タイ洪水の影響でHDDの売り上げ4割減――BCN調べ:PCへの影響はいまだなし
主要家電量販店のPOSデータを集計するBCNが、タイで発生した洪水の影響で、HDDの売り上げが2010年比で4割程度低下していることを発表した。インクジェットプリンタやPCの売り上げはそれぞれ2010年比で110%、130%と洪水の影響はまだ出ていない。
HDDの販売台数が前年比4割減
タイで発生した洪水の影響で、HDDの売り上げが2010年の同時期に比べて4割程度低下している――。全国量販点のPOSデータを集計するBCNは12月7日、タイの洪水がPCやPC周辺機器などの年末商戦に与える影響について発表した。
同社によると、外付けHDDやベアドライブなどを合算したHDD全体の販売台数は11月最終週においては2010年の同週と比べて59.8%と、約4割減となっている。売り上げへの影響が大きくなり始めたのは、11月第1週(2011年11月7日~13日)で、2010年同週比が59.8%まで一気に落ち込んだ。
その後、11月第3週には48.8%と2010年比で半分以下となったが、現在は60%程度とやや持ち直している。しかし、HDDの関連部品工場なども被害を受けており、供給不足による売り上げの低下はしばらく続くと同社は予想する。
また、洪水はHDDメーカーのシェアにも変化をもたらしたという。2つの工場が被災したウエスタンデジタルのシェア下落が著しく、9月の第1週(9月5日~11日)では22.0%あった同社の販売台数シェアは、10月の第4週(10月24日~30日)に16.8%と落ち始め、11月最終週では8.9%まで下落している。
HDDの販売台数が減る一方で、PCの販売台数は、11月最終週で2010年比129.5%と好調だ。HDDの在庫を確保しているPCメーカーが多く、年末商戦は乗り切れると同社は予想するが、年明け以降もしばらくHDDの供給不足は続く見通しで、2012年3月の商戦期への影響は不透明だとしている。
インクジェットプリンタのシェア、エプソンとキヤノンが逆転
インクジェットプリンタに関しては、キヤノンの工場が被災したため、メーカーシェアには大きな変化が出ているという。9月第1週では49.1%であった同社のシェアは、11月最終週には27.7%まで低下した一方で、エプソンが11月最終週では53.8%までシェアを拡大した。
洪水は収まりつつあるものの、生産設備復旧の見通しが立ちにくく、今後は衛生上の問題や従業員の再確保の問題が懸念されると同社は指摘する。サプライチェーン全体の復旧までにはまだ時間がかかる可能性が高く、PC・デジタル家電の2012年春商戦にも影響が残ると予想している。
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