オフィスに置けば“獅子奮迅”――ADF標準装備でさらに使いやすくなった「PIXUS MP830」(2/2 ページ)
インクジェット複合機の利点は1台で多彩な用途に対応できることだが、各機能の使い勝手が悪いと“大きくてじゃまなプリント専用機”にもなりかねない。その用途が仕事――とくにスモールオフィスで使う場合はなおさらだ。今回はADFを標準装備することにより使い勝手を高めた「PIXUS MP830」を紹介しよう。
L判程度なら不満のないプリント
先に記したとおり、プリントエンジンはMP800と同等だ。pBk(顔料黒)、dBk(染料黒)、C、M、Yの5色インク構成ながら、1pl(ピコリットル)と5plのドロップを打ち分けることにより、粒状感の低減と階調表現力の向上を果たしている。確かにカラー印刷の品質はとても4色インクのプリンタとは思えない。さすがに黒は潰れがちにはなるが、その分メリハリがあるので、複合機の購買層には受け入れられるだろう。L判程度のサイズならば不満を感じることはないはずだ。
このクラスのインクジェット複合機に写真画質を求める人は少ないだろうが、画質がよいに越したことはない。また、テキスト出力においては顔料ブラックが用いられるため、ドラフトモードでもそれなりの品質で出力される。
ボディは緩やかなカーブを用いたデザインで、事務機器然とした印象はない。本体サイズはそれなりに大きいが、2Way給紙機構を犠牲にすることなく、このサイズを実現したのだから文句の出ようはずがない。名刺やカードサイズ、シールはASFだけの対応になるが、使用頻度の低いサイズなので問題ないだろう。ちなみにSOHO用途で使う場合は給紙容量も気になるところだが、ロワーカセット、ASFともに150枚の容量を誇り、(インク代を考えなければ)最大で300枚もの連続印刷が行える。
このようにPIXUS MP830は、給紙容量の大きさと2Way給紙、ADFによる作業の効率化など、パーソナルクラスの製品とは思えないほど贅沢な設計になっている。実売で4万6000円前後とMP800に比べると1万円以上高いが、仕事で使うのであればADFを備えた本機の使い勝手は価格を補って余りある。本機をスモールオフィスに置けば獅子奮迅の働きを見せてくれることだろう。ADFに豊富な給紙容量、とくれば次はマルチビンとソーターも欲しいが、さすがにそれは欲張りすぎだろうか。
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