レトロガジェット談義で盛り上がった読者参加イベント「ITmedia ガジェスポ!」リポート:レアモノぞろぞろ(1/2 ページ)
トークセッションでは、「Apple Watch」と「Ruputer」などのレトロなスマートウォッチとの“意外な共通点”に言及した。
4月18日、ITmediaの会議室にて、読者参加イベント「ITmedia ガジェスポ!」が開催された。ITmediaで個人向け製品情報を扱う「PC USER」「Mobile」「LifeStyle」「eBook USER」「デジカメプラス」「ヘルスケア」の編集部が初めて主催するもので、今後も同様な読者参加イベントを定期的に実施する予定だ。
その第1回目のテーマは、温故知新。古くからのノートPCやモバイルデバイスを読者に持ち寄っていただき、その貴重なコレクションで、初期のモバイルコンピューティングを振り返ってみた。
Apple Watchと過去のスマートウオッチはどれだけ違う? どれだけ同じ?
イベントは、“最新のモバイルガジェット”である「Apple Watch」を取り上げ、Apple Watchと過去に登場した製品からスマートウォッチがどれだけ進化したのかをゲストの竹村譲氏と筆者が紹介するトークショーでスタートした。
竹村氏は、日本アイ・ビー・エムで、DOS/VやThinkPadの企画やブランド戦略などを担当して、日本におけるモバイルPC業界を立ち上げてきた。同時に、書籍や雑誌、Web記事などでモバイルコンピューティングやデジタルガジェット、そして、文具や時計などなどの情報を「ゼロハリ」のペンネームで紹介してきており、日本IBMを離れた現在も活躍している。
なお、筆者もThinkPad 220が登場した当時からユーザーグループ「携帯PC技術研究所」で、「kei_1」のペンネームで書籍や雑誌の執筆活動などを行ってきた(ITmedia オルタナティブ・ブログのブロガーも務めている)。
トークショーで取り上げた“レトロ”なスマートウォッチは、SIIの「Ruputer」、Fossilの「FOSSIL WRIST PDA」、そして、Swatchの「Swatch Paparazzi SPOT Watch」だ。1990年代後半から2000年代前半のスマートウォッチで、Apple Watchの先祖といっていい。
RuputerはOSがDOS互換の独自仕様で、PCとの接続は有線のほか赤外線通信を利用できた。開発環境も用意していて、当時のPC雑誌にアプリケーションを作る記事も掲載されていた。FOSSIL WRITE PDAは、当時世界中で多くのユーザーがいたPDA「Palm」をそのまま腕時計サイズに小型化したモデルだ。Swatch Paparazzi SPOT Watchは、データ同期の方法が変わっており、当時高校生などで利用者が多かった「ポケベル」を使ってデータを受信するワイヤレスWAN対応デバイスの先駆的存在だ。MicrosoftがSwatchと連携して開発していた。
実をいうと、この3機種の仕様や機能、その機能によって可能になる使用シーンは、2015年に登場したApple Watchと大差ない。自分で選んだアプリケーションをインストールして使うPCやPDA的な機能を持った新しい形の腕時計という“不変のコンセプト”という意味で歴史は繰り返しているようだ。
竹村氏は、ここで、FOSSIL製の「日時計」を取り出し、江戸時代には、日時計と方位磁石と矢立、そして、そろばんをコンパクトにまとめて携帯できる「旅道具」があったと紹介した。時計と計算機能と入力機能、そしてコンパスを内蔵した江戸時代のモバイルガジェットだ。
竹村氏は、自身が関わったプロジェクトで、IBMが2001年に発表した「WatchPad」について紹介した。WatchPadはLinuxが動くSmartWatchだ。その試作機は現在も動作するという。結局、IBMはWatchPadを製品化しなかったが、開発パートナーのシチズンが、当時のコンセプトの一部を同社のi:VirtM(アイバードM)シリーズの腕時計に反映したそうだ。
SmartWatchの歴史は、登場しては成功できず消えていった数々の機種のサイクルから脱することができていない。Apple Watchはそのサイクルから抜け出すことができるのか? それとも、サイクルから抜け出すことができずに消えていくのだろうか?
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