短いくせに強力だ! 「Radeon R9 Nano」の15センチな高性能を試す:小さいけど可能性はでかい(1/3 ページ)
“Fiji”グラフィックスカードリファレンスデザイン「Radeon R9 Nano」は上位モデルのスペックとパフォーマンスでコンパクト化を実現。その実力を紹介しよう。
ココが「○」 |
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Mini-ITXに収まるサイズ |
Fury Xに相当する処理能力 |
ココが「×」 |
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実売価格高い |
製品供給十分か? |
FuryとFury Xとほぼ同じスペックでTDPを100ワット削減
Radeon R9 Nanoは、AMDの最新GPUアークテクチャ“Fiji”をベースとしている。FijiではHBMを採用することで基板のコンパクト化が実現したが、Fijiを搭載するグラフィックスカードレファレンスデザイン「Radeon R9 FuryX」では水冷で使うラジエータを搭載する必要が生じ、同じくFuji搭載グラフィックスカード「Radeon R9 Fury」では空冷のために基板サイズを大きく上回るクーラーユニットを搭載していた。
これに対し、R9 Nanoはシングルファンの空冷ユニットを搭載し、カードの長さを7.5インチから6インチへとさらに短くした。AMDでは、Radeon R9 Nanoを「コンパクトゲーミング」というジャンルにおいて最高の性能を狙うGPUと位置づけている。
製品名 | Radeon R9 Nano | Radeon R9 Fury | Radeon R9 Fury X | Radeon R9 290X |
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コードネーム | Fiji | Fiji | Fiji | Hawaii |
ストリームプロセッサ数 | 4096 | 3584 | 4096 | 2816 |
テクスチャユニット | 256 | 224 | 256 | 176 |
ROPユニット | 64 | 56 | 64 | 64 |
Z-Stencil | 256 | 256 | 256 | 256 |
最大GPUクロック(MHz) | 1000 | 1000 | 1050 | 1000 |
テクスチャフィルレート(GTexels/sec) | 256 | 224 | 268.8 | 176 |
ピクセルフィルレート | 64 | 64 | 67.2 | 64 |
浮動小数点演算性能(Tflops) | 8.19 | 7.2 | 8.6 | 5.6 |
メモリタイプ | HBM | HBM | HBM | GDDR5 |
メモリデータレート(Gbps) | 1 | 1 | 1 | 5 |
メモリクロック(GHz) | 500 | 500 | 500 | 1250 |
メモリ接続バス幅(ビット) | 4096 | 4096 | 4096 | 512 |
メモリ帯域幅(Gバイト/秒) | 512 | 512 | 512 | 320 |
メモリ容量(Mバイト) | 4096 | 4096 | 4096 | 4096 |
最大消費電力(TDP:ワット) | 175 | 275 | 275 | 290 |
補助電源レイアウト | 8 | 8+8 | 8+8 | 8+6 |
DirectXサポート | 12 | 12 | 12 | 11.2 |
OpenGLサポート | Vulkan | Vulkan | Vulkan | 4.3 |
そのほかAPI | Mantle | Mantle | Mantle | Mantle |
プロセス(ナノメートル) | 28 | 28 | 28 | 28 |
R9 Nanoの仕様は、Stream Processorが4096基、GPUクロックが最大1000MHz、メモリが4Gバイト HBMなど。Stream Processorの数は上位のR9 Fury Xと同じであり、一方で、GPUクロックはR9 Furyと同じ。メモリクロックはR9 FuryとFuryXと同じ500MHzだ。グラフィックスメモリはHBMを採用する。
こうしたスペックながら、TDPは100ワット低い175ワット、補助電源コネクタは8ピン1基(150ワット)に抑えている。スペックがほとんど同じなのにTDPを100ワットも下げたということはにわかに信じられないが、低電圧駆動できるチップの選別や、クロックのきめ細かな制御、といったところに秘密があるようだ。
今回はRadeon R9 Nanoのリファレンスデザイン(Radeon R9 Nanoもグラフィックスカードという形態でエンドユーザーに提供するが、グラフィックスカードベンダーによるオリジナルデザインのモデルも認めている)を用いて検証する。
先に紹介したとおり、カード長は6インチ(15.24センチ)と短い。Mini-ITXフォームファクタの一辺17センチよりもさらに短い。空冷ユニットの厚みが2スロット分あるため、Mini-ITXフォームファクタ準拠のPCケースでも、大きめのモデルを選ぶことになるが、その条件さえクリアできればコンパクトなゲーミングPCが実現できる。
また、175ワットというTDPも、コンパクトゲーミングPCを組む場合には都合がいい。最近では、SFX電源でも600ワットモデルが登場している。グラフィックスカードに175ワット、そのほかのシステムに150ワットを見積もっても、600ワット程度あれば十分に共有できる。あるいは、ストレージをSSDだけに抑えるなどの工夫をすれば、500ワット程度でも問題ないだろう。
映像出力インタフェースは、Furyと同じ3基のDisplayPortとHDMIという構成だ。もう1列のブラケット部分はスリットを設けており、これもFuryと共通する。水冷のFury Xではロゴを彫っていたが、NanoやFuryは空冷であるため、ここから排気する仕組みだ。
外部補助電源コネクタは8ピン×1基で、カードの後部に搭載しているため、ケース側には、カード長+2~3センチ程度のコネクタ部分を収るスペースが必要になる。ただし、2~3センチを加えてもMini-ITXフォームファクタのサイズを大きくはみ出すものではないから、Mini-ITXフォームファクタ対応PCケースであっても、長さが足りなくなるという状況は生じにくいだろう。
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