“Premium”になったLaVie Lの最廉価モデルを試す――NEC「LaVie L LL370/KG」:2007年PC秋冬モデル連続レビュー(2/2 ページ)
LaVie Lシリーズは、NECの主力ノートPCブランドだ。その中でエントリーモデルとなる「LL370」がVista Home Premiumを搭載した。さっそく実力を見てみよう。
液晶ディスプレイはあっさりとした表示ながらも入力環境は及第点
1280×800ドット表示に対応した15.4インチのワイド光沢液晶ディスプレイは、LL590/KGやLL570/KGといった上位機に比べ色再現域が狭く、輝度や視野角が若干低めのスーパーシャインビュー液晶を採用する。確かに、上位モデルのスーパーシャインビューEX2液晶と見比べると発色は淡く、あっさりとした印象だが、低価格モデルであることを考慮すれば十分に妥協できる範囲内で、DVD-Videoや動画を再生しても鑑賞に耐えるだけの画面だった。また、明るさも実用上問題になるほど暗いわけではなく、Webサイトの閲覧やメール/ビジネス文書の作成といった実務的な用途であれば画質に大きな不満を感じることはないだろう。
キーボードユニットは上位モデルと共通で、スペースバーが短く、EnterキーとBackSpaceキーが大きいという特徴もそのまま当てはまる。また、EscやBackSpaceといったキーボードの端にあるキーを強く叩いても、キーボードユニットのたわみは小さかった。普段からキーを強めにたたく人でも、文章入力中に頼りなさを感じることはないだろう。なお、ワンタッチボタンやAV再生ソフトをコントロールする操作ボタンは搭載されていない。
タッチパッドは、左右のクリックボタン中央にシーソー式の上下スクロールボタンを搭載した4ボタンタイプを採用する。細い半円筒形のクリックボタンは、初見では操作しづらそうな印象を持ったが、実際に使ってみるとクリック感は非常に明快で、いちいち手元を確認しなくても確実に操作することができた。試用中は、まれにボタンの横幅が少し短く感じられることがあったが、操作性を大きく左右するほどのものではなかった。ただし、上下のスクロールボタンはタッチが硬めで、ストロークも非常に浅いことから、慣れるまでは違和感を覚えた。
ハードウェアとソフトウェアのバランスが取れた1台
今回の評価は試作機を使ったため、本格的なベンチマークテストの計測は行っていないが、Windowsエクスペリエンスインデックスの画面を掲載した。あくまで試作機での計測結果なので、実際の製品とはスコアに差異が生じる可能性があることをお断りしておく。
結果は、プライマリハードディスクが4.6と良好なスコアをマークした一方、グラフィックスは2.4と、Windows Aeroを利用するために必要最低限の性能を満たす程度に止まっていた。CPUとメモリのスコアに関しては可もなく不可もなくといった数値で、エンコードのような高い負荷のかかる作業を除けば、性能不足を感じることはないと判断できる。
付属ソフトウェアは低価格モデルながら充実しており、ビジネスシーンでは欠かせないオフィススイートとしてOffice Personal 2007がプリインストールされるほか、家計簿や乗り換え案内、医学辞典など実用性の高いタイトルが導入済みだ。加えて、動画の編集機能とオリジナルDVD作成機能を備えた「Ulead DVD MovieWriter for NEC Ver.5」、CD/DVDライティング機能だけでなく、ビデオオーサリングやポータブル機器向けの動画ファイル作成にも対応する「Roxio Easy Media Creator 9」なども付属するので、当面はソフトウェアを買い足すことなく、さまざまな目的に利用することが可能だ。
機能や性能面で特に光る部分を見つけることはできないが、逆に決定的な弱点もなく、実売14万5000円前後というエントリーモデルとしては満足できる仕上がりだ。コスト重視でノートPCを購入したい人や、セカンドPCを求める人にとって、注目に値する1台と言えるのではないだろうか。
なお、直販のNEC Directならば、OSをWindows Vista Businessや同Home Basicに変更したり、メモリを最大2Gバイトにしたりといったカスタマイズが行えるだけでなく、保証期間が標準で3年間と長くなる。加えて、定期的に行われているキャンペーンやお得なクーポンを使えば、最小構成で8万5638円(10月1日現在)と安価な価格で購入可能なのも見逃せない。
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