2系統HDMI×WUXGA液晶の決定打となるか?――「LCD-MF241XBR」を試す:広色域パネルとリモコンが強み(3/3 ページ)
アイ・オー・データ機器の「LCD-MF241XBR」は、2系統のHDMIとD5入力を持つ24.1インチワイド液晶ディスプレイ。ゲーム、AV、DTPなど幅広い用途を想定した戦略製品だ。
広色域が一目で分かる見栄えのする画質
今回入手した試作機の画質については、製品発売までにまだ追い込む余地が残っているとのことなので、深くは検証しなかったが、NTSC比で約92%の広色域による色鮮やかな表示は従来製品のLCD-TV241XBR-2と明らかに違っていた。とくにグリーンから青にかけての表現力は段違いで、映画などでエメラルドグリーンの海や青空が表示されるようなシーンでは、実に色乗りがいい。高コントラストの液晶パネルにACCの効果もあり、黒浮きも抑えられているほうだ。
PC入力もAV入力も階調表現はまずまずで、明暗部で少しバランスが悪いところもあるが、グラデーションの不自然な乱れは見られなかった。VA系ながら視野角による色度変異は少なく、輝度ムラも目立たない。動画の応答性に関しては、VISEO MDT241WGのような黒挿入やバックライトスキャニングの機能こそないものの、スポーツ中継やアクションゲームの追従性は比較的よく、液晶ディスプレイとしては不満のないレベルにあった。その一方で、色温度やガンマのチューニングが完全でないのか、DTPモードの表示は思うような色にならなかったが、製品版での改良に期待したい。
画質で気になったのは、sRGBモードがない点だ。広色域パネルは映像コンテンツを色鮮やかに表現できる半面、標準的なsRGBの色環境(NTSC比で約72%)で画像を表示したい場合に正確な色空間で表示できずに困ってしまう。すべてのユーザーがキャリブレーターを購入してカラーマッチングをするわけではないので、手軽に色空間をsRGBにセットできる設定がほしかった。
ちなみにS-PVA方式の液晶パネルは、バックライトから出て行く光が液晶パネルの内部構造と干渉することで、表面にうっすらと光の乱反射が見えることがある(俗に言うギラツキ)が、LCD-MF241XBRを旧型のS-PVAパネル(NTSC比72%)搭載液晶ディスプレイと並べて見比べてみたところ、こうした傾向はかなり低減されていた。ただし、広色域パネルの採用もあり、少々クセの強い画作りに感じられるかもしれない。
こうした光の乱反射は、映像コンテンツの再生時には目立たず、フォトレタッチをする際に静止画を凝視したり、輝度を落として文書作成を行う場合に目に付きやすいが、感じ方は個人差によるところが非常に大きい。筆者は長時間利用していてもそれほど気にならないのだが、この辺りが気になる人は、自分の目で現物をじっくりと確かめてみるとよいだろう。その際、白や淡い色を単色で表示すると表示傾向が分かりやすい。
後発製品ならではの強みを生かした良品
LCD-MF241XBRは、先行して発売されたVISEO MDT241WGやFlexScan HD2451W/HD2441Wに見劣りしない機能を備えつつ、広色域バックライト搭載パネルやDTPモードの採用、リモコンの付属などで付加価値を高め、さらに価格も低めに設定されている。まさに後発製品の強みを生かした製品だ。
今回の試作機では荒削りな部分もあり、DTPモードやキャリブレーションディスプレイとしての真価は不明だったが、広色域のサポートは、HD解像度の動画コンテンツを見栄えよく表示したり、AdobeRGB対応のデジタルカメラで撮影した写真をレタッチしたい場合に有利に働くだろう。
これで、2系統HDMIを搭載したフルHD対応の液晶ディスプレイに、悩める選択肢がもう1つ加わってしまったわけだが、これほど充実したディスプレイ環境が10万円そこそこで手に入る時代が到来したことを素直によろこびたい。
LCD-MF241XBRの主な仕様 | |
---|---|
パネルサイズ | 24.1インチワイド(VA) |
ボディカラー | マットブラック |
解像度 | 1920×1200ドット(WUXGA) |
表示色 | 1677万色(色域NTSC比92%) |
表示面積(H×V) | 518.4×324ミリ |
画素ピッチ(H×V) | 0.27×0.27ミリ |
視野角 | 上下178度/左右178度 |
最大輝度 | 400カンデラ/平方メートル |
コントラスト比 | 1000:1 |
応答速度 | 6ms(中間階調)、16ms(黒→白+白→黒) |
PC入力端子 | DVI-D(HDCP対応)×1、D-Sub 15ピン×1 |
ビデオ入力端子 | HDMI×2、D5×1、S-Video/コンポジットビデオ×1 |
音声入力端子 | ステレオミニ×2、RCAステレオ×2 |
ヘッドフォン出力端子 | ステレオミニ |
スピーカー | 2.5ワット+2.5ワット |
USB端子 | USB 2.0(アップストリーム×1、ダウンストリーム×3) |
チルト角度 | 上30度/下5度 |
スイベル角度 | 左右350度 |
昇降範囲 | 約70ミリ |
縦画面表示 | - |
VESAアームマウント規格 | 100×100ミリ |
電源 | 本体内蔵 |
消費電力 | 最大時140ワット/通常時67.3ワット/待機時2ワット |
本体サイズ | 566(幅)×228(奥行き)×418~488(高さ)ミリ |
重量 | 約10.8キロ |
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