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第8回 海外利用サービスで広がる「いつでも・どこでもブロードバンド」のさらなる可能性(後編)本田雅一のハイスピード・ワイヤレス・チャンネル

家電製品の国際展示会 2011 International CES開催中のラスベガス、3Gネットワークは無力だった。これは海外の特殊事情ではなく、近い将来の状況を先取りして表現したと言える。“4G”のWiMAX海外利用サービスを利用し、「次世代ワイヤレスサービスの流れを強く感じた」理由を解説する。

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先進ユーザーが集まるCES開催中のラスベガス、3Gネットワークは無力だった

米国オバマ大統領もWiMAXを推薦
WiMAXネットワークによる学生および周辺居住者をサポートする環境が整うミシガン州の大学で、米国全土における新世代高速ワイヤレスサービスの構築を推進すると講演。「新世代の高速ワイヤレスサービスは、さらなる技術革新や投資、そして仕事をもたらし、米国各地をデジタル回線で結べる方法である。5年以内にアメリカ国民の98%が4G(=WiMAX)によるワイヤレスアクセスが可能な環境を構築する」と述べた

 スマートフォンの増加により着実に高速化を続けてきた3Gネットワークだが、データ通信帯域の需要増加にとても対応しきれなくなってきている。

 ある通信事業者が「電波が悪い」と表現されるのをよく見かけるが、ひとこと電波が悪いと言っても、その意味はさまざまだ。以前であれば利用できる場所についての不満だったが、昨今はデータ通信速度の実効速度の遅さを示すことも少なくない。

 データ通信帯域に関して不満の声が出る背景には、少なからずスマートフォンの影響がある。PCと同じように際限なくパケット通信を行いまくるスマートフォンを多くのユーザーが使っていれば、データ通信帯域が足りなくなることは自明。もともと、そういう使い方が相殺されていないからだ。とはいえ、自由にデータ通信を使い始めたユーザーに、今から秩序的なワイヤレス通信を行えというのは無理な話である。実のところ日本はまだましな方で、iPhoneを米国で販売してきたAT&T Wirelessのネットワークはもっと悲惨だった。

 特にそのことを実感したのは、前回解説したラスベガスでのこと。ラスベガスで開催される家電製品の国際展示会 International CESには、3Gネットワークを用いて通信する非常に多くのスマートフォンユーザー、モバイルPCユーザーが集まり、ごった返す。ホテルの固定回線も遅くなるこの環境下において3Gネットワークは無力だった。

 例えばAT&T WirelessのSIMカードを用いた3Gデータ通信は、Twitterクライアントで新規ツイートを取得する程度の通信でも、モノレールでバリーズ駅から3駅離れた会場駅まで1度も正常にデータを受信できない。これが1度や2度ではなく、ほぼ1日中発生する。もう1つ、PC向けにUSB通信モジュールで試した米Sprintの3Gネットワークを用いるバージン・モバイルも、International CES開催期間中のこの場所では接続すらままならない(普段は十分に使えるのだが)。唯一使えた3Gデータ通信サービスはベライゾンのものだったというが、速度が非常に遅い(300K~350Kbps前後に速度制御される)。つまり、帯域制限をキッチリやらないと、まともに通信トラフィックの交通整理すらままならない状態だったということだ。

 これを海外の、かつInternational CESの時だけの特殊事情と思うなかれ。この事情は、近い将来の状況を表現しているとも言える。今のペースでスマートフォン、タブレット端末でデータ通信を多用するユーザーが増えていけば、どんな創意工夫も受け付けないほど、トラフィックが増加し続けるに違いない。

混雑を極めた3Gネットワーク、WiMAXの海外利用サービスによって救われた

UQコミュニケーションズは「WORLD WiMAX」という名称で海外利用サービスの「WiMAX1日利用サービス」を展開する。米国では2011年2月現在、サンフランシスコ、シアトル、シカゴ、ダラス、ニューヨーク、ヒューストン、フィラデルフィア、ホノルル、マイアミ、ラスベガス、ロサンゼルス、ワシントンD.C.など、韓国ではソウル、プサン、インチョン、テジョン、クァンジュ、テグ、ウルサンなどの都市で利用できる

 海外出張で取材しながら記事を書く身としては、常時利用できるモバイル通信環境を手に入れることで海外出張時の仕事のスタイルは確実に変化する。常にインターネットに接続しながらアプリケーションを利用するスタイル(つまり、日本で行っているのと同じやり方)を、海外でも押し通すことが可能になるためだ。

 ただ、今回のInternational CESでは3Gネットワークは無力だった。ネットワークには接続しているはずなのに、なに1つ、どの通信も完了できず、いつ終わるとも分からない通信の終了を待たなければ、メールを受けることも送ることもできなかった(もちろん、メール以外も同じだ)。

 その環境において、筆者は不自由なく高速で快適に使えたWiMAXの海外利用サービス「WORLD WiMAX」に救われた。WiMAXサービスも、同様にユーザーが増えればどうなるの? と思う人はいるかもしれない。しかし、WiMAXはその限界がはるかに高い。3Gより圧倒的に広帯域で、システム容量も当初から大きく設計されているのはもちろん、理論値最大330Mbpsとする“さらに次”のWiMAX2がごく近い将来にサービスインする(2012年のサービスインを目指す)。これらを考えると、今後数年にわたってWiMAXが高い価値を提供してくれそうなことは容易に想像できる。

WiMAXが高速・快適である技術的な理由はいろいろあるが、広帯域でシステム容量も当初から大きく設計されている3Gとは世代の異なる新世代ネットワークサービスのため、同一基地局でのユーザーが増加しても混雑による実効速度の影響は少ない

 これは、ラスベガスからロサンゼルス(しかも、活動範囲はユニバーサルシティからカルバーシティ、ダウンタウンにトーランス、バーバンクと、幅広く色々なところで取材をした)へと、ロードムービーのごときの展開で移動しながらWiMAXの海外利用サービスを利用してさらに実感した。今すぐにでも3GとWiMAXの融合が進んでほしいという希望を強く持つようになった。

 繰り返しになるが、スマートフォン普及時代において3Gネットワークは徐々に無力になっていくだろう。通信事業者によってトラフィックへの耐性はそれぞれ異なるが、その違いもスマートフォンの普及という流れの中で、簡単に時間の中へとのみ込まれていく。

 スマートフォンの時代、モバイル機器が当たり前になる時代に見合う通信インフラには、まったく新しいブレークスルーが必要なのは明白だ。2011年は混雑を極めた3Gネットワークから逃れ、4GのWiMAXの海外利用サービスによって救われた。このことが、よりいっそう次世代ワイヤレスサービスへの流れを強く感じたのである。

提供:UQコミュニケーションズ株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2011年2月28日

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