中国電脳街の美人店長と値引き交渉:山谷剛史の「アジアン・アイティー」(2/2 ページ)
「複雑怪奇!」な中国電脳街の購入術。白物家電にPCパーツアップグレードとなかなかにディープな世界を紹介してきたが、今回は液晶ディスプレイで値引き交渉に挑戦した。
せっかくだから中国メーカーを買いましょう
中国では、液晶ディスプレイだけ購入する人は少ないらしく、液晶ディスプレイ販売店は、ショップブランドPCの販売を兼ねている場合が多い。「ショップブランドPCを購入するけど、液晶ディスプレイはセットの安物ではなく、上位モデルが必要」というユーザーが、液晶ディスプレイ販売店を利用するそうだ。
「せっかく中国にいるから」というわけで、日本で見かけない中華系メーカーで、多彩なラインアップをそろえている「AOC」の液晶ディスプレイを購入した。日本でなじみのないAOCだが、中国のディスプレイメーカーでは特に名が知れている。そのせいもあってか、筆者が訪れた電脳ビルの3階にあるPCパーツフロアだけでも4つのAOC代理店が店を構えていた。PCパーツがメインのショップでAOCの液晶ディスプレイを取り扱っているケースを含めれば10店近くにのぼる。
これだけAOCを扱う店があると、どれを選べばいいのか困ってしまうところだが、実際のところ、どの店でも価格にそう違いはない。AOCを扱っているすべての販売店が、その都市におけるAOC総代理店の下請けなので、同じモデルの実売価格には20元(約300円)程度の違いしかない。アフターサービスの内容も同じだし、店員のスキルも同じレベルで“低い”。
そういうわけで、筆者は「店頭に並んでいる液晶ディスプレイの数が最も多い」AOC販売店に入って(そういうところでしか違いが見出せないのだ)。電脳街にあるショップ店員は女性比率がなぜか高いが、その店も6人いるスタッフのうち4人が若き女性、なんと、店長も女性だ。各製品の性能を質問してみると、サイズ、応答速度、価格は店員が説明してくれたが、視野角や輝度やパネルの種類、それにサポートするインタフェースについては教えてくれなかった。
店頭に並んでいる液晶ディスプレイはいずれもサンプル画像を表示していたが、液晶ディスプレイ分配器の品質が低いのか分配器と液晶ディスプレイ、またはPCとの接続が悪いのか、どれもこれも「なんだこれは」と口にしてしまうほど映りが悪い。筆者は店員に「分配器を使わないでPCと液晶ディスプレイを直接つないでくれ」と頼んでみたが、面倒なのかどうにも対応してくれない。本気で購入しようとしている意思を示して、ようやく分配器を介さずに、液晶ディスプレイとPCを直接接続して製品の本来の画質をチェックできた。
このような店員のスキルや対応を見る限り、ユーザーは液晶ディスプレイのスペックと販売価格をチェックしておいて、購入するモデルをある程度事前に決めておく必要がある。電脳街で売られているメーカーのすべてのモデルで画質チェックをしようものなら、それぞれのメーカーを専門で扱うショップに行き、そこで店員と交渉してPCと液晶ディスプレイを直接接続して画質をチェックしなければならない。ちょっとこれは現実的ではない。
液晶ディスプレイの購入でも値引交渉は忘れずに
購入する液晶ディスプレイが決まったら、次は中国の買い物でおなじみの値引き交渉となる。10元(約150円)単位の値下げはもちろん、ときに1元(約15円)単位の駆け引きを粘り強く重ねていく。このとき、決して欲しいという“表情”や欲しいという“そぶり”を見せてはならない。「もうちょっと安くなるなら買えるのに、こりゃ高いねえ~」という不満タラタラな雰囲気を演出しなければならないのだ。
そんなこんなで値下げ交渉は1790元(約2万6850円)で合意、かくしてAOCの22インチワイド液晶ディスプレイを購入したのであった。その「さりげないちょっとした手抜き感」があるAOCの液晶ディスプレイ、買った店の店長がいうには「この店で1日に10台は売れる。この都市にある総代理店では何百台も売れると聞いたことがある」という人気製品、だそうだ。
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