QNAPの“革命的”ファームウェア「3.8」を試す:さらにできるようになった最強NAS(2/2 ページ)
QNAPのTurboNASは、継続的なファームウェアのバージョンアップが特徴の1つ。今回リリースされた「3.8.0」および「3.8.1」はブレイクスルーともいえるバージョンだ。
プレイリストの曲をストリーミング配信する「DJ Station」
そして、共有プレイリスト機能をさらに推し進めたのが「DJ Station」だ。DJ Stationは、DJ Stationに接続しているユーザー全員にプレイリストの曲をストリーミング配信する。共有プレイリストはあくまで曲のリストであり、それぞれのユーザーが自身のタイミングで曲の再生を行うのに対し、DJ Stationは曲そのものを配信し、全員が同じタイミングで同じ曲を聴くことになるわけだ。
リスナーは再生中の曲に対して「いいね」「よくない」ボタンを押すことができるが、3人以上が「よくない」を押したら次の曲へスキップする、という設定もある。なお、DJ StationをFacebookで共有することも可能だが、著作権の扱いには十分注意しよう。
一方、ダウンロードセンターには地味ながら使い勝手を改善してくれる新機能が追加されている。各曜日1時間単位で、全速/制限内速度/オフの3つから設定できるスケジューリング機能だ。自分が在宅中、ネットワークをあまり占有してもらいたくない時間帯は利用帯域を制限、もしくはオフにし、不在や就寝中は全速というように柔軟に設定できるようになった。
また、BitTorrentのトレントファイルを検索する「BT検索」も追加された。これはPirateBay、mininova、isohuntなどトレント検索エンジン8サイトを縦断してトレントファイルを検索するものだが、検索結果がマルウェアだったり、違法なファイルである可能性も高い。利用には十分気をつけてほしい。
リビングに進出した「ファームウェア3.8.1」
ファームウェア3.8.1で特筆すべきは、HDステーションのサポートだ。HDステーションはHDMIで接続したテレビなどにインタフェース画面を表示し、リモコンなどで操作する。簡単に言えばTurboNAS自身がメディアプレーヤーになったようなものだ。
HDステーションに用意されたアプリは、XBMC、Chrome、YouTube、MyNASの4つ。中でもインパクトが大きいのがXBMCだ。XBMCはもともとXBox用に開発されたオープンソースのメディアプレーヤーで、画像、動画、音楽といったメディアファイルの再生に加え、アドオンを導入することでさまざまな機能を追加できる。操作には別売のリモコンが使える(シリアルが「Q13xxxxxxx」の対応モデルのみ)ほか、iOS用のリモコンアプリ「Qremote」もリリースされている。なお、HDステーション対応モデル(HDMI出力をサポートする機種)は、現時点でTS-x69 Proシリーズ(TS-269Pro、TS-469Pro、TS-669Pro、TS-869Pro)とTS-x69Lシリーズ(TS-269L、TS-469L、TS-569L、TS-669L、TS-869L)になる。
これまでのTurboNASは、「裏方」としてあまり表に出てはこず、マルチメディアステーションなどのアプリケーションにしても、インタフェースはあくまでクライアントであるPC側が担っていた。ところが今回のHDステーションは、TurboNAS自身がプレーヤーとして動作する。
QNAPはネットワークメディアプレーヤーとしてNMP-1000/NMP-1000Pをラインアップしていたが、こちらはNASとしても動作する半面、(NASの用途では)性能面で物足りない部分があった。一方、HDステーションはその逆のアプローチであり、TurboNASのCPUパワーがかなり高くなったこともあって、NAS/メディアプレーヤーのいずれでも不自由は感じない。
ファームウェア3.8は今後の方向性を模索する、非常に野心的なバージョンといえる。対応するTurboNASを運用している人はもちろん、これからNASを導入しようと思っている人も是非、TurboNASの新機能に触れてみてほしい。今までにない、新たな可能性を感じるはずだ。
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