「dynabook V713」実力診断(後編)――省電力Coreプロセッサー「Y」シリーズの実力に迫る:Surface Pro、Iconia W3と比較(2/2 ページ)
レビュー後編では、各種ベンチマークテストで「dynabook V713」が採用する超低電圧CPU、「Y」シリーズの実力を調べていく。他のCPUに比べて、パフォーマンスやバッテリー動作時間はどう変わるのか。
バッテリー動作時間は約6時間、放熱設計も優秀
それでは本機が搭載するプロセッサー、「Y」シリーズの消費電力をチェックしよう。Core i5-3339YのTDPは13ワット(インテルの新しい消費電力基準であるSDPは7ワット)を実現しており、Atom Z2760(TDP1.7ワット)ほどではないにせよ、「U」シリーズを搭載するWindowsタブレットで課題となりがちな、バッテリー動作時間は改善していると期待できる。
バッテリー動作時間はBBench 1.01(海人氏・作)を利用して測定した。無線LAN経由でネットに常時接続し、「60秒間隔でのWeb巡回(10サイト)」と「10秒間隔でのキーストローク」の設定でテストを行った。キーボードドックに接続しており、電源プランは「バランス(ディスプレイ輝度40%)」を利用している。
この条件で、バッテリー満充電の状態から残量2%で休止状態に入るまでの時間は約5時間56分だった。公称のバッテリー動作時間である約7時間には及ばないが、TDP17ワットのCore i5-3317Uを搭載するSurface Pro(同条件で約4時間54分)などと比べてもバッテリー動作時間は長い。出先で写真を撮影して本機にデータを移し、Photoshopで編集するといった用途も見えてくる。
バッテリー動作時間を延ばしたいならば、消費電力を確認しつつ省電力設定を行える「東芝ecoユーティリティ」を使うのもいい。電源プランをecoモードにすれば、ディスプレイの暗転やスリープへの移行までの時間が変わり、もう少しバッテリー動作時間を延長できる。キーボードドックを接続しているならば、タッチパッドの右上のダブルタップするだけで「ecoユーティリティ」が起動するので便利だ。
dynabook V713は、Windowsタブレットとしては放熱設計が優秀といえる。ベンチマークテスト中でも、背面左上にあるファン付近が約40度まで上昇したが、そのほかの部分は大体30〜33度程度と熱さを感じることはなかった(室温28度)。ファンから勢いよく吹き出す排気の音は約43デシベルに達したものの(暗静音時は約32デシベル、本体手前5センチで測定)、Webブラウジングや文書作成といった普段使いではこのような音は出ない。動画編集などの用途に使うなら気をつけた方がいい点だ。
デタッチャブルUltrabookの1つの方向性を示す意欲作
以上、3回に渡ってdynabook V713をレビューしてきた。本機はキーボードドックとの着脱機構、デジタイザ対応スタイラスの快適な書き心地、そして超低電圧CPUの採用と見どころが多いマシンだ。東芝2台目のUltrabookとして、今までの同社製品にはなかった機能や仕様を数多く盛り込んできた意欲的なマシンという印象を受けた。高性能かつバッテリーが持つタブレットがほしい人や、お絵描き用のマシンを考えている人におすすめできる。
Webオリジナルモデルの価格(Officeなしモデル)は14万4800円だ。10万円程度で同等の基本スペックを持つUltrabookもあるが、256GバイトSSDや筆圧検知対応のワコム製デジタイザ、そしてデタッチャブルスタイルならではの幅広い活用シーンを考慮すれば、納得できる価格といえる。
ペン入力のギミックについては荒削りな部分もあるし、超低電圧版のCPUであるYシリーズを搭載していながら、世代が古い“Ivy Bridge”を採用したところに不満は残る。とはいえ、書き心地へのこだわりや高性能な省電力CPUの採用といった部分は、Windows 8以降のPC/タブレットが向かう1つの方向性を示していると感じる。本機はもちろん、今後の展開にも注目したい新シリーズだ。
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