ゼロスピンドル“U”とアルファマップで鳴門の渦を航海する:勝手に連載!「海で使うIT」(3/3 ページ)
あの“U”ってHDDを搭載しないから衝撃に強いのですか。ならば、「あの」連載で徹底的に使ってあげようじゃありませんか。
ゼロスピンドル“U”を海水から守れっ
導入設定を終了させればアルファマップ2はゼロスピンドル“U”でも問題なく動作する。ストレージの容量はアルファマップ2の導入に問題なく、ログファイルもテキストだけなので、24時間記録したファイルでも12Kバイトにしかならない。解像度もアルファマップ2が用意しているデータウインドウやツールボタンはすべて表示できている。マップのスクロールやチャートセルの切り替え、拡大していったときのマップ切り替えももたつかない。5インチに満たない小さな画面サイズも解像度が高くドットピッチが細かくクリアに表示できるパネルを採用しているおかげで視認にストレスを感じない。海図で表示されるテキストの識別も同様。ただし、テキストに関しては倍率を大きくしないと重なって表示されるため拡大して見るのが望ましい。これは、画面サイズが小さいこととは関係なく、海図テキストの表示方法に起因する。
実用的な処理速度と表示能力という点ではゼロスピンドル“U”(そしてVAIO type U VGN-UX50も)はなんら問題はない。「おお、ならば早速使ってみましょう」という気持ちを抑えて、1つ解決しなければならないことがある。とにかく海水にはからっきし弱い“U”を守ってあげなければならないのだ。貴重な貴重な、無理をいって海にまで持ち出してきたゼロスピンドル“U”である。無事に生還させなければならない。
しかし、せっかくの超小型PCであるからできることなら露天甲板でいつも自分の位置を確認できるようにもしておきたい。ソニーの開発スタッフに「なんとしても防水ハウジング作ってください!」とお願いはしたもののまだまだ検討段階である。となると自力で何とかしなければならない。
というわけでまずは船具屋で防水パックを調達してくる。これにVGP-BGU1とゼロスピンドル“U”を突っ込んで肩からかけてみる。ううむ、思ったよりもいい感じだ。でも、ブラブラさせていると暴れたロープが絡んで危険だ。パックの底にあるアイに雑索を通して足に固定してみる……っと、おお、これはひょっとして戦闘機パイロット御用達のニーテーブルではないか。
これならば、座ってティラー(いや、べつにラットでもいいのですが)を操りつつひざの上の海図を見ることができる。カバーが柔らかいのでポインティングデバイスも使えるしキーボードだって打てなくもない。画面のタッチパネルも使える。なかなかいいぞこりゃ。
……と、梅雨の晴れ間を走ること数時間。「なんか防水パックがふくらんできたんですけどー」 うっ、これはひょっとして、とあわててパックをあけてゼロスピンドル“U”と手にとると「うわっちっちっちーっ!」閉め切った車の中よろしく日光に暖められた熱に自らが発する高温な排気も加わってバックの中はすごいことになっていた。このまま使い続ければ海水から守られても「自己熔融して自滅」するのは時間の問題だ。
残念ながら、以後の運用は「使わないときは防水バックに入れてバルクヘッドにぶら下げる」「使うときは海象の状況に最新の注意を払うこと」となってしまった。幸いにして穏やかな海峡と、対航性に優れてコックピットがドライなパイオニア9のおかげでゼロスピンドル“U”を手元において随時位置と航路をチェックできた。その利便性はやはり紙の海図やキャビンに下りてPC画面をチェックする使い方とくらべて格段に違う。とくにショートハンドの操船においてまったく異なる次元の航海を実現してくれると言ってしまってもいい。
それだけに、こういう機材が真に求められるだろう荒れた海峡でも不安なく使える「熱処理を工夫した専用ハウジング」が求められるところ。サードパーティでもいいので舶用機器ベンダーで何とかならないものだろうか。
で、その別次元の航海を実現してくれたアルファマップ2の電子海図ナビゲーションの実際であるが、それは、「AIS」というキーワードとともに「後編」で遠州灘を無事渡ってから紹介したい。
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