大盛況だった「SpursEngine」イベント――SDKの無償配布も告知:エンコ職人集結?(2/2 ページ)
CPUとGPUに続く第3のプロセッサとして注目を集める「SpursEngine」のユーザーイベントが開かれた。5時間で10セッションという密度の濃い内容だったが会場は終始すし詰め状態。
ソフトメーカー各社も、SpursEngine対応環境を開発中
東芝とリードテックがSDKでユーザー個人に開発環境の提供を進めるかたわら、ソフトウェアメーカーもSpursEngineを生かせるソフトの開発を進めている。今回のイベントでは、主要メーカーが進捗状況を報告しており、一通りの状況が把握できた。
トムソン・カノープスは、MPEG-4/H.264を独自コーデックに変換するフリーソフト「AVCHDコンバーター」の新バージョンを近日公開し、SpursEngineに対応させると明言。AVCHDコンバーターは、FIRECODER Bluを最大4枚まで認識して利用できる仕様のため、複数枚利用により、さらに高速な処理を実現できるという。また、動画編集ソフト「EDIUS Pro 5」も、春ごろをめどにSpursEngineに対応する予定だ。
GPGPU対応の動画ソフト「LoiloScope」で知られるロイロも、2009年の春から夏のあいだにLoiloScopeのエンコード処理にSpursEngineが利用できるように開発中とのこと。
「TMPGEnc」シリーズで知られるペガシスは、2009年第1四半期中にSpursEngineをエンコードに利用できる「TMPGEnc 4.0 Xpress」を発売すると説明。同シリーズは、すでにNVIDIAのGPGPU「CUDA」に対応しており、フィルタリングをGPUで処理できるようになっている。新バージョンでは、CPUとCUDA、SpursEngineを併用して、より快適な処理が可能になるという。
そのほか、動画のアップスケーリング技術を携帯電話用コンテンツなどに提供しているモルフォが、SpursEngineと同社技術を組み合わせた環境をPCやゲーム機などへ組み込む計画があることを明かした。同社は「いつの間にYouTubeってきれいになったの!? と感動してもらいたいです」と目標を語る。
すでにSpursEngine対応環境を整えたソフトも多い。
サイバーリンクは、エンコードにSpursEngineが使える動画編集ソフト「Power Director 7」を販売しており、SpursEngineの効果をセッションでアピール。さらに将来は、番組のハイライトシーンを抽出する「SportsMagic」機能をSpursEngineに対応させることで、録画と同時に相撲の取り組みだけを抽出するといった便利な使い方ができるようになると展望を語った。
CRI・ミドルウェアは、コマンドラインからMPEG-4/H.264のエンコードが行えるフリーソフト「CRI SpursCoder」を提供中。映像のみのエンコードで、SpursEngineが活用できるという。さらに音声の変換にも対応する有料版「CRI SpursCoder高機能版」を1月末に発売する予定とのこと。
関連記事
トムソン・カノープス、“SpursEngine”搭載のH.264/MPEG-2アクセラレーター「FIRECODER Blu」
トムソン・カノープスは、東芝製メディアストリーミングプロセッサ“SpursEngine”を備えた画像処理用PCI Expressカード「FIRECODER Blu」を発売する。“自作の次”の道を何本も示した「DIY PC Expo Autumn」
自作PCパーツなどの最新製品を一堂に会した「DIY PC Expo Autumn」が開催され、大勢のユーザーがつめかけた。不景気なニュースを吹き飛ばす、威勢のいいパーツを紹介していこう。リードテック、“SpursEngine”搭載カード「WinFast PxVC1100」の発売日を決定――11月14日
リードテック ジャパンは、東芝製「SpursEngine」を搭載したPCI-Express x1接続対応の画像処理カード「WinFast PxVC1100」の発売日を決定した。CEATEC JAPAN 2008:“エンコ職人”必見の自作PC向け「SpursEngine」搭載カードがまもなく登場
東芝ブースでは、国内“メジャー”初のNetbook「NB100」の展示が注目を集めていたほか、リードテックとカノープスが「SpursEngine」を搭載したPCI Express x1カードのデモを行っていた。注目ナンバーは「7」と「9」だった「11」月のアキバ
2008年最後の大物といわれる新型CPU「Core i7」が11月16日の深夜に販売解禁となり、電気街は年末に向けて高級品人気にわいた。一方、大手ショップ・九十九電機は苦境に立たされている。旗艦店も再起動:TSUKUMO eX.が営業を再開、早ければ明日にも通常営業か
秋葉原の中央通り沿いにある九十九電機の旗艦店、TSUKUMO eX.が営業を再開した。とりあえずは一階のみの営業になる。「まだ折れてない」――ツクモの再起動に街は“スパイス入り”の歓迎ムード
商品在庫が差し押さえられた九十九電機が、ツクモ9号店をオープンし、再び復活をめざして動き出した。ほかのPCパーツショップは驚きながらも歓迎するムードだが、“ひと言ある”人が多い様子。「いよいよか……」「いやまだ大丈夫」――ツクモ営業中断で周辺ショップの反応は?
九十九電機系列店の営業中断はアキバ電気街を驚かせた。NECリースによる差し押さえの反応を周辺ショップに聞いた。一方、先週はSpursEngine搭載カードやEee PC S101などの目玉製品が入荷され、ユーザーの注目を集めている。九十九電機各店が営業を一時中断、NECリースの差し押さえで
民事再生法の適用を申請した10月30日以降、復調の兆しが見えていた九十九電機各店が突然営業中断となった。TSUKUMO eX.前にはトラックと運送業者であふれている。“ツクモショック”で消えたアキバ電気街の楽観視
九十九電機のニュースは、秋葉原のPCパーツ店に少なからぬ動揺を与えている。近隣ショップには「ウチは大丈夫です……と、言うように指示されてる」と語る店員もおり、電気街の将来を不安視する声は少なくない。真夜中のアキバに400人:“黒いの”が売れた「Core i7」深夜販売イベント
11月16日0時にCore i7とX58マザーの販売がスタートした。一部でマザーボードの不具合が叫ばれつつも、20万円近い組み合わせのパーツが飛ぶように売れた。「これで販売しなかったら暴動が起きるでしょ」――Core i7“深夜イベント”直前のアキバ
Core i7のロゴがPCパーツショップ街を飾るようになった今週のアキバ。いつ登場するかは未発表ながら、11月16日の深夜イベントでCPUと対応マザーが発売される可能性は限りなく高い。久々に登場する大物「Core i7」の情報公開が進む、発売日は?
11月初旬から姿を現してきたインテルの新CPU「Core i7」。アキバで情報公開のスピードが増し、ラインアップや予定価格を公開するショップが出てきた。発売日はいつ?Nehalemのパフォーマンスは?──Core i7 965 ExtremeとCore i7 920の性能に迫る
インテルの新世代アーキテクチャがいよいよ姿を見せ始めた。Nehalemの性能がようやく明らかになる。その実像やいかに。5分で分かった気になる、10月のアキバ事情:何かと「突然」が多かった10月のアキバ
チューナーカード「PT1」の深夜販売や、九十九電機による民事再生法適用の申請など、よくも悪くも“サプライズ”が続いた10月の秋葉原電気街だった。i-RAMの熱狂、再び――DDR2に対応した「ANS-9010」が登場
「マニア向けの製品を売るのはアキバの使命、今は何とかやれている」(店員)。そんなアキバにDDR2メモリをストレージとして使う5インチベイユニット「ANS-9010」が登場し、1時間もしないうちに売り切れた。わずか5枚の「PT1」に150人が殺到――深夜のアキバで“一瞬の祭”
4ストリームの地デジ/衛星放送チューナー「PT1」がアキバに登場し、予約分だけでほぼ完売。三月兎2号店は5枚の在庫を残しており、「無謀」と評されながらも深夜販売を決行した。結果は……。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.