5万円切りの2in1モバイルPC――「HP Pavilion x2 10-n000」を試す:魅惑のサイズ感(3/3 ページ)
お手頃価格でありながら、10.1型で重さ約600グラムの2in1に新モデルが登場。鮮やかなレッドカラーに身を包む軽快マシンの実力は?
性能は価格なりだが必要十分
では、ベンチマークテストで性能を検証してみよう。Atom系プロセッサ搭載機と言うこともあり、ベンチマークテストの内容は同じAtom系プロセッサを搭載するスティック型PCのときと同じテスト内容にしている。
最初に総合性能を計測するPCMark 8(v2.5.419)のテストを行った。Homeのスコアは「1109」、Creativeのスコアは「933」、Workのスコアは「1147」となっている。スティック型PCと同じく、メールの処理や負荷の小さなWebサイトの閲覧には十分に耐えるレベルだが、フォトレタッチや動画編集などは向いていない。
続いて3DMark(v1.5.915)のスコアをチェックする。Fire Strikeについては仕様上、計測できないため掲載していない。結果はIce Stormが「15065」、Cloud Gateでは「1159」、SkyDiverが「437」となった。Atom系プロセッサ内蔵のグラフィックスコアということもあり、3D性能については低い結果となっている。
さらに、ゲームベンチマークテストとしては比較的軽いファイナルファンタジーXIV:蒼天のイシュガルド・ベンチマークとドラゴンクエストXベンチマークソフトの結果を見てみよう。ファイナルファンタジーでは「標準品質(ノートPC)、解像度1280×720ドット)」という緩い条件でもスコアは「803」「動作困難」という結果になった。
ドラゴンクエストXベンチマークソフトでは解像度648×480ドットまで落とせば、スコア「2068、やや重い」という状況にはなるものの、やはり3Dグラフィックスを必要とするゲーム等には向いていない。
最後にストレージ回りのテストをCrystalDiskMark(v5.0.2)で計測した。こちらもeMMC接続ということもあり、シーケンシャルリード/ライトともに他の製品との性能差はほとんど見られない。なおデバイスマネージャーから確認したところ、ストレージは「Hynix HCG8e」が使用されていた。
コストパフォーマンスに優れた2in1
タブレットPCとしてもノートPCとしても活用できる2in1タイプの製品は、これまでWindows PCになじんできたユーザーとは相性がよい。本体価格が5万円を切る安価な製品であるにもかかわらず、全体的な作りもしっかりしている。
キーボードの使い勝手も、タブレットPCの付属品と考えれば、十分以上の品質だ。また、タブレットPCとしては、フルサイズのUSB端子が使えるうえ、HDMI端子やUSB 2.0 Type-Cといった最新規格にも対応しているなど高い拡張性を持つ。Type-C規格も今後は充電機器やバッテリーなどの周辺機器が増えそうなので、そういう意味でも将来の運用互換性も期待できる。
一方、10.1型のノートPCとして考えると、拡張端子がタブレットPC側に集中している点は少し気になった。というのも、タブレット側に周辺機器や配線が集中すると、ケーブルなどに引っ張られて本体が倒れやすくなるためだ。価格的にいろいろ厳しいとは思うが、キーボードドック側にUSB端子を増やすなどの工夫をしてもらいたいと感じた。また、USB 3.0への対応もぜひ実現してほしいところだ。
とはいえ、本体価格を考えると、コストパフォーマンスは非常に高い。サブのお出かけ用PCとしては非常に優れた製品だ。Windows 8.1を搭載する本モデルは9月末で直販モデルの販売が終了(量販店モデルは在庫ありでまだ購入可能)したが、Windows 10プリインストールモデルの登場に期待したい。
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