「OCZのM.2対応が遅れている理由」をTaipeiでCMOに聞いた:東芝との連携がもたらすメリットとは?(1/2 ページ)
ハイエンドメモリベンダーからハイエンドSSDベンダーにシフトを進めるOCZが、日本市場にもう一度攻勢をかけようとしている。その戦略を指揮官に聞く。
ベテランの自作PCユーザーにはハイエンドメモリベンダーとして有名だったOCZは、現在、SSDベンダーとしても注力している。2015年にはハイエンド向けに「Vaector 180」をリリースし、バリュークラスでは「Trion 100」をリリースしたばかりだ。
ただ、日本の自作PC市場における存在感は、以前と比べるとやや“薄く”なっている感もある。OCZとしては、日本を重要な市場と考えていて、この状況を打開したいという。そのために、何をしなければならないのか。米OCZ Storage Solutions マーケティング責任者(CMO:Chief Marketing Officer)のアレックス・メイ氏に話を聞いた。
東芝製第2世代TLCチップで信頼性を高めたTrion 100
──今回発表した「Trion 100」が想定するユーザーと利用場面は?
アレックス・メイ氏(以下、メイ氏) 東芝の第2世代A19ナノメートルプロセスルール TLC NANDチップを採用したモデルです。MLCよりも1値多くセルに格納できるTLCは、大容量化やコストを抑えるソリューションに向いています。Trion 100の場合はバリュー向けに展開する製品になります。
──OCZと東芝はTLCに慎重だったが
メイ氏 TLCも今では市場に浸透してきました。TLC採用製品をリリースする下地ができたといえます。もちろん、OCZはTLCでも高品質で高信頼のSSDを追求していきます。Trion 100はパフォーマンスと信頼性の面でベストバランスといえる製品に仕上がっています。
──TLCの信頼性を確保できた理由とは
メイ氏 ファームウェアはもちろん、コントローラなどSSDを構成するすべてで最適化を図りました。128Gバイトモデルではなく120Gバイトモデルとして展開することで、オーバープロビジョニング領域(セルが書き換え限界に達したときの予備として確保する領域)も確保しています。
──東芝製コントローラとは? 東芝はMarvell製コントローラを東芝ロゴで使用したことがある
メイ氏 今回も回路は台湾のメーカー製ですが、東芝が研究開発段階で関わっており、単なるリネームとは異なります。その上で、OCZもファームウェアの最適化を図っています。OCZのコントローラではなく東芝のコントローラとなりますが、すでに開発済みの東芝製コントローラを採用することで、コストを抑制し、開発期間を短縮できました。
OCZと東芝の融合で製品のクオリティが向上する
──SSDを製造するメーカーとしてのOCZと東芝の関係は?
メイ氏 同じグループではありますが別々の会社という位置づけになります。ただし、グループの一員となったことで、研究開発などは共同で行うことが可能になりました。また、常に最新のNANDチップを入手できるという点で、以前とは大きく変わりました。
OCZと東芝、それぞれに得意分野があり、それが融合してよりよい製品が作れるようになったことは大きな変化です。リソースを共有することも可能になり、例えば製造工場についてもいくつか共同で使用しています。これは、製品のクオリティレベルを東芝に合わせるという点で実に大きなメリットがありました。その一方で、OCZは東芝と比べると小回りがきくため、エンタープライズのような個別のニーズを拾い上げることができます。
OCZも独自のコントローラを持っています。元々PLX TechnologyやIndilinxとして知られていたメーカーです。現在、ASICは主にオックスフォードの旧PLXチームが担っており、ファームウェア開発は旧Indilixチームが担当する体制をとっています。このように各チームが融合したことで、現在は「OCZのコントローラ」としてアピールしています。
──東芝のSSDにOCZのコントローラを搭載する可能性は?
メイ氏 もちろんあり得ます。話としてはあります。だた、今のところ具体的には話せません。
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