初のHSA対応APUとなる次期Aシリーズ“Kaveri”の出荷計画を明らかに:発売は2014年1月14日(2/2 ページ)
AMDの次期主力APU“Kaveri”は年末から出荷が開始され、2014年1月14日にデスクトップ向けモデルを発表、同時発売する。4コアCPU+512コアGPU構成では演算性能が856GFLOPSに達する。
AMDの次期主力APUとなる“Kaveri”は、第3世代のBulldozerアーキテクチャCPUコアとなる“Steamroller”(スチームローラー)ユニットを2基統合することでx86 CPUのクアッドコア構成を実現している。グラフィックスコアには、Radeon R9 290Xなどと同じ、第2世代のGCN(Graphics Core Next)アーキテクチャコアを統合するとともに、AMD TrueAudioなどの機能も統合。そのピーク演算性能は856GFLOPSに達するという。
スー副社長は、「Kaveriでは、GPUコアがAPUの47%を占め、856GFLOPSの演算性能のほとんどを、同GPUがまかなうことになる」とし、このGPUコアをCPUと密に連動して利用できるようにするHSA機能に対応することで、すぐれたパフォーマンスと省電力性を実現できるようになるとアピールする。
初のHSA対応APUとなるKaveriでは、CPUとGPUが仮想メモリを共有できるようにすることで、シームレスな連係を図れるようにする「hUMA (heterogeneous Uniform Memory Access)」に加え、GPUコアをCPUコアと同じように扱えるようにするタスク実行機能「hQ (Heterogeneous Queing )」をサポートすることで、アプリケーションが、汎用演算処理にもGPUを活用しやすくする。
hQについては詳細な技術セッションが同会議で行なわれる予定だが、その概要はすでに公開されている。
現状では、すべてのハードウェアはOSの管理下にあり、アプリケーションがハードウェアやメモリにアクセスする場合、ドライバを介してOSから許可されたリソースにしかアクセスできない。このため、アプリケーションがGPUを演算処理に利用しようとすると、OSのAPI(Application Program Interface)を介してドライバ経由でGPUにアクセスしなければならないため、レイテンシが大きくなる。そこで、hQでは、HSAソフトウェアスタック状でGPUアクセスを可能にすることで、アプリケーションがGPUで実行したいタスクキューをメモリ上に配置すると、GPUコアがドライバソフトを介することなく自動的に実行できるようにし、GPU利用のオーバーヘッドを軽減できるというものだ。
スー副社長は、2013年末にKaveriを出荷開始するとともに、1月14日にデスクトップ向けAPUを正式発表する計画を明らかにした。また、このデスクトップ版Kaveriでは、新たにSocket FM2+パッケージが採用されることも、公式に明らかにされた。さらに、同氏はノートPC向け製品や、エンベデッド、サーバ向けのKaveri APUも2014年内に順次投入していくとして、同APUを搭載したノートPCのエンジニアリングサンプルを公開した。
同氏は、KaveriをAMDのAPU史上、最もパワフルな製品と位置づけ、キーノートでは、Intel Core i7-4770KとNVIDIA GeForce GT 630を搭載したシステムと、KaveriベースのAMD A10システムのゲーミングパフォーマンス比較デモを披露した。
Battlefield 4を1920×1080ピクセル、Midium設定で動作させ、Intel+NVIDIAベースのシステムでは、最大でも15fps程度のフレームレートしか出ないのに対し、Kaveriベースシステムでは30fps前後のフレームレートを実現し、十分プレイできるパフォーマンスを実現するとアピールした。また、同氏は、このデモがDirectX 11版での比較であり、同社独自APIとなるMantleに対応したBattlefieldでは、さらにパフォーマンスが向上することにも言及している。
なお、AMDは856GFLOPSを実現するKaveriは、4コアCPU+512コアGPU構成で、それぞれの動作クロックはCPUコアが3.7GHz、GPUコアが720MHzであることを明らかにするとともに、その製品名が“AMD A10-7850K with Radeon R7 Series Graphics”を公開。今回のパフォーマンス比較で利用したAPUも同一構成のものだという。
また、続いてキーノートに登壇したHSAファウンデーションの議長も務めるフィル・ロジャース氏は、Kaveriの登場によりHSAの開発プラットフォームが整うことを受け、HSAファウンデーションとしてもHSAアプリケーションの開発環境整備を急いでおり、HSAシステムアーキテクチャに関するスペックを年末までに公開するほか、ランタイムやツールに関する仕様も年明けには公開される見通しであり、2014年初にはHSA開発プラットフォームをリリースする計画であることを明らかにした。これにより、ヘテロジニアスコンピューティングに対応したアプリケーション開発が、ようやく本格化することになる。
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