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きょうは「Quad SLI」のパワーと消費電力を垣間見たグラフィックスカード(2/3 ページ)

1月に発表されたQuad SLIがようやく日本のユーザーの手に。4発のGeForce 7900級GPUが叩き出すパワーを思い知れっ。

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Quad SLIの真価はFuturemarkにあらず

 このように動作クロックを抑えたGeForce 7900クラスのGPUを4つ組み合わせたQuad SLIのパフォーマンスはいかほどのものだろうか。グラフィックスカードのみのリテール出荷が今のところ予定されていないGeForce 7900 GX2であるため、今回の評価用機材はMCJのQuad SLI搭載PC「MASTERPIECE F8500A-QS」を利用した。F8500A-QSの主要スペックは下の表のようになる。

ベンチマークシステム環境(MCJ MASTERPIECE F8500A-QS)
CPUAthlon 64 FX-60
マザーボードMSI MS-7220(nForce 4 SLI X16)
メモリPC3200/1GB×2ch
HDDWD1500ADFD(150GB×2、1万rpm、RAID 0)
OSWindows XP Professional(日本語版) +SP2

 スペック表には出てこないが、F8500A-QSのマザーボードとグラフィックスカードはMSIから供給を受けたパーツを採用している(同時期に出荷されるドスパラのQuad SLI搭載PC「Prime A Galleria64 Quad-SLI」はASUSのパーツを使っている)。ITmediaのグラフィックスカードレビューで使っているテスト機材の構成と異なるため、比較用のGeForce 7900 GTXによるNVIDIA SLI構成のベンチマークテストもF8500A-QSを使いグラフィックスカードを差し替えて測定した。評価作業では英語版のWindows XP Professional SP2を再インストールしているが、その過程でF8500A-QSのRAID 0構成を解放して150GバイトのHDD1台の構成にしている。そのため、今回示しているベンチマークの結果はF8500A-QSそのもののパフォーマンスを示しているわけではないので注意していただきたい。

 なお、Quad SLIにおけるグラフックスドライバはNVIDIAから評価用として提供を受けた「ForceWare 87.25」を適用している。実際の製品で使うようになるForceWareのバージョンがどのようになるかについてNVIDIAは明確にしていないが、その完成度とともに「評価用」であることを留意していただきたい。また、Force Ware 87.25はGeForce 7900 GTXを認識できなかったため、こちらはWebサイトで入手できるForce 85.21を適用している。

 NVIDIAとしては、Quad SLIの真の実力は1920×1200ドットや2560×1600ドットといった超高解像度でアンチエイリアシングや異方性フィルタリングのサンプル数を多く設定した重負荷状態で発揮すると述べている。実際、NVIDIAの資料には「1600×1200ドットの低解像度ではなく……」(!)という文言も見られるのだが、それはそれとして、普通のゲームユーザーの世界でもある1024×768ドットや1600×1200ドットの解像度でQuad SLIがどのようなパフォーマンスを発揮するのか、定番のベンチマークで測定してみた。

 なお、Quad SLIの説明については以前掲載したこの記事で紹介しているように、Quad SLIはGeForce 7900 GX2を2枚差した状態で1つのカードとして認識される。NVIDIA SLIは画面の描画を構成するGPUで分担して処理することになるが、Quad SLIでは1枚の絵を同じ負荷になるよう4分割する「4-SFR」、4枚のフレームを1枚ずつ手分けする「4-way AFR」、2枚のフレームを手分けして、さらに1枚のフレームを同じ負荷になるように分割する「AFR of SFR」といった3種類のSLIレンダリングモードが用意されている。

 ForceWare 78.25ではCoolbitsを有効にするとSLIレンダリング設定で上記の各モードが選択できるようになる。ただし、NVIDIAの説明によると、最もベストのパフォーマンスを発揮するSLIレンダリングモードはアプリごとに決まっていてすでにプロファイルに組み込まれているという。そのため、今回の測定ではベンチマークごとに用意されたプロファイルを適用している。このあたりの状況は製品出荷時点で変更されている可能性もある。

3DMark06(Biuld 1.0.2) Pixel Shader
3DMark06(Biuld 1.0.2) Shader関連テスト
3DMark06(Biuld 1.0.2) SM2.0 Score

3DMark05 Score
3DMark05 Pixel Shader
3DMark03 Score

3DMark03 GT1
3DMark03 GT4
Aquamark3

DOOM3(timedemo demo1)
FarCry(HardwareOC River)

 NVIDIAの資料ではQuad SLIにとって1600×1200ドットも「低解像度」という扱いになる。その低解像度の設定においてQuad SLI構成のGeForce 7900 GX2はGeForce 7900 GTXの2枚差し構成にパフォーマンスでかなわないことがベンチマークの結果は示している。

 3DMark03の3DMark Scoreで「1600×1200ドットのフィルタ設定なし」といった例外を除き、Futuremark系ベンチマークではQuad SLIの「全面降伏」といった状態になっている。この状況はFarCryでも同様だ。しかしGeForce 7900 GX2とGeForce 7900 GTXの動作クロックに隔たりがあることを思えば、それ相応の結果ともいえる。

 しかし、Futuremark系でもPixel Shader系のベンチマークは“低解像度”の条件であってもQuad SLIが優勢だ。3DMark06のPixel Shaderテストでは総じてQuad SLIが優れた結果を残している。さすがに2倍のパフォーマンスとまではいかないが1.5倍に近い値を示している。3DMark05のPixel Shaderテストは3DMark06ほど顕著ではないが、それでもフィルタ設定を無効にした状態で解像度に関係なく25〜30%の性能向上を実現している。ただし、より効果が期待できるはずのフィルタ設定を有効にした状態ではQuad SLIは2枚差し構成にかなわない。

 また、DOOM 3でも2枚差しのパフォーマンスを上回っていることに注目しておきたい。最も負荷の低い条件で2枚差しSLIを下回るものの、ほかの条件ではQuad SLIが上回っている。ただし、その差は圧倒的といえるほどではない。最も効果が確認される「1600×1200ドット」「4XAA」「8XAniso」でもその性能向上は1.5倍に届かない。

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