MacBookはCore 2 Duo搭載の最強バリューノートか(3/3 ページ)
新しいMacBookで最も驚かされたのはその価格。Core 2 Duoをはじめとする大幅なスペックアップを果たしながら、前モデルとほぼ同じ価格帯なのだ。プロダクトマーケティングディレクターの服部 浩氏に話を聞いた。
尽きないディテールへのこだわり
――アップルの製品ということで、やはり一番に気になるのがデザインですが、初代MacBookと比べてデザイン面での変更はありませんか?
服部 そうですね。新MacBookの外観は、前MacBookとほぼ同じといっていいです。MacBook Proのように透けて光るインジケータもありません。
――それでは、そのMacBookのデザイン的特長を振り返ってもらえますか?
服部 はい。MacBookでは、MacBook Proのようなスピーカーグリルもないし、本体を開くと、キーボードと画面だけが強烈な印象で目に飛び込んできます。ある意味、究極のミニマリズムですね。
このキーボードは、パンタグラフ構造採用の押しやすさを保ちながら、ほかのPCとは明らかに違う強いアイデンティティを持っています。MacBookを初めて見た人のほとんどが、このキーボードについては何かひとこと言わずにはいられない。それくらい個性的なキーボードです。
――キーボードを初めて見た人の中には「おもちゃっぽい」と思っている人も多いようですけど……。
服部 デザイン優先で使いにくいキーボードだろうと思っている人も多いようですが、多くの方が実際に使うことによって意見を変えてくれています。
MacBook Proに負けない細部へのこだわりも行き届いています。例えばMacBookでは白と黒の2色のモデルを用意していますが、実は筐体の色だけでなく、側面に用意されたポート類の内側まで、ちゃんと色分けされています。こんな細かな部分にまで注意を払っている製品はほかにはなかなかないだろうと自負しています。
――確かに細かいですね。裏返して底面を見ても、きれいです。
服部 ええ、余計なラベルなどもありません。よくMacは裏側もしっかりデザインされている、と言われています。最近、日本ではくさび側、つまり奥が高くなっているタイプが主流ですが、MacBookやMacBook Proは、キーボードがフラットで机面と並行。それだけに横から本体を眺めた時の見た目も美しいわけです。もちろん、フラット型でありながら、使い心地の点でも大変、高い評価をいただいています。
使いやすさのデザインという点では、ラッチレスの開閉構造もポイントです。ボタンやレバーなどが一切なく、ただ親指をひっかけて開くだけ。これだけの単純な構造ですが、開くのに必要な力の加減とかの調整には手間をかけています。
――日本では最近、頑丈さを売りにしたノートPCも出ていますが、これについてはどうですか? MacBookでは何か指標のようなものを公開していますか?
服部 いえ、特に指標のようなものはありません。ただ、MacBookなどのコンシューマ向け製品は教育市場で大変人気があります。それだけにMacBookも、米国の小学校や中学校といった教育機関で鍛え抜かれた頑丈さを持っています。
工場などでのタフな環境に耐えるようなヘビーデューティー向けの耐久性はないかもしれませんが、普段の生活で利用する分には十分な頑丈さは備えています。また、タフさを売りにしたノートPCほど高価でもないですし、CPU性能なども含めたバランスで比較してもらえれば、MacBookに高い価値を認めてもらえるものだと思っています。
デジタルライフスタイルにあわせた正常進化
――バランスという話が出ましたが、アップルの製品はMacBookも含めて、デジタルライフスタイルを楽しむために最適化している、といっていいのでしょうか。
服部 そうですね。今回のMacBookで一番の特長であるCore 2 Duoや、CTOで選べるようになった200GバイトのHDDが真価を発揮するのは、デジタルライフスタイルの使い方だと思っています。
例えばデジタルカメラにしても、これまで600~800万画素だったものが、1000万画素になったりさらに進化していますよね。また写真ファイルのフォーマットにしても、JPEG圧縮された画像ではなく、RAW形式の写真を使って撮影後に細かな調整を加える機会が増えています。そうした使い方をする中でCore 2 Duoの性能がものを言うようになってきます。
――それよりも、もう少し上のプロフェッショナル・ユースではどうでしょう? 例えばFinal Cut Studioを使ってTV放送向けの番組を編集するといった用途では。
服部 仕事の具体的な内容にもよると思いますが、そういったクリエイティブ・プロフェッショナル用途では、やはりMacBook Proを使ったほうがいいと思います。映像編集スイートのFinal Cut StudioはMacBook Proでは動きますが、MacBookはサポート対象外になっています。例えばモーショングラフィックス作成ソフトのMotionなどがMacBookなどでは、真価を発揮できないようです。
――なるほど。
服部 ただしiLifeはもちろん、プロシューマを対象としたFinal Cut ExpressやLogic Express、Logic Proといった製品であれば、MacBookもサポート対象になっています。こちらでも高度なHDVビデオの編集ができますし、かなり高品質の映像編集が可能です。
この場合は、HDVの映像をネイティブでそのまま編集するのではなく、中間フォーマットに変換して編集するため、Final Cut Studioのような高画質なままでの編集には対応していません。細部までこだわりを持つ映像のプロフェッショナルにはやはりMacBook Proがお勧めです。
――その差を価格が明確に表している、MacBookがコンシューマーノートと呼ばれる所以ですね。ありがとうございました。
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