レビュー

「dynabook V713」実力診断(後編)――省電力Coreプロセッサー「Y」シリーズの実力に迫るSurface Pro、Iconia W3と比較(1/2 ページ)

レビュー後編では、各種ベンチマークテストで「dynabook V713」が採用する超低電圧CPU、「Y」シリーズの実力を調べていく。他のCPUに比べて、パフォーマンスやバッテリー動作時間はどう変わるのか。

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店頭モデルより高性能な直販モデルで性能をチェック

東芝の新Ultrabook「dynabook V713」。レビュー後編では、各種ベンチマークテストで基本性能をチェックする

 “紙のような書き心地”のペン入力を目指したデタッチャブル型Ultrabook「dynabook V713」。レビューの前編と、中編では着脱機構やディスプレイ、そしてデジタイザスタイラスによるペン入力をチェックしたが、本機は第3世代Coreプロセッサー(開発コード名:Ivy Bridge)の中でも低消費電力を特徴とする「Y」シリーズを採用したのも見逃せないポイントだ。Atom Z2760(1.8GHz)搭載のWindows 8タブレットより高性能を実現しつつ、長時間のバッテリー動作を確保している。レビュー後編では、各種ベンチマークテストを通じてYシリーズの実力に迫ろう。

 まずは、テストの前にdynabook V713の構成を確認する。評価機は東芝ダイレクト限定で販売されるWebオリジナルモデル「V713/W1J」を選択した。店頭モデルとそれぞれの主な仕様は以下の通りだ。

「dynabook V713」の主な仕様
分類 店頭向けモデル(V713/28J) Webオリジナルモデル(V713/W1J)
CPU Core i5-3339Y(1.5GHz/最大2GHz)
チップセット Intel HM76 Express
メモリ 4Gバイト(4Gバイト×1/DDR3-1600/交換不可)
データストレージ 128GバイトSSD 256GバイトSSD
液晶ディスプレイ 11.6型ワイド(1920×1080ドット)、静電容量式タッチパネル内蔵
光学ドライブ
グラフィックス Intel HD Graphics 4000
無線通信 IEEE802.11a/b/g/n無線LAN、Bluetooth 4.0
OS 64ビット版Windows 8
オフィススイート Office Home and Business 2013 なし
クリエイティブ系ソフト Adobe Photoshop Elements 11、Adobe Premiere Elements 11
実売価格 17万円前後 14万4800円から(上記の構成、Office付属モデルは16万800円から)

 店頭モデルはデジタイザ内蔵の上位モデル「V713/28J」と非対応の標準モデル「V713/27J」の2モデルを用意する。一方で、直販モデルはデジタイザを内蔵する1モデルのみとなり、店頭モデルよりもSSDの容量が多い。リカバリー領域やプリインストールソフトウェアで店頭モデル(128GバイトSSD)は初期の空き領域が少なくなりがちなので、容量が足りないと感じるならば、Webオリジナルモデルを選ぶのがお勧めだ。

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評価機のデバイスマネージャ画面。SSDは東芝製の「THNSNF256GMCS」(容量256Gバイト/6Gbps)を搭載していた

「Y」シリーズのパフォーマンスは?

 それではベンチマークテストの結果を見ていこう。今回はCore i5-3317Uを搭載するWindowsタブレット「Surface Pro」や、Atom Z2760を搭載するWindowsタブレット「ICONIA W3-810」と性能を比較しつつ、実力を考察する。

テストしたマシンの主なスペック
機種 dynabook V713(直販モデル) Surface Pro ICONIA W3-810
OS 64ビット版Windows 8 64ビット版Windows Pro 64ビット版Windows 8
CPU Core i5-3339Y(1.5GHz/最大2GHz) Core i5-3317U(1.7GHz/最大2.6GHz) Atom Z2760(1.8GHz)
メモリ 4Gバイト 2Gバイト
ストレージ 256GバイトSSD 128GバイトSSD 32GバイトSSD(eMMC)
画面サイズ 10.6型ワイド 11.6型ワイド 8.1側ワイド
解像度 1920×1080ドット 1280×800ドット
グラフィックス Intel HD Graphics 4000 Intel Graphics Media Accelerator

 まずはWindowsエクスペリエンスインデックスの結果から。dynabook V713は256GバイトSSDを搭載するプライマリハードディスクのスコアが8.0と高い一方で、グラフィックスが最も低く4.6となった。Surface Proと比較すると、グラフィックスのスコアに差が出ている。なお、SSDの速度はCrystalDiskMark 3.0.2で測定したが、シーケンシャルリードが500Mバイト/秒に達するなど高速だった。シーケンシャルライトやランダム512Kの速度も400Mバイト/秒を超えている。

Windowsエクスペリエンスインデックスのスコア(写真=左)と、CrystalDiskMark 3.0.2のスコア(写真=右)。dynabook V713はSurface Proよりやグラフィックスのスコアが低い

 dynabook V713が搭載するCore i5-3339Yは、Surface Proが実装するCore i5-3317Uよりクロックが低いためか、PCの総合的な性能を評価するPCMark 7、PCMark Vantageのスコアもやや低い結果となった。一方で、3D描画性能を計る3DMark Vantageと3DMark、そしてゲーム系のストリートファイターIVベンチマークとモンスターハンターフロンティア ベンチマーク【絆】については、さらに差が大きくなる印象だ。

 Windowsエクスペリエンスインデックスの結果からも、YシリーズはUシリーズより内蔵グラフィックス能力は低い傾向にある。とはいえ、Atom Z2760を搭載するモデルよりは格段に能力は高い。SSDを搭載する薄型ノートPCやUltrabookに迫るパフォーマンスは発揮できると評価する。Photoshop ElementsやPremiere Elementsといった負荷が高い編集ソフトをプリインストールしている分、欲をいえばメモリは8Gバイトあるとなおよかったと思う。

PCMark 7(グラフ=左)とPCMark Vantage(グラフ=中央)、3DMark06(グラフ=右)のスコア。CPUのクロックが低い分、dynabook V713はSurface Proよりもやや低いスコアとなっている。もちろんAtom Z2760(1.8GHz)搭載のWindows 8タブレットとは比べものにならない性能であることは言うまでもない
左から3DMark、ストリートファイターIVベンチマーク、モンスターハンターベンチマーク【絆】のスコア。統合ベンチマークのスコアよりも、dynabook V713とSurface Proのスコアに差が出る

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