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Intel Macの最高峰「17インチMacBook Pro」を徹底検証――Windows機としての実力は?(1/4 ページ)

「MacBook Pro」に17インチワイド液晶モデルが加わった。本機が現時点でのIntel Mac“最高峰”であることは間違いないが、ノートPC全体から見た実力はどうなのだろうか。その性能をさまざまな角度から検証した。

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Intel Core搭載Macintoshの“最高峰”

 5月第2週、Apple Computer(以下、Apple)は17インチMacBook Pro(MA092J/A)の出荷を開始した。iMac、MacBook Pro(15.4インチ)、Mac miniに続く4つめのIntel Macである。続々とIntel Core化が進むMacだが、現時点ではまだPower Mac G5やXserveに取って代わるハイエンドデスクトップモデルは発表されていない。

 これはすなわち、今後しばらくはこの17インチMacBook ProがIntel Core搭載Macの最上位に君臨するということだ。そしてもちろん、同機はその王座に恥じない威厳と貫禄を備えたマシンとなっている。なお、Boot Campが登場し、Intel MacにWindows XPがインストールできるようになった今、本機は単にノート型Macだけでなく、WindowsノートPCとしても王座に輝く可能性がある。これについては後で詳しく検証したい。

 まずは基本スペックからおさらいしよう。CPUには、現時点でノートPC向けの最上位となるInterl Core Duo T2600(2.16GHz)を搭載する。また、グラフィックスには256MバイトのSDDR3メモリを搭載したATI MOBILITY RADEON X1600を実装。これは「15インチMacBook Pro」のコアよりも新しく高速な「Core 418.5 Memory 445.50」を採用したものだ。

 液晶ディスプレイはゆとりを感じさせる17インチワイドで、それにあわせて本体手前のパームレスト部がとてつもなく広い。それでいて外観をパっと見ただけでは「15インチ版とほとんど変わらない」と思わせるのが、Appleの工業デザインのすごいところだろう。

1680×1050ドット表示対応の液晶パネルを搭載する。フルHDのビデオを編集する際、垂直方向は30ピクセル欠けるだけなので問題ないが、水平方向は240ピクセル足りないのがちょっと残念だ(写真=左)。外観は15.4インチ版に比べそれほど変わらないように見えるが、キーボード左右にあるスピーカーグリルの大きさやトラックパッド広さが大きく違う(写真=右)

 本機のフットプリントは357(幅)×243(奥行き)ミリ――これは松下電器産業のモバイルノートPC「Let's note LIGHT R」シリーズを縦に2台並べて180度回転させたのとほぼ同じくらいの大きさだ(Let'snote LIGHT R5は229(幅)×183.5(奥行き)ミリ)。ただし本体の厚さはMacBook Proが25.9ミリ、Let's note LIGHT R5が24.2ミリとわずか1.7ミリしか違わない。さらに後者は最薄部の厚さなので、フラットなMacBook Proと並べて横から見ると、最大で15.7ミリほどMacBook Proのほうが薄い部分もある。ドカーンと大きく、それでいてスリムというのがMacBook Proの特徴だ。

 重量も3.08キロとこのクラスとしては軽い部類に入る。およそモバイル向けの重さとは言いがたいが、最近はデスクトップマシン並みの快適さを持ちながら、いざという時に持ち歩ける大型液晶搭載ハイスペックノートPCが少しづつ注目を集めている。他社製品ですぐに思い浮かぶのが、デルの「Inspiron 9400」と「XPS M1710」だ。

 これらを17インチMacBook Proと比較してみるとそのすごさが分かる。Inspiron 9400は大きさが394(幅)×288(奥行き)×41.5(高さ)ミリで重さは3.45キロ、XPS M1710は394(幅)×287(奥行き)×42.4(高さ)ミリで3.99キロとまさにヘビー級だ。容積比で見ると2倍以上、重量で1.1〜1.3倍。MacBook Proのほうが身が引き締まっている。もっとも、MacBook Proの液晶解像度は最大で1680×1050ドットのWSXGA+相当となり、この点ではフルHD(1920×1080ドット)のデル製品が体面を保っている。ただ、MacBook Pro(17インチ)の液晶は、製品名に「Pro」がつくだけあってDTPやビデオ編集のプロが使うことを想定につくられたもの。MacBook Pro15インチ同様に、色表示が正確かつムラがなく、発色も美しく視野角も非常に広いことは付け加えておきたい。

本体前面(写真=左)と背面(写真=右)。液晶パネルのサイズにあわせて幅が357ミリと大きい半面、厚さは25.9ミリしかなく、全体で見ると薄く感じる

広がった15インチ版との「差」

 続いてそのほかのスペックも見てみよう。AppleはPowerBook G4の15インチと17インチで、液晶パネルサイズ以外にCPUとHDD容量くらいしか差を付けていなかったが、どうやらMacBook Proでは明確に差を付けるようだ。

 まず光学ドライブでは2層書き込みに対応したSuperDrive(DVD+R DL/DVD±RW/CD-RW)を採用している。PowerBook G4(15/17インチ)は2層書き込みに対応していたが、MacBook Pro(15インチ)は、使える部材がないという理由で1層書き込みになっていただけに、ここは気になるポイントだった。また同様にMacBook Pro(15インチ)では、省略されたFireWire 800も、同17インチにはちゃんと搭載されている。1基のFireWire 400ポートやPCカードスロットに代わって採用されたExpressCard/34スロットは15インチ版と同じだが、USB 2.0ポートは全部で3基とこちらのほうが多い。

左側面にはMagSafe(マグネット式の電源アダプター端子)、USB 2.0×2、ライン/光デジタル音声入力、ヘッドフォン/光デジタル音声出力、ExpressCard/34スロットが並ぶ(写真=左)。右側面はUSB 2.0、FireWire 400、FireWire 800、ギガビットLAN、DVI-D(付属アダプターでVGAとしても使用可能)

 一方、液晶の上部にiSightを内蔵し、本体手前ラッチのあたりにFront Row用の赤外線リモコン受光部を、ヒンジのあたりに無線LANとBluetooth 2.0+EDRのアンテナを搭載する点は15インチ版と同じだ。

 さて、MacBook Proの15インチ版といえば、もっとも注目が集まったトピックの1つがバッテリー駆動時間だ。実はこの17インチ版では、容量10.8V 6800mAhのバッテリーを採用しており、駆動時間も公称約5.5時間と、15インチ版に比べて1時間ほど長くなっている。試しにバックライトを最低から一段階だけ上の明るさに設定し、HDDをスリープさせずにインターネットに無線LAN接続して、iTunesでインターネットラジオをかけっぱなしにしてみたところ約2時間40分ほど駆動した。家の中の好きな場所に持ち運んで使うといった場合にも十分対応できるだろう。

液晶パネルの上部にはiSightを内蔵し、iChat AVによるビデオチャットだけでなく、Photo Boothを使って簡単にプリクラ的写真を取ることができる(写真=左)。この特殊効果はかなり楽しい。リモコン操作でデジタルコンテンツ再生を楽しめるFront Row(写真=中央)。本体に負けず劣らず巨大なバッテリー(写真=右)。なお、ACアダプターは15インチ版と同じものだ
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