「クラウドセキュリティでNo.1をめざす」――トレンドマイクロ事業戦略説明会
トレンドマイクロが事業戦略説明会を実施。301億ドル規模に成長すると試算される今後のセキュリティ市場について、同社はクラウドセキュリティでビジネスの拡大をめざす。
トレンドマイクロは3月24日、報道関係社向けに事業戦略説明会を実施した。冒頭に登壇した同社代表取締役社長兼CEOのエバ・チェン氏は、世界中に存在するデジタルデータの総量が2020年に35ゼタバイト(1TバイトのHDDが3500億台分)に達するというIDCの予測を引き合いに出し、「大量のデータを共有し、格納するクラウドへの旅が始まった」と述べ、クラウド分野におけるセキュリティの展望を語った。
1つのデータセンターで巨大なデータを管理する未来のネットワークでは、PCだけでなく、データを外から直接利用するモバイルデバイスも爆発的に増加し、いわば「ネットワークの境界線が消えた」(同氏)状態になる。その世界では、境界線を守るという従来型のセキュリティではなく、データそのものや(モバイル)デバイスの保護が課題になるという。
エバ氏は「トレンドマイクロはもはやVB(ウイルスバスター)を売るだけの会社ではなくなった」と強調し、データプロテクション向けの「Secure Cloud」とサーバセキュリティ向けの「Deep Security」を挙げて、物理サーバ、仮想サーバ、クラウドを問わず、暗号化レイヤーを通じた安全なデータのやりとりが可能になる“理想”のネットワークを提示する。
また、SNSを利用する個人のスマートフォンで会社のデータにもアクセスするといったように、今後はモバイルデバイスのコンシューマ化も課題になると指摘し、誰かがバーでiPhoneをなくしてもデータが保護される仕組みの重要性を訴えた。同社は2010年にデータ暗号化企業のMobile Armorを買収して同分野における取り組みを強化しているほか、遠隔操作でモバイルデバイスの機能を制限したり、アクセスの遮断やデバイスの位置探索、データ消去などを一元管理する仕組みを提供している。「アンチウイルスやアンチマルウェア、フィルタといったセキュリティだけでなく、さまざまなことが一元管理できるようになる」(エバ氏)。
このほか、エバ氏は省エネルギーの観点からも同社製品の優位性をアピールした。クラウドセキュリティを実現することによって、リソースや帯域の占有率の低さ、処理速度の速さにおいて「グリーンITに貢献できる」と述べ、1つ1つは小さくても1億以上のデバイスを保護することで大きな影響力を持つことができるとした。
一方、3月11日に発生した東北関東大震災への対応についても言及した。同社はすでに緊急義援金として1000万円を寄付しているが、社内からの寄付を募ってその4倍の額を拠出する「Give&Match」プログラムを実施(すでに1000万円が集まっているため、4000万円以上の寄付が確定しているという)、被災地域の個人ユーザーへは同社製品の無償延長(3カ月)や紛失した製品の無償提供を行う。また、現在実施されている計画停電の影響によって、IT管理者のいない企業から停電後の復旧について問い合わせを多くいただいているとし、詳細情報をWebで公開しているほか、パターンファイルの配信など提供中のサービスについては、より冗長化をすすめて停電発生時でもサービスを継続できる体制を維持しているとした。
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