「実は社長を狙ってました(笑)」──元日本MS幹部が語るグーグル・クラウドへ移籍した理由と「伸び代しかない」日本のAI市場の今後:IT産業のトレンドリーダーに聞く!(1/3 ページ)
2025年10月、日本マイクロソフトで20年間にわたり要職を歴任してきた三上智子氏が、グーグル・クラウド・ジャパンの代表に就任した。就任から半年が経過した今、彼女はなぜGoogle Cloudを選んだのかについて、率直に語ってもらった。
2025年10月1日に、グーグル・クラウド・ジャパンの代表に三上智子氏が就任してから、既に半年以上が経過した。
日本マイクロソフトで20年間にわたりWindowsやSurface、HoloLensといった主要製品のマーケティングを担当したことに加え、中堅中小企業ビジネスやエンタープライズビジネスを統括するなど、IT業界における女性リーダーの1人として活躍していた三上氏のライバル企業への移籍は、業界内でも大きな注目を集めた。
なぜ、グーグル・クラウド・ジャパンに移籍したのか。そして、グーグル・クラウド・ジャパンはどう変わろうとしているのか。前編では、同社に入社した経緯と、これからの取り組みなどについて聞いた。
自問自答の末にたどり着いたパーパスと、競合への移籍を決断した理由
―― 日本マイクロソフトに20年間在籍し、執行役員常務などを歴任した三上代表が、グーグル・クラウド・ジャパン入りしたのには驚きました。なぜ、グーグル・クラウド・ジャパンの代表に就任したのですか。
三上 日本マイクロソフトで100人以上の組織を率いるようになり、「なぜ働くのか」ということを自問自答する機会が増えてきました。シニアリーダーシップチームのメンバーの1人として、チームを1つにまとめ、変革を成し遂げるために、組織のビジョンやパーパスといったものを考え、それに取り組んできました。
そのとき、私自身のパーパスをしっかりと作り上げなくてはならないと感じ、徹底的に考え抜いたのです。今から5〜6年前のことです。その結果、たどり着いた私のパーパスが、「テクノロジーの力で世の中を良くしたい、貢献したい。日本を元気にしたい」ということでした。これは、IT業界で働いている多くの人たちに共通していることではないでしょうか。
私は海外で勤務したこともありますし、日本からアジア全体を統括するといったポジションへの提案もありました。しかし、自分のパーパスを設定して以降、生まれ育った日本で仕事をしたい、日本に貢献したいという思いが、ますます強くなってきました。
日本には世界に誇れるものが数多くある一方で、子供たちが未来に希望を持てる世の中を作るという点では、まだまだやらなくてはならないことがあります。そこに貢献したいと考えていました。
―― 日本マイクロソフトのシニアリーダーシップチームの一員から、競合のグーグル・クラウド・ジャパンの代表への移籍は、業界内でも話題となりました。
三上 お話をいただいたときには、とても悩みました。ただ、大きな視点で捉えたときに、自分のパーパスを実現するために、より大きなインパクトを出せるチャンスになると思ったのです。
また今ならば、新たなポジションで力を発揮できるという思いもありました。立場は変わりましたが、私自身がやりたいことは変わっていません。Google Cloudは、日本マイクロソフトに在籍していたときから、リスペクトしていた企業の1つです。
Google Cloudの代表は、より責任があり、より大きな組織を率いて日本に貢献することができる立場であると考えています。私は、日本のIT業界で働く方々は、全員が同志だと思っています。そうした方々と一緒に、日本のIT業界を活性化させ、日本を元気にしたいですね。
また、女性の働き方が多様化する中で、こんな働き方もあるんだということを示したいという気持ちもありました。私は、典型的なバックグラウンドを持っているわけではありません。女性経営者という点では、マジョリティといえる経歴ではありませんが、働いている女性にとって、可能性を示すことができればとも思っています。
―― 社長になりたいという気持ちはあったのですか。
三上 正直に言うと、そこを狙っていました(笑)。私の性格的には、「とてもそんなことはできません」というタイプなんですが(笑)、5〜6年前に自分のパーパスを定めた際に、それを実現したいのだったら、もっと責任がある立場に就かなくてはならないし、最終的には会社をリードする立場に就くことが、目指す成果を最大化できると考えていました。
単に地位の向上が目的ではなく、社長になることを目指していたというのではありません。日本に貢献したいという大義を実現する役割として、会社をリードする立場に挑戦したいと考えてきました。
ですから、日本マイクロソフトを辞めるのであれば、次は会社をリードする立場でなくてはいけないと思っていました。主体的な立場で企業の変革に携わり、お客さまの価値創造に貢献することが、私のパーパスを実現するためには必要な道筋であり、今回のグーグル・クラウド・ジャパン入りは、大切な選択となりました。
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