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2009年クリスマスギフトの主役はKindle──Netbookは投げ売り(2/2 ページ)

“サンクスギビングデー”からクリスマスにかけて「お買い物シーズン」で盛り上がる米国で、一番人気のデジタルガジェットを“セール”の現場からリポート。

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POPはあれど姿が見えず。“残念な”Kindle競合モデル

 米国でよく見られる倉庫タイプの大規模量販店(ホールセール)大手「Costco」ではNetbookが“山積み”で販売されている。1ダースのソーダを買うついでに、Netbookをカートに入れて買えてしまうのだ。こういう光景が物語るように、すっかり日用品化して、価格破壊もいくところまでいってしまったNetbookのプロモーションが、これからますます難しくなっていくだろう。ブラックフライデーの期間でも USBメモリやサポートサービスで付加価値を訴求するセット販売が多く見られた。

 ターキーとビールをたらふく胃袋に詰め込んだおかげで、ブラックフライデーの早朝Door Bustersを買いそびれても落胆することはない。その次の月曜日に「Cyber Monday」が控えているからだ。買い物に行くのが難しいウィークデーでも売り上げを確保するため、多くのショップが自分たちのオンラインショップでセールを行う。オンラインショップ専業のAmazon.comは、このCyber Mondayには特に力を入れている。終日のタイムセールで目玉商品を出し続けていた。例えば、定価352.99ドルのSamsung製Netbookを12時きっかりに21%オフの279.99ドルで販売したが、セール開始のカウントダウンがゼロになるのとほぼ同時に、表示が“Sold Out”に変わった。

 2009年のホリデーシーズンギフトの目玉と期待されていたにもかかわらず、出荷が間に合わず実物をショップで見ることができない製品もある。2009年10月に、電子ブックリーダーで1人勝ちの感がある「Kindle」のライバルとなるべく、2009年10月にBarns & Nobleから発表された「Nook」だ。明らかにホリデーシーズンを狙って発表されたにもかかわらず、店頭でもオンラインでも“Out of Stock”(在庫切れ)の状況が続いている。供給開始時期は何度も変更され、11月末に店頭で確認したときは2010年1月4日ということだったが、現在オンラインでは1月11日と、これまた延期されている。

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 一方、Nookと同じ259ドルまで実売価格を下げたAmazon.comの「Kindle」は、ホリデーギフトの主役らしく、リボンをあしらった画像で同社のトップページを華々しく飾っている。 Barns & Nobleは12月24日に届けられるギフトサーティフィケート(特定利用商品券)を用意しているが、購入者の気分としてホリデーシーズンに実物がないのは痛い。業界の注目を集めたKindleへの挑戦は、出足で大きくつまずいた格好になった。

シアトル郊外にあるCostcoのイサクワ店(ちなみに、Costcoの本社もイサクワにある)では、Windows 7をインストールしたHPのNebookが349ドル99セントで販売されていた。購入者はPCを描いた“ボード”をレジに持っていく(写真=左)。Barns & Nobleベルビュー店のサービスカウンターには、「Nook」の大掛かりな広告が掲示されているが、 ギフトサーティフィケートのみ受付中(写真=右)

 National Retail Federationの発表によると、ブラックフライデーの週末(木曜から日曜日まで)に店舗やWebサイトを訪れたユーザーの数は1億9500万人と、2008年の1億7200万人を上回った。しかし、1人当たりの出費は前年比約8%減の343.31ドルとなり、総売上高はほぼ前年並みの412億ドルと見積もられている。人々の財布のひもは堅くなっているが、Netbookをはじめとするアグレッシブな値下げ攻勢が、多くの人々の購買意欲を刺激したといえるだろう。これからクリスマスイブにかけてラストスパートを迎える米国のホリデーシーズン商戦では、客単価の低下を補うために、より多くの顧客を引き付けることができるか否かが成功の鍵となりそうだ。

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