“ブルーライト”“まぶしさ”“チラツキ”を自動で抑制――新世代「FlexScan EV」は全PCユーザー必見か!?:毎日使うなら、目に優しいディスプレイを(1/4 ページ)
PCのディスプレイはとにかく目が疲れて困る……。そんなユーザーの声に応え、EIZOブランドのナナオから、疲れ目抑制に注力した液晶ディスプレイ「FlexScan EV」シリーズの新モデルが登場した。ブルーライト対策メガネの熱心な愛好家で「これがないと眼精疲労や偏頭痛が発生する」という、テクニカルライターの山口真弘氏にとって、その疲れ目抑制技術はどう映るのか? 主観だけに頼らず、実際に輝度やブルーライトを計測しながら、じっくりと試してもらった。
疲れ目抑制の機能を盛り込んだ新世代ディスプレイ「FlexScan EV」とは?
ディスプレイを長時間見続けることによる眼精疲労と偏頭痛を解消すべく、筆者が「ブルーライト対策メガネ」を愛用するようになってはや半年。当初は半信半疑だったが、明確な効果があることが実感でき、いまや日常生活に欠かせないパートナーになった。
メガネの度が合っていないのではないかと再測定したり、チェアに座る際の姿勢に気を付けたり、とさまざまな工夫を試みても、眼精疲労や偏頭痛にまったく変化が見られず、長年悩まされてきたのがウソのようだ。
筆者自身、現在のブルーライト対策メガネの効果に不満はないのだが、そもそもディスプレイからこうしたブルーライトが出ていることに端を発しているわけで、メガネ側でカットするのではなくディスプレイ側で抑制してくれればいいのに、という思いはある。
元はといえば、ディスプレイ側で輝度を最も低くしても疲れ目は解消されず、あきらめていたところにブルーライト対策メガネが登場し、試してみたら効果があった──という経緯で、ブルーライト対策メガネはいわば“対処療法”だからだ。
また、筆者はもともとメガネ着用者であったことからブルーライト対策メガネに取り替えることに特に違和感はなかったが、メガネをかけない人にとっては新たにメガネを着用するのは抵抗があるのが普通だろう。またブルーライト対策メガネはレンズに色が付いていることも多く、職場での着用がNGというケースもある。いかなるシチュエーションにもフィットする製品というわけではないのだ。
と思っていたところ、ナナオから新たに登場した液晶ディスプレイ「FlexScan EV2436W-FS」がこうした問題に対応できそうだと聞いた。同社はディスプレイメーカーとして、以前からPC作業と疲労の関係を調査し、疲労軽減に貢献するような機能や機構を積極的に採り入れてきたが、今回の新機種は特に疲れ目抑制に注力したという。早速、その実力を試してみることにした。
先に結論を書いてしまうと、これがなかなかよくできているわけだが、筆者がそう結論づけるに至ったプロセス、そして読者諸兄がこのディスプレイを手に入れた場合、疲れ目の抑制に効果が期待できるのか、その可能性について見て行きたい。
疲れ目の一因といわれている「ブルーライト」
ブルーライトとは、可視光(400ナノメートルから800ナノメートル)の中でも波長が短い光(400ナノメートルから500ナノメートル前後の光)を差す。紫外線により近い波長域のため、単位あたりのエネルギーが強く、目や人体に対する影響が懸念されている。
最近ではブルーライトをカットするメガネや、画面保護フィルムなどが多数販売されており、PC関連製品のトレンドになっている。
ブルーライトと光の区分 | ||
---|---|---|
区分 | 波長 | 備考 |
可視光 | 400〜800nm | 人間の目に見える波長域 |
ブルーライト | 400〜500nm | 可視光に含まれる |
UVA | 400〜315nm | 紫外線に含まれる |
UVB | 315〜280nm | 紫外線に含まれる |
UVC | 280nm以下 | 紫外線に含まれる |
紫外線 | 10〜400nm | 人間の目に見えない波長域 |
室内の明るさに合わせて輝度を自動調整する「Auto EcoView」
ナナオは、液晶ディスプレイの利用による目の疲れには複合的な要因があり、これらを組み合わせて対策することが重要だとしている。最近のトレンドでは冒頭で述べたブルーライトが真っ先に挙げられるが、2008年にはディスプレイのまぶしすぎる輝度も疲れ目に悪影響を与えるという調査結果を発表した。まずは、この輝度にスポットを当てよう。
自宅のPCを24時間つけっぱなしにしている人であれば、夜中に部屋の明かりをつけないまま、ディスプレイをオンにして作業した経験がおそらくあるだろう。その際にディスプレイがやたらにまぶしく感じられるのは、真っ暗な室内との明暗差がありすぎるからだ。明るい部屋では特にまぶしく感じられないのに、暗い場所に目が慣れているがゆえに、ディスプレイが明るすぎるように錯覚してしまうわけである。
これはやや極端な例だとしても、部屋の明るさとディスプレイの輝度が最適な状態で保たれていなければ、ディスプレイを見たり目を離したりする度にピントの調節が行われ、結果として眼精疲労につながるといわれている。例えば、マルチディスプレイ環境下で輝度が大きく異なる2台のディスプレイを並べて見たり、明るさが違うディスプレイと紙の資料を見比べたり、輝度が異なるディスプレイとスマートフォンの画面を交互に見るといった行為は、目の疲労の原因となりうる。
さて、今回試したFlexScan EV2436W-FSには、目の疲れを緩和するさまざまな機能が搭載されている。まず最初に紹介するのが「Auto EcoView」という機能だ。これは本体下部に内蔵した照度センサーにより周囲の明るさを検知し、リアルタイムでディスプレイの輝度を最適と思われる値に自動調整する機能である。
先ほどの例でいうならば、室内が真っ暗な状態でディスプレイをつけると、輝度を大幅に下げ、目に負担をかけないように調節してくれる。また、昼間にカーテンの隙間から日差しが差し込んでいるような場合には、画面表示が暗く感じないように輝度を自動的に上げてくれる。
このAuto EcoViewをオンにしてしばらく使い続けてみたが、筆者が液晶ディスプレイで気になっていた、目の奥を刺すようなまぶしさをあまり感じなくなった。
実際に照度計と輝度計を用いて、室内の照度が変化した際に、輝度がどのように変わるのか測定してみた結果が下表の通りだ。室内の蛍光灯の点灯数を変えて室内の照度が変化する度に、輝度も細かく変化していることが分かる。輝度は無段階で緩やかに変化するので、作業しながらだと変化に気づかないこともしばしばなのだが、細かな光量の変化も見落とさずに輝度を調整してくれているのが心強い。
Auto EcoViewのように輝度の自動調節機能を持たないディスプレイであれば、室内の明るさがどれだけ変化しようともディスプレイの輝度は一定なので、それだけ目が刺激を受ける機会も増える。周囲の明るさの変化に応じて、手動で輝度を上げ下げすれば、同じような効果は得られるだろうが、1日のうちに何度も調整し直すのは煩わしい。
筆者の場合は、周囲に対して明るすぎる輝度が眼精疲労や偏頭痛という形で現れていたわけで、自動的に輝度を変更してくれるAuto EcoViewの恩恵は大きいといえる。
さて、次は気になるブルーライトの抑制効果をチェックしていこう。
提供:株式会社ナナオ
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia PC USER 編集部/掲載内容有効期限:2013年3月31日
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