第7回 光ディスクの製造工程 その3──順積み方式による2層ディスクの作り方 :新約・見てわかる パソコン解体新書(3/3 ページ)
「見てわかるパソコン解体新書」の7回目は、前回に続いて2層ディスクの生産過程を取り上げます。
ところで、マスター基板を作るときには、射出成形機で数十トンの力をかけることでスタンパーの凹凸をポリカーボネート樹脂に精密に転写していました。これに対して、中間層の形成時には圧力はかけません。中間層の素材として、硬化前は非常に粘度が低い(水のように流れやすい)樹脂を使うために、毛細管現象でスタンパーの細かい凹部にまで自然に入り込み、その後紫外線照射で硬化することにより、グルーブの形が正確に写し取られるのです。
なお、樹脂スタンパーは使い捨てです。中間層の形成に使われた樹脂スタンパーは破棄されます。これは資源の無駄になるため、樹脂スタンパーを0.6ミリの厚みで作っておき、中間層の形成後にダミー基板として利用するケースもあります。
6.L1記録層と反射層の形成
中間層の上に、記録層と反射層を形成します。
L0記録層のときと同じく、記録層はスピンコート、反射層はスパッタ法で作ります。
7.ダミー基板の張り合わせ
L1記録層と全反射膜が形成されたディスクの上に、紫外線硬化型接着剤をスピンコート法で塗布したうえ、0.6ミリ厚のダミー基板を重ね、紫外線を照射して硬化させます。
8.完成
ダミー基板の接着が終わると、DVD-R DLディスクのできあがりです。ただし、商品として出荷するためには、プリライト(MKBとメディアIDの書き込み)とラベル面の印刷、パッケージングなどが必要です。プリライトについては前回の記事を参照してください。
順積み方式のまとめ
DVD-R DLの製造工程をつの図にまとめます。特徴はやはり、中間層の作り方です。
このような2層ディスクの作り方のことを、「順積み方式」または「2P方式」といいます。「順積み」とは、マスター基板上にそれぞれの層を順番に積み上げていくことを意味しています。「2P」はPhoto Polymer(フォトポリマー)、紫外線硬化型樹脂のことです。
なお、マスター基板とダミー基板はそれぞれ0.6ミリ厚で、そのほかに中間層や接着層、ラベル印刷などの厚みが加わるので、2層DVDメディアの層厚みは1.25ミリ程度あります。
次回は、もう1つの2層ディスクの作り方である「逆積み方式」を紹介しようと思います。現在市販されている2層DVDメディアは、順積みまたは逆積みのいずれかの方法で製造されています。
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