ATOKも“Ctrl+c”も使えるキーボード付きAndroidポケットノート──「LifeTouch NOTE」の実力検証:これは“モバギ”の再来か(3/4 ページ)
単に「キーボードを付ける」だけではダメっ。NECのキーボード搭載Androidデバイス「LifeTouch NOTE」は、かつての“モバイルギア”のようにモバイル環境でガッツリ使える特徴を備えるのか、外観や機能とともに日本語入力環境の仕上がりをチェックする。
注目のフルキーボードの使い勝手はどうか
さて、本機の注目点はやはり本格フルキーボード利用時の使い勝手だろう。例えば、フルキーボード付きとする端末も珍しくなかったWindows Phone(Windows Mobile含む)搭載スマートフォンはOS側がフルキーボードの利用も意識しており、Ctrlキーをサポートしたり、一部の機能をFn+数字キーに割り当てて利用する使い勝手も配慮されていた。一方、Android OSは基本的にOSとしてそこまで配慮しているとは言えない。PCの代わりとして使うならば、単に「キーボードが付いている」だけではダメなのだ。
キーボードは前述のとおり、日本語JIS配列でファンクションキーを含む縦6段構成だ。主要キーのキーピッチはタッチタイプも可能な16.8ミリで、キーストロークは1.6ミリとなる。
Android OSの操作に必須となる「Menu/検索/ホーム/戻る」キーを右側上部に独立して配置するほか、Menuキーは左シフトキーの上、PCのキーボードで例えるとCaps Lockキーの位置にもある。Androidスマートフォンユーザーなら分かると思うが、Androidアプリケーションを利用する上でMenuキーの利用頻度はかなり高い。タッチ操作を避けてキーボード操作をメインに使おうとするなら、ますます利用頻度は高くなるだろう。この点で、Menuキーが指の届きやすい位置にあるのは思いのほか便利だ。
また、最下段には左から「Fn/Ctrl/Alt」キーが並ぶ。Menuキーも含めたこれらのうち、Menu、Fn、Ctrlキーはそれぞれキーの割り当てを変更できる。つまり、Ctrlキーは左端が当然という人にも、CtrlキーはPCキーボードで言うCaps Lockキーの位置(かつてNEC PC98シリーズではこの位置にCtrlキーがあった)という人にも、柔軟にカスタマイズして対応できる。こういった細かいカスタマイズ可能な部分は「PCの代わりに使う/キーボードをフル活用する」ために必要な機能だと思う。
ではアプリケーションや実際の文字入力ではどうだろう。
大半のAndroidアプリケーションでは、残念ながらEsc、Ctrl、Altといったキーは機能しない。例えばEscは「戻る」と同じ機能でもよい気もするが、WindowsのEscキーと、Androidの「戻る」が持つ意味は違うので、仕方ないといえば仕方ない部分だろう。
例外は、標準でプリインストールされるLifeTouch NOTE用アプリケーション「ライフノート」である。ライフノートはテキスト情報を扱うアプリケーション、いわゆる文字入力のための“エディタ”で、これがLifeTouch NOTEの完成度や利用満足度を左右するキモになる。PCでの操作と同様のCtrl+c(コピー)/v(ペースト)/x(カット)といったショートカットキー操作をサポートし、手軽に文字列の切り貼りができる。もちろんCtrl+zでのUndo、Ctrl+aでの全選択といった操作も可能で、入力した文章のメール送信やブログ投稿機能なども備えている。ライフノートを利用することで、Androidデバイスであっても、普段使うPCに近い文章入力環境を実現できるというわけだ。
日本語入力システムには「ATOK」が標準で備わっている。この日本語入力操作でもCtrlキーは有効だ。例えば、ローマ字かな漢字変換モードのままCtrl+u/i/o/p/@、あるいはF6~F11キーの操作で、英字、ひらがな、カタカナ、アルファベットへの変換、Ctrl+nで部分確定といった、ATOKでなじみのある操作が行える(これはライフノート以外のアプリケーションでも利用できる)。筆者はローマ字かな変換モードのままこれらのキーを使って英単語やカナ入力をするタイプなので、この機能が使えるだけでも文章入力効率が非常に高まり、かつPC操作と同じ感覚で扱えるのがうれしい。Escキーでの入力文字列のキャンセルももちろん有効で、普段PCで使うATOKユーザー辞書の内容をインポートすることもできる。
OSに融合するかたちでEscやCtrlキーをサポートしてくれる方がフルキーボードでの使い勝手は向上するだろうが、開発コストや今後OSのアップデートで標準的にサポートされる可能性を考慮するとなかなか難しい部分はある。とはいえ、やはり単に既存のAndroidデバイスにキーボードを外付けで使用する場合より、はるかに快適な文字入力環境を実現するのは間違いない。「これらがあるなら、仕事用にも使えるだろう」と評価できる。
Tegra 2の処理能力はどうか
キーボードと日本語入力環境以外にもう1つ、本機はデュアルコアのTegra 2(1.0GHz)とする高いパフォーマンスが期待できるCPUを採用する点も期待させる部分だ。
実際に操作してもブラウザのレンダリングはなかなか高速で、一般的な利用ではほとんどストレスが感じないほどサクサク動く。もっとも、1GHzクラスのシングルコアSnapdragonを搭載するAndroidスマートフォンでもこの感覚はほぼ同じだったので、少し触れる程度では2011年2月現在のハイエンドAndroidスマートフォンと比べて差を感じるほど高速ではないかもしれない。
ただ、Flashの動作速度はかなり違う。例えばmixiアプリの「サンシャイン牧場」があたかもPCのようにヌルヌル動いたのには驚いた。Android 2.2であればSnapdragon搭載端末でも動作するが、筆者の知る限りここまでスムーズではなかったはずだ。
また、蛇足かもしれないが本機はスタイラスペンで正確な場所をタップできる感圧式のタッチパネルを備えるので、指の操作で起こりがちな誤操作なしにこういったアプリケーションが楽しめるのもよい(静電式タッチパネルを備える他Androidデバイスの指操作だと、こういった細かい部分は少し操作しにくい場合があるだろう)。
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