イタリアで大人気!?のA5モバイルノート──ダイアローグ「Flybook V33i」
イタリアを中心とした欧州で大人気というモバイルノートPC「Flybook V33i」。イベントでの先行展示やイタリア人モデルを起用したファッションショー形式の発表会が話題となったFlybook V33iの使い勝手をレビューしてみた。
ダイアローグ・ジャパンの「Flybook V33i」(以下、V33i)は、Pentium M/1.1GHzと512Mバイト DDR SDRAM、8.9インチワイド液晶を搭載するA5サイズのモバイルノートPCだ。解像度は1024×600ドットで、上下がやや狭いものの一般的なモバイルノートPCを利用したことがあるユーザーならばストレスを感じるほどでもないだろう。また、表示もクリアでブラウザやドキュメントファイルなどの文字が小さすぎて読みづらいということもない。ただし、輝度は最近のノートPCにしてはやや低めで、室内や曇天時の屋外ならば問題はないかもしれないが、晴天時の屋外を想定すると画面が見づらくなるかもしれないと感じた(残念ながら今回の検証期間中には晴天に“まったく”めぐまれなかったため、この点は筆者の推測となる)。
液晶ディスプレイは、ヒンジ部を中心に180度回転してタブレットPCスタイルになるコンバーチブル型タッチパネルが採用され、本体右側面に収納されたスタイラスペンや指などでのクリックや文字入力が可能だ。さらにキーボード上部の右側にトラックポイント、左右両側にマウスボタンが1セットずつ配置され、筐体を両脇からグリップするPDAライクなスタイルでも利用できる。電車の中で立っている状態や飲食店の幅が狭いテーブルの上といったマウスが使えない状況下でも最小限の動きで素早いポインタの移動やクリックができるため、キーボード中央付近にタッチパッドやトラックポイントを備えた一般的なモバイルノートPCと比較すると驚くほど快適だった。
手書き文字入力機能については、ひらがな、カタカナ、漢字ともに認識精度が高く、キーボード入力の高速さにはかなわないもののノートにメモを取る感覚で文字入力が可能だ。ただし、手書き文字入力ソフトで入力した文字をアプリケーション上で確定するには毎回[Enter]キーを押す必要があり、タブレットPCスタイルで手書き文字入力機能を利用するのは実用的ではないと思っておいたほうがいい。また、意外にもアルファベットや記号の認識精度がきわめて低く、[t]や[y]、[:]といったシンプルなものですらほとんど誤認識されてしまう。この点については筆者の文字のくせによるところも大きいかもしれないが、URLなどを入力する場合はキーボードからの直接入力かソフトウェアキーボードを利用したほうがスムーズだった。
キーボードは、キーストロークが深めでしっかりとした底つき感があるなどキータッチはなかなかのものだ。しかし、矢印キーが独立していない、ただでさえキーピッチが狭いのにキーボードの右側に行くとさらに狭くなるなど、普段ノートPCをメインマシンとして利用している筆者ですら大量の文字入力は避けたいと感じてしまった。入力デバイスの快適さが使い心地を大きく左右するだけに、思い切って筐体の横幅いっぱいまでキーボードにしてしまうなどの改善を期待したいところだ。
重量は1.23kg。コンパクトな筐体サイズにもかかわらず、手に取ると重量感があってそのギャップにとまどいすら覚える。タブレットPCスタイルにして、本体を左手でホールドし、右手にスタイラスペンを持って操作していると5分も経たないうちに腕が疲れてしまった。さらに悪いことに、電源投入後10分程度経過するとアプリケーションも起動せず何も操作していないアイドル状態ですら筐体底面から両側面にかけて全体的にかなりの熱を持つ。片手でホールド、両手でグリップ、膝の上に乗せるといったどの利用スタイルでも腕や手のひら、太ももなどがじりじりと熱く、さらには季節柄汗でべたべたになってしまった。同じく電源投入後10分ほどで回転し始める冷却ファンについても回転数が可変であるために実際の音量はそれほど大きくないのだが耳につきやすかったことを付記しておく。
なお、V33iの目玉機能のひとつとされている3.5Gデータ通信機能についてだが、現状では国内のキャリアには対応しておらず、海外で販売されているSIMカードを入手して日本国内のキャリアにローミングするという形で利用することになる。現在、キャリアとの調整が進められているそうだが具体的な時期は提示されていない。
V33iは、A5サイズというノートPCとしてはミニマムの大きさながらも、タッチスクリーンや3.5Gデータ通信機能などほかの製品にはないユニークな機能を取り込んだ意欲的な製品だ。ちょっと違ったアイテムを所有したい、将来的に3.5Gデータ通信機能を使い込みたいと思っているユーザーにとっては今後も動向を見守りたい1台となるだろう。
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