レビュー

iPad AirとiLife/iWorkが描く「未来へのなだらかなシフト」林信行の「iPad Air」先行レビュー(1/5 ページ)

iPad Airは、その名の通り、時代の“空気”を変えてしまうiPadになるかもしれない。クラス最軽量の薄いボディに次世代の性能を詰め込んだiPad Air。ここに6つの無料アプリとiCloudが加わると、1歩足を踏み入れれば2度と抜け出せなくなる快適な未来が広がり始める。

クラス世界最軽量のiPad Airは、他社を振り払う強烈な一打

 2010年の鮮烈なデビューからわずか3年で、世界に1.7億台を出荷したiPad。同製品はこの短い間に世界の風景を変え、さまざまなビジネスを変えたモンスターだ。その爆発的な売れ行きを見て、慌てて追従を始めた他社タブレットと比べ、出荷台数のシェアでも、実際に使われている率でも圧倒的に有利な立場にある。にも関わらず、アップルはここへきて、追いつこうとする他社を振り払うように、一気に引き離しにかかった――iPad Airに触れて、最初に感じたのはそんなことだ。

アップル2013年秋の新作、iPadの大きな画面の魅力はそのままに弱点の重さを大幅に克服した「iPad Air」。時代の空気を変えるタブレットになりそうだ

 9.7型の旧iPad(第4世代iPad)は、高精細Retinaディスプレイと強力なプロセッサを備え、iPadを勉学や仕事に活用するシリアスユーザーには魅力的なiPadだった。

 自分の過去のすべての仕事/作品を入れておいて、思い立ったときにサっと迫力のある大画面と繊細なディテールを描き出す旧iPadは、最強のコミュニケーションツールであり、ゆえに営業マンの最強の武器でもあった。その一方で、学生たちが拡大と縮小操作を繰り返さなくても心地よく教材の文章が読める最強の電子教材でもあり、自宅や飛行機の中では最強の個人用ミニシアターだった。

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 ただ、勉学や仕事といったニーズがあれば多少はガマンできても、個人が趣味やライフスタイルの一環として持ち歩くには少々重いのが問題点でもある。

 実際、筆者はiPad miniの併用を始めた途端、その軽さに負けて、旧iPadをほとんど持ち歩かなく(=使わなく)なってしまった(筆者のiPadの使い道は、1対1で画面を見せるか、プロジェクターでスライドを投影する形が多く、iPadそのものの画面サイズはそれほど関係なかった)。

 これまでのiPadは、最強コミュニケーションツールではあるけれど、やや重い――iPad Airは、この問題を見事に解決した。

箱から取り出してみて、最初の感想は「軽い」。これは旧iPadを使った人ならではの感想かもしれないが、タブレットが初めてという人も安心。これがこのクラス世界最軽量の軽さだからだ

 画面の大きさこそ従来通りの9.7型だが、最軽量モデルはわずか469グラム。これはiPad miniの最軽量モデルより138グラム重く、旧iPad(第4世代)の最軽量モデルと比べて183グラムほど軽い。つまり、重量面では以前の9.7型iPadよりもiPad miniに近いのだ。実際に旧iPadを持っていた人は、iPad Airを手に持てばすぐに「軽い!」と声に出して驚くことだろう。

 なかには軽すぎて安っぽくなったと感じる人もいるかもしれない。実際に筆者も一瞬、そう思った。人はしっかりと重さを備えた重厚感のあるものに高級さを感じ、予想に反して軽いものにはその反対の印象を抱くことがある。

 しかし、この印象はiPad Airを数分持っていると「それほどでもないか」に変化する。持った瞬間は軽すぎ、しかし1~2分で落ち着く。iPad Airは、それくらい絶妙なところをついた軽さなのだ。ちなみに469グラムという重さは、10型クラスのタブレットとしては世界最軽量だ。これは、旧iPadの重さを知っている人だけでなく、iPad Airを初めてのタブレットとして検討中の人にも魅力的なニュースだ。

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