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“ブルーライト”“まぶしさ”“チラツキ”を自動で抑制――新世代「FlexScan EV」は全PCユーザー必見か!?毎日使うなら、目に優しいディスプレイを(2/4 ページ)

PCのディスプレイはとにかく目が疲れて困る……。そんなユーザーの声に応え、EIZOブランドのナナオから、疲れ目抑制に注力した液晶ディスプレイ「FlexScan EV」シリーズの新モデルが登場した。ブルーライト対策メガネの熱心な愛好家で「これがないと眼精疲労や偏頭痛が発生する」という、テクニカルライターの山口真弘氏にとって、その疲れ目抑制技術はどう映るのか? 主観だけに頼らず、実際に輝度やブルーライトを計測しながら、じっくりと試してもらった。

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ブルーライトを効果的に抑制する「Paperモード」

 疲れ目を抑制するFlexScan EV2436W-FSの機能でもう1つ面白いのがEIZO独自の「Paperモード」だ。これは名前の通り、紙の見え方を模した表示モードで、色温度が4500Kまで下がり、ガンマ値がオリジナルの値へと変更され、液晶ディスプレイの紙に対して高すぎるコントラストも抑制する。

 見た目の変化としては、色温度が一般的な6500Kから大きく下がるため、画面全体が赤みがかって見えることが特徴だ。変更してしばらくは違和感があるが、時間がたつと目のほうが慣れてきて、赤みを感じなくなってくるので問題ないだろう。

初期設定の「User 1」モード(写真=左)と、「Paper」モード(写真=右)の見え方の違い。Paperモードでは色温度が大きく下がり、コントラストも抑制され、印刷した紙の見え方に近くなる。Paperモードでも輝度(ブライトネス)の設定は100%が初期値となっているが、もちろんAuto EcoViewによる自動調光にも対応する。輝度の値は任意に調整することも可能なので、まぶしいと感じたときはPaperモードをオンにしたまま、輝度の値をぐっと下げることもできる

 今回、“目にやさしい”とされるこのPaperモードをオンにしたまま、ブルーライト対策メガネではない通常のメガネを着用してしばらくPC作業を行ったのだが、ブルーライト対策メガネをかけている場合と同じように目が疲れにくく、筆者が悩まされてきた偏頭痛も起こらなかった。こうした症状は個人差もあるので差し引く必要はもちろんあるとしても、筆者にとってはブルーライト対策メガネで得られる効果とどうやら等しいらしい。

 これだけではさすがに主観的すぎるので、実際にディスプレイが発するブルーライトを計測してみることにした。光のスペクトル分布を計測できる分光放射輝度計を使い、Paperモードに設定したFlexScan EV2436W-FSから発せられる光をチェックすると、初期状態のUser 1モードに比べてブルーライトと呼ばれる400~500ナノメートル前後の光が半減していることが分かる。

 ちなみに一般的なブルーライト対策メガネはブルーライトを約30~50%低減する効果があるので、このPaperモードを使えば、ブルーライト対策メガネに頼らずとも目に届くブルーライトの量をほぼ同等の量、あるいはそれ以上減らせることを意味する。

Paperモードの表示(写真=左)と、User 1モードの画面手前にブルーライト対策メガネをかざした様子(写真=右)。ブルーライト対策メガネを通した表示はPaperモードに近く、いずれもブルーライトの抑制に効果があることが分かる
■User 1モード――初期状態におけるUser 1モードの表示を分光放射輝度計で実際に計測した光スペクトル分布図。輝度設定は100%、色温度設定はオフの状態だが、実測値は輝度が315.55カンデラ/平方メートル、色温度が7571Kだった。この状態では波長400~500ナノメートル前後のブルーライトがかなり出ていることが分かる
■Paperモード――オレンジの線がPaperモードの表示を計測した光スペクトル分布図、青線がUser 1モードの初期状態。Paperモードに切り替えると、ブルーライトが大きく減衰するのが分かる
■ブルーライト対策メガネを重ねた場合(User 1モード)――オレンジの線がUser 1モードの表示にブルーライト対策メガネを重ねて計測した光スペクトル分布図、青線がUser 1モードの初期状態。こちらもブルーライトが減衰した。減衰の傾向はPaperモードに似ている

 もう少し詳しく見てみよう。Paperモードでは色温度が低めの4500Kに下がることが特徴だが、この色温度だけにフォーカスしてディスプレイの設定を変更すると、ブルーライトの量がどの程度変わるのだろうか。初期設定のUser 1モードに設定し、色温度を10000K、9300K、8000K、6500K、5000K、4500Kと段階的に下げながら、光スペクトル分布を計測してみた。

 結果は以下のスペクトル分布図の通りで、5000K以下になるとブルーライトの量が激減することが分かる。PCやインターネットコンテンツで一般的な色温度は6500Kとされるが、ブルーライト抑制のためにはこの値では不十分で、さらに下げてやることで、より一層の効果が得られるという結果となった。

■色温度10000K設定(User 1モード)――オレンジの線が色温度10000K設定の表示を計測した光スペクトル分布図、青線がUser 1モードの初期状態。User 1モードの初期状態は色温度が約7500Kとなっており、それより約2500Kも色温度が高い表示で、白色がかなり青っぽく見える。しかし、初期状態とブルーライト領域の光量は変わらず、500~700ナノメートルの波長域で減衰が見られる
■色温度9300K設定(User 1モード)――オレンジの線が色温度9300K設定の表示を計測した光スペクトル分布図、青線がUser 1モードの初期状態。こちらも白色がかなり青っぽく見える表示で、計測結果は1つ上の色温度10000Kとほとんど同じ傾向だ
■色温度8000K設定(User 1モード)――オレンジの線が色温度8000K設定の表示を計測した光スペクトル分布図、青線がUser 1モードの初期状態。初期状態の約7500Kに近いため、500~700ナノメートルの波長域が強まり、青線とほとんど重なった
■色温度6500K設定(User 1モード)――オレンジの線が色温度6500K設定の表示を計測した光スペクトル分布図、青線がUser 1モードの初期状態。初期状態の約7500Kから約100K下がり、ブルーライトの量が微減した。見た目にも白の青みが抑えられ、赤みが差してくる
■色温度5000K設定(User 1モード)――オレンジの線が色温度5000K設定の表示を計測した光スペクトル分布図、青線がUser 1モードの初期状態。1つ上の6500Kに比べて、ブルーライトが急減している点に注目だ。見た目には白がさらに赤みを差す
■色温度4500K設定(User 1モード)――オレンジの線が色温度4500K設定の表示を計測した光スペクトル分布図、青線がUser 1モードの初期状態。Paperモードと同じ色温度になり、1つ上の5000Kに比べて、さらにブルーライトが減った

 ちなみに色温度ではなく、輝度を下げた場合もブルーライトの量は減るが、この場合は単に画面を暗くしているだけなので、ブルーライト以外の領域についても光量が減ることになる。初期設定のUser 1モードに設定し、輝度を100%(初期設定)、50%、30%、20%、10%と段階的に下げながら、光スペクトル分布を計測してみた。

■輝度100%設定(User 1モード)――初期設定の状態。輝度の実測値は315.55カンデラ/平方メートルとかなり明るい
■輝度50%設定(User 1モード)――オレンジの線が輝度50%設定の表示を計測した光スペクトル分布図、青線がUser 1モードの初期状態。輝度の実測値は183.91カンデラ/平方メートルまで下がり、ブルーライトを中心に全体的な光量が減っているのが分かる。これでも見た目にはまだ明るい
■輝度30%設定(User 1モード)――オレンジの線が輝度30%設定の表示を計測した光スペクトル分布図、青線がUser 1モードの初期状態。輝度の実測値は124.77カンデラ/平方メートルまで下がり、ブルーライトのピーク分布量は3/5程度まで減った。ほかの波長でも同様の減衰が見られる。なお、照度が500~1000ルクス程度ある一般的なオフィス環境では、100~150カンデラ/平方メートル程度の輝度が適切といわれており、これくらいの明るさがちょうどよい
■輝度20%設定(User 1モード)――オレンジの線が輝度20%設定の表示を計測した光スペクトル分布図、青線がUser 1モードの初期状態。輝度の実測値は92.96カンデラ/平方メートルまで下がり、1つ上の30%時と似た傾向だが、ブルーライトのピーク分布量は1/3程度まで減衰した。オフィスよりやや暗い一般家庭の室内照明下では、この程度の明るさで十分な視認性が確保できる
■輝度10%設定(User 1モード)――オレンジの線が輝度10%設定の表示を計測した光スペクトル分布図、青線がUser 1モードの初期状態。輝度の実測値は48.92カンデラ/平方メートルまで下がり、ブルーライトのピーク分布量は1/5以下まで激減したが、全体的な光量も大きく減っており、照明がついた部屋では表示がかなり暗い印象だ

 ブルーライトだけを効率的に抑制したいのであれば、色温度を積極的に下げたほうが効果が高いが、輝度を下げること自体、目に入る光の刺激が減り、疲れ目抑制につながることは前述の通りだ。

 つまり、色温度を4500Kまで下げるPaperモードを活用することは、ブルーライト対策に効果的で、これにAuto EcoViewの自動調光機能を組み合わせれば、さらに目にやさしい表示が常に得られるといえる。

■Paperモード+輝度50%設定――Paperモードに設定し、輝度を50%まで下げた状態の光スペクトル分布を計測。初期状態のUser 1モードに比べて、ブルーライトのピーク分布量は1/5近くまで低減できている。Paperモードと状況に応じて輝度を自動調整するAuto EcoViewを併用すれば、ブルーライトを抑制しつつ、光がまぶしいこともない、目にやさしい表示が室内の明るさにかかわらず維持されるというわけだ

提供:株式会社ナナオ
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia PC USER 編集部/掲載内容有効期限:2013年3月31日

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