レビュー

調和と美しさを追求した「OS X Yosemite」林信行から見た最新OS Xの魅力(2/4 ページ)

OS X Yosemiteは、スマートデバイス時代におけるパソコンのあり方を再定義する歴史的OSになるはずだ。

見た目の心地よさを重視したOS

 OS X Yosemiteは、いくつかのレベルの心地よさを提供している。まず1つめが見た目のレベルでの心地よさだ。

 2年前、iPhoneもiOS 7の登場で、同じ見た目の変化を経験した。ハードウェアのデザインも手掛けるジョニー・アイヴ副社長率いる工業デザインチームが、製品の形だけでなく、ソフトの見た目もデザインするようになったのだ。

 あまりにも大胆な変化に、最初は酷評する声もあがったが、今ではかなり沈静化している。アイコンから余計なフリルを削ぎ落とし、シンプルかつ涼しい見た目に切り替えたiOS 7/iOS 8に慣れた後だと、iOS 6以前のアイコンを久しぶりに見て、重たく、古めかしく感じる人も多いことだろう。

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 接する時間が長いものは、できるだけ存在が希薄であることが望ましい。パソコンにおいてもスマートフォンにおいても、主役はアプリケーション(アプリ)の操作画面であって、それを表示するまでの橋渡しでしかないFinderやドック、ランチャーといったOS画面はできるだけ暑苦しく存在を押し付けないのが理想だ。

アプリケーションのアイコンデザインはフラットデザインに刷新された(ただし原稿執筆時点ではiWorkアプリは従来のまま。iWorkはYosemite正式版と同時にリリースされた)
Safariなどの操作画面もiPadのそれに近づいている。「すべてのタブを表示」モードでは、現在、手元のMacで開いているタブだけでなく、他のデバイス(含む同じiCloudのIDを使用しているiOS機器)で開いている全タブを一望できる
カレンダーなど標準付属アプリの画面もフラット化してスッキリ。ダッシュボード機能は標準でオフになり、その分、通知センターに色々なウィジェットが組み込めるようになった

 これまでのMac用OSでも、ほかのOSと比べると、かなりそうした配慮がなされていたが、OS X Yosemiteでは欧文フォントがすっきりとしたのに加え(日本語フォントはそのまま)、メニューやサイドバーなどの透明度が増し、アプリケーションのアイコンもiOSに準じたフラットデザインになり、かなり涼しさが増した印象だ。

 2001年の最初のMac OS X以来継承されているウィンドウ左上の赤、黄、緑の3色ボタンもより涼し気なフラットデザインになり、意味付けも変更された。緑の最大化ボタンが、アプリケーションが対応している場合はフルスクリーン化の役割を果たすようになったのだ。ここで細かいながらも気持ちいいのが、非対応アプリでも、このボタンを押すとウィンドウが画面いっぱいいっぱいまで広がるようになった点だ。これはMacと比べてWindowsのほうが心地よかった長所をうまく取り入れたポイントではないかと思う。

 対応アプリを画面一杯に広げ、作業中は書類に没頭して、切り替えるときはトラックパッドを3本指で左右に払ってアプリケーションも切り替える。このMacならではの“クセになる心地よい操作”が、標準アプリケーションの画面が紙のような薄さ、軽さを感じさせるフラットデザインになったことで(見た目だけのことかもしれないが)さらに心地がよくなった。

 OSが最適化され動作が軽快になったのも影響しているのだろうが、なんとも軽くて涼しい印象なのだ。

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