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「Carriers at War」でYAMATOは沖縄の海に逝く勝手に連載!レトロ“PC”ゲームが好きじゃー(3/5 ページ)

信長でもない、大戦略でもない。己の本能のまま「海外ウォーゲーム」の話を続ける超私的連載。ついに「これをやるために私はPCを始めました」といってもいい伝説のタイトルが登場する。これぞ空母戦「PC」ウォーゲームといわれる所以はどこにあるのか?

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 索敵の処理もCarriers at WarとCARRIER STRIKEのコンセプトの違いをよく示してくれる。 CARRIER STRIKEでは「索敵任務」に振り向ける機数と「索敵中心の方位」で決まる「扇形」の向き(索敵機1機あたり10度。18機割り当てれば180度の半円状のエリアが索敵できる。CARRIER STRIKEはマップに“ヘクス”を使っていたが、航空機の針路は「方位」で指定できた)をゲーマーが指定するが、Carriers at Warでは「索敵する方向」(8方位単位)を指定するだけ。あとは、PCが担当する司令部幕僚が索敵機を割り当てて発進してくれる。


敵艦隊を発見すると艦種、針路、速度が報告される。しかし、この報告は天候や索敵機搭乗員の熟練度によって「空母と思ったら油送艦で、しかも方位を間違えた」というようにその精度は変わる。索敵機からは繰り返し敵情報告が入ってくるが、その内容は「敵ラシキモノ見ユ」だった艦隊が次の索敵報告で「敵ハ後方ニ空母ヲトモナウ」となるように、時間とともに変化する

 航空機の作戦指揮でできることを比較すると、細かいところまで介入できたCARRIER STRIKEと異なり、Carriers at Warは「艦隊司令官」のそれに近い。空母部隊の指揮官(とその司令部幕僚)にとって重要なのは、敵が潜在すると思われる海域(すなわち索敵するエリア)の判断と、攻撃隊目標と出撃時期の決断に集約される。それが決まれば、あとは腹を括って部下にすべてを任せる。それが実際の指揮官であり、そしてCarriers at Warはそういった運用を取り入れた操作体系になっている。


艦隊の運用もシナリオで設定された部隊単位で行うことになる。向かいたい海域を設定して自由に行動させることもできるが、部隊ごとに「敵艦隊」「敵基地」「友軍基地」といった目標や「本隊前衛」「本隊支援」といった任務を与えて行動させるほうが効率的で、かつ、作戦を整然と進行できる

 「プレイヤーの立場は艦隊の指揮官」であるCarriers at Warでは水上戦闘の指揮も限定的ながらできる。ここも航空作戦を重視したCARRIER STRIKEの水上戦闘が完全に自動で処理されるのと異なるところだ。

 ただし、Carriers at Warの水上戦闘は、艦隊の主隊、前衛、後衛(場合によって空母や輸送船団などの非水上戦闘に適さない集団)ごとに「突撃か退避か」「砲撃か雷撃か」「主隊を狙うか護衛を駆逐するか」といった大まかな指揮しか行えない。

 「Great Naval Battles」「TASKFORCE 1942」などの戦術級のような臨場感あふれる精密な水上戦闘を期待すると「こ、こんな大雑把でいいのですか」と思われそうだが、艦長でもなく砲術長でもない、中将少将といった提督が水上戦闘でできることはそう多くはない。「ゲームデザインにおける詳細と省略のバランス」という観点でいえば、海軍作戦全般を扱うCarriers at Warの水上戦闘ルールは優れている。


Carriers at Warの水上戦闘ルールは「彼我の相対距離」「主隊と護衛隊ごとの砲撃雷撃目標」を指定するだけのシンプルな構成だが、「艦隊司令官の水上戦闘に関わる命令」のツボは十分押さえている

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