XPSノートのSLIパワーに驚く!──デル「XPS M1730」(2/2 ページ)
前にもまして「ド派手」になったXPSのゲームノートPC。変わったのは見ためだけじゃない。グラフィックス性能もずいぶんとすごいことになっているのだ。
システムが非力でも“SLI”ならゲームは動く
先日のフォトレビューでも予告したように、このレビューでは、XPS M1730の強力なパフォーマンスを検証することになっていた。しかし、評価機に搭載されていたCPUが「Core 2 Duo T7300」(動作クロック2.0GHz)、メモリ容量も1Gバイトと、BTOで選べる最小構成以下いう状況であったため、この記事では、GeForce 8700 GTのNVIDIA SLIによる、現時点のノートPCにおける最強の3D性能についてのみ紹介する。フルスペック構成におけるXPS M1730のトータル性能は、オーバークロック動作も含めて後日掲載する予定だ。
XPS M1730では、OSにWindows Vista Ultimateが導入されている。“Vista”を導入したシステムでNVIDIA SLIを構築する場合、適用するForceWareのバージョンによって、そのパフォーマンスが大きく変わってくることがある。そのため、できるだけNVIDIAが配布する最新バージョンを適用したいところであるが、デルは、「デルのWebページから入手したドライバを適用した場合だけサポートの対象となる。NVIDIAのWebページから入手したForceWareを適用したシステムはサポートしない」という姿勢をとっている。
「デルから入手できるForceWareはXPS M1730向けにカスタマイズされているため」というのがその理由に挙げられているが、「サポートセンターとできるだけ波風をたてたくない」というユーザーは、NVIDIAがアップデートするタイミングではなく、デルが新しいバージョンをアップロードするまでForceWareの更新を待ったほうが賢明かも知れない。今回の評価では、評価用のXPS M1730に適用されていた「ForceWare 156.61」を用いてパフォーマンスの測定を行っている。
今回の評価作業で比較対象としたのは、すでに「イマイタ」レビューで取り上げている、デスクトップPC向けミドルレンジGPUの単体構成だ。CPU(Core 2 Extreme QX6700、動作クロック2.66GHz)やメモリ(DDR2-800MHz/1Gバイト×2)など、システム環境を比べるとXPS M1730は不利であるが、GeForce 8700M GTのパフォーマンスは、ForceWareで単体動作に設定した状態であっても、デスクトップPC向けミドルレンジGPUに負けていない。もちろん、NVIDIA SLI構成におけるパフォーマンスは突出している。
先ほど紹介したように、XPS M1730では、アプリケーション側から見たグラフィックスメモリの容量が256Mバイトとなるため、搭載する液晶ディスプレイの解像度である1920×1200ドットでフィルタリング設定を有効にした場合、ベンチマークが走らないことがある。そのため、デスクトップPC向けGPUのゲームベンチでは、1920×1200ドットで「4xAA、8xAniso」「8xAA、16xAniso」の条件であったが、XPS M1730ではフィルタリング設定を無効にした状態でベンチマークの測定を行っている。このように測定条件が異なるため、グラフではXPS M1730の測定値だけを並べた。
実は、この「グラフィックスメモリとして扱えるのは256Mバイト相当」という仕様が、XPS M1730で気になるポイントでもある。1920×1200ドットという高解像度を表示できる17インチワイドの液晶ディスプレイを搭載した「ゲーム重視」のノートPCなのに、グラフィックスメモリのスペックがゲームにおける画質設定を制限してしまうのだ。GeForce 8700M GTの仕様では、512Mバイトのグラフィックスメモリまでサポートしているので、「ゲーム重視」のXPS M1730ならGPUあたり512Mバイトという選択肢を用意すべきではないだろうか。
XPS M1730は「現実的な価格」の構成でも十分な3D性能を発揮する
GeForce 8700M GTによるNVIDIA SLIは、XPS M1730が持つ1920×1200ドットという高解像度を表示する液晶ディスプレイで(フィルタリング設定を軽くした場合に)最新の3Dゲームを十分動作できるだけのパフォーマンスを発揮する。
もっとも、システム構成が製品版とかなり異なるので、今回の比較は非常にアバウトな参考程度の意味しかもたない。しかし、このような非力なシステムでもXPS M1730はゲーム重視のノートPCに恥じない、強力な3D性能を見せてくれた。フォトレビューの最後に紹介されているように、内部構成を最もハイスペックにした場合、その価格は90万円を軽く超えてしまうが、より現実的な20万円台後半で可能となる構成でも、ここで示した結果を上回るのは間違いないはずだ。
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