やっぱり「ASRock」なIntel X48マザー── 「X48Turbo Twins-WiFi」で遊ぶ:イマドキのイタモノ(2/2 ページ)
ASRockと聞くと、「勝手に高クロックFSB」「勝手にCrossFire対応」といった、過激なスペックマザーという印象が強い。そんな、彼らのハイエンドモデルで機能と使い勝手を試してみた。
IEEE 1394やeSATAも装備したハイスペック仕様
X48Turboは、FSB1600MHzに対応しているので、インテルのコンシューマー向けCPUの最上位モデルになるCore 2 Extreme QX9770にも対応する。拡張スロットは、PCI Express x16スロットが2本とPCI Express x1が1本、そしてPCIが3本という構成になっている。PCI Express x16スロットは、CrossFireXを構成した状態で2本ともPCI Express x16モードで動作してくれるため、Intel P45 Expressマザーを上回る3D性能が期待できる。
X48Turboのサウスブリッジには「ICH9R」が組み合わせられているほか、専用コントローラをオンボードで用意しているため、多彩な機能をサポートしている。基板上に6ポート設置されたSerial ATAは、ICH9RによってRAID 0/1/10/5の構築が可能。このほか、バックパネル付近にも、Serial ATAが2カ所設置されている。これらはバックパネルにあるeSATAポートと排他関係になっている。
オーディオは、Reatec ALC890Bを用いて7.1チャンネルHDオーディオに対応。ネットワークは、Realtec RTL8111Cギガビットコントローラを搭載している。またIEEE 1394も専用コントローラを実装しているなど、ハイエンドモデルらしく、基本的な機能をすべて網羅したマザーボードとなっている。
DDR2とDDR3、パフォーマンスはどれほど違う?
DDR2とDDR3に対応したマザーボードであるため、低価格のDDR2を利用しても、DDR3とパフォーマンスに差がないのなら、DDR2のコストパフォーマンスを優先するところだが、DDR3のパフォーマンスが優れているなら、多少コストがかかってもそちらを選びたいというユーザーもいるだろう。
そこで、DDR2-800とDDR3-1333のメモリを用意し、パフォーマンスの比較を行ってみた。使用したメモリは、前述のGeilの製品だ。なお、DDR2は、DDR2-1000モデルを用意したが、BIOSでメモリクロックを800MHzまでしか設定できなかったため、DDR2-800として扱っている。DDR3は、DDR3-1333のモジュールで、BIOS設定で1333MHzに設定して測定を行った。
PCMark05のトータルスコアで170ポイントほどDDR3-1333が上回っているほか、3DMark06やFINAL FANTASY XI Official Benchmark 3でも高いスコアをマークしている。もちろん、コストパフォーマンスを考えたらDDR2が優れているといえてしまうほどの違いにとどまっているが、最新のソフトウェアを限界ぎりぎりで使うユーザーなら、ワンランク上のパフォーマンスが実現できるDDR3を選択する理由となるはずだ。
なお、DDR3のメモリクロックを1066MHzに設定した状態でも測定してみたが、そのスコアはDDR2-800とDDR3-1333のちょうど中間となってDDR3のメリットは半減してしまった。DDR3メモリを購入するなら、DDR3-1333以上のモデルを選びたい。
DDR2-800 | DDR3-1333 | |
---|---|---|
PCMark05:PCMarks | 5626 | 5821 |
PCMark05:CPU | 6731 | 6533 |
PCMark05:Memory | 5650 | 5849 |
PCMark05:Graphics | 4767 | 4797 |
PCMark05:HDD | 5070 | 5136 |
PCMark05:HDD-XP Startup | 9.406 | 9.644 |
PCMark05:Video Encoding | 450.726 | 489.899 |
PCMark05:Image Decompression | 37.678 | 37.802 |
PCMark05:WMV Video Playback | 66.022 | 78.198 |
3DMark06(1280×1024ドット、nonAA、nonAniso) | 5075 | 5085 |
FinalFantasy XI Official Benchmark:Low | 9195 | 9407 |
FinalFantasy XI Official Benchmark:High | 7202 | 7332 |
ちょっと歯がゆいオーバークロック設定
X48Turboには、オーバークロック用のツールとして、「ASRock OC Tuner」が付属する。このツールを使うと、Windows上からFSBの設定が行える。評価作業で、Core 2 Duo E6750を組み込んだ状態のベースクロックを、333MHzから366MHzまで上げ、CPUの動作クロックを3GHzにしたところ、問題なく動いてくれた。そのほか、CPUの倍率設定と各部駆動電圧も調整可能だ。このように、ASRock OC Tunerはオーバークロック設定が容易に行えてその使い勝手も悪くない(ただし、メモリクロックは変更できない)。
BIOS設定にもオーバークロックの設定が用意されている。CPUの動作クロックでは、「Auto」、「Manual」、「I.O.T」という3つのモードがある。Manualでは、100~800MHzの間で任意のベースクロックを設定可能。I.O.Tでは、クロックアップを比率で指定できる。惜しむらくは、BIOSでもメモリのクロック設定が少ないことだ。DDR2は800MHzまでしか設定できないし、DDR3でも規格以上のクロックは用意されていなかった。遊び心という意味では、もう少し設定の自由度を上げてほしいところだ。
X48Turboは、高額モデルが多いIntel X48 Expressマザーの中で、2万円台後半という価格で販売されているのが最大の特徴といえる。かつ、基本機能は充実しており、DDR3とDDR2メモリが利用できるなど、コストを抑えてハイパフォーマンスPCを作りたいユーザーには、悪くない選択になるはずだ。このマザーと、コストパフォーマンスに優れたRadeon HD 4850を2枚用意して、新しいPCを組むというのは、2008年前半の自作PCとしては、非常に興味深い構成だろう。
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