドバシカメラの店頭に濃紺の天面が映える最薄部18.6ミリ、重量約1.2キロのスリムノートPCが出現した。工人舎が放つ、その名はAPERA SSという。

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スリムボディは魅力なのだが…

 一般的に、薄型のノートPCでは内部のスペースが狭く、大がかりな冷却システムを導入できない。それゆえ、小型で薄い冷却ファンを高速で回転させるために耳障りな風切り音が発生しがちだ。本機も例外ではなく、直径3センチほどの小型なファンが内蔵されている。

 試しに、複数のベンチマークテストを動作させて高い負荷をかけたところ、ファンの風切り音よりも、負荷に応じてファンの回転数が切り替わるのが気になった。加えて、1.8インチのHDDがあるパームレスト左側と、CPUなどが配置されている底面右側の熱が40度を超えた。いうまでもなく、Webのブラウジングやメールのやりとりをする程度ではここまで熱くならず、ファンの回転数も一定に保たれるが、長時間使用しているとパームレストの左右で温度差が徐々に広がる傾向にあった。

 ちなみに、本機ではCPUに超低電圧版のPentium M 733(1.10GHz)を、チップセットに2世代前のIntel 855GMEを、HDDには1.8インチのドライブ(容量は40Gバイト)を搭載し、システム全体で消費電力の低減を図っている。また、CPUやチップセットの熱をボディ全体に逃がしているのだが、やはりスリムボディゆえに自ずと限界があるようだ。


メモリスロットや1.8インチHDDには底面から簡単にアクセスできる。本機のメモリースロットは1基で、出荷時に256Mバイトのモジュールが装着されている。オンボードの256Mバイトとあわせて、標準で512Mバイトのメモリを実装する半面、空きスロットはない。HDDを外部の衝撃から守るべく、周囲がラバーで覆われている。

拡張性はほどほどだが配置は良好

 拡張性に目を向けると、薄型ゆえコネクタ数はそれほど多くないが、配置はよく考えられている。ケーブルを接続する必要があるアナログRGBや有線LAN、FAXモデムは邪魔にならない背面にまとめられ、そのほかの端子を左右に分散させた格好だ。SDメモリカードスロットを左側中央に備え、デジカメなどのデータを容易にやりとりできるのも重宝する。もっとも、USB端子は両側面に用意してほしかった。


前面中央に液晶パネルの開閉ラッチと赤外線ポートが並ぶ。背面には左からDC端子、FAXモデム、有線LAN(100BASE-TX/10BASE-T)、USB 2.0×2、アナログRGB端子が用意されている。

SDメモリカードスロットやサウンド、USB 2.0の各端子が左側面に、TypeIIのPCカードスロットが右側面にある。マウスを接続する場合は、左利きの人を除いてケーブルの取り回しに苦労しそうだ。

新たな選択肢として要注目。今後の動きも期待

 本機をいろいろな角度から見てきたが、軽量・スリムPCの新たな選択肢として、気になる存在となるのは間違いない。今回は試作機のためテストはできなかったが、バッテリーの駆動時間は標準で約2.4時間、底面に取り付けるセカンドバッテリーを併用することで、重量が約1.2キロから1.8キロに増えるのと引き替えに、約7.5時間の駆動が可能になる。

 直接のライバルとなるであろう東芝のdynabook SS SXシリーズに比べ、ハードウェアのスペックやボディの薄さではまだまだかなわないが、工人舎の直販価格で16万9800円と、dynabook SS SXよりも5万円以上も安く手に入るのは魅力だ。

 昨今、1スピンドルの軽量ノートPCは、バッテリーの駆動時間や耐何キロといった堅牢性にばかりスポットが当たる傾向にある。もちろん、これらの要素も大事だが、スタイリッシュでカバンへの収まりがよいスリムなPCが、世の中にもっとあっていい。新ブランドAPERAの歩みはまだ端緒についたばかりだが、その試みには大いに期待したいところだ。

 なお、同社によれば、今後はメモリの増設サービスや、カラーバリエーションモデルの投入なども検討しているとのこと。可能であれば、まずはヨドバシカメラの店頭で実機に触れ、工人舎の心意気に触れてみてはいかがだろうか。

*** 一部省略されたコンテンツがあります。PC版でご覧ください。 ***

※パーツの型番は評価機に搭載されていたもので、製品では異なる場合があります



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