エプソンが「新世代マイクロピエゾヘッド」を発表
新しいピエゾヘッドは、エプソンの「完全内製」開発で実現。説明会ではその「小型化」で可能になる“新世代プリンタのイメージ”も示された。
エプソンは3月27日に新開発のマイクロピエゾヘッドを発表した。同日開催された「エプソンビジネス&テクノロジーフォーラム2007」で発表会が行われ、同社の碓井稔氏(セイコーエプソン取締役生産技術開発本部長)が、新しいマイクロピエゾヘッドの特徴を説明した。
新しいマイクロピエゾヘッドの特徴は、従来180dpiだったインクノズルのピッチを360dpiとしたことだ。従来と同じ1インチヘッドの場合、これまで1列180ノズル(ヘッドには2列ノズルが設けられるため全部で360ノズル)だったのが、1列360ノズル(ヘッド全体で720ノズル)と倍増、1ノズルあたりのインク吐出能力は従来ヘッドとほぼ同等であるため、同じ面積のヘッドではインク吐出能力が2倍になる。
新しいヘッドの開発にあたって重視されたのは「ピエゾを極限まで薄くすること」と「ピエゾのひずみ量を上げること」であったと碓井氏は説明。この実現でインクジェットの高速化と小型化を可能にするという。
このピエゾの薄膜化とひずみ量向上を実現するために、エプソンはピエゾの素材からヘッドまで、開発をすべて自社で行っている(これまでは、ピエゾ素材となるセラミックの開発などで他社と共同で開発していた)。その自社開発にあたって、とくに課題となったのが「薄膜化・材料開発による高ひずみ圧電材料の実現」「新しい薄膜プロセスの開発・導入による高密度化」「新しいMEMS技術開発による高密度インク室構造の実現」であったと碓井氏は述べ、それぞれの問題に対してエプソンの技術開発力と薄膜加工技術、精密加工技術で克服してきたと語った。
これらの課題を克服することによって、従来25マイクロメートル×16層でほぼ1ミリの厚さだったピエゾ膜が新開発ヘッドではわずか1マイクロメートルに、108マイクロメートルだったインク室が55マイクロメートルになるなど、小型化が一気に進んだ。また、ピエゾ膜のひずみ量が2倍になったことで、従来260ナノメートルだったインク面変位量が400ナノメートルに増えている。
エプソンでは、4月から量産されるこの新世代ヘッドを搭載したプリンタの登場時期について具体的には言及しなかったが、ビジネス現場でレーザープリントといっしょに使われていて印刷速度が求められる製品や、リビングで使われていてデザインが周囲のインテリアを邪魔しない小型の製品にたいして搭載することを想定していると説明した。
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