ThinkPadを育てた“大和研究所”を“みなとみらい”で見た:アリゾナ砂漠の砂を使う実験ってなんだ!?(2/3 ページ)
レノボ・ジャパンが誇るThinkPadの開発拠点「大和研究所」。みなとみらいにあると聞いてはいたが……ってここ、オフィスビルの中じゃないですか!
扉を開けると……そこはガチな研究所だった
関係者以外も立ち入ろうとすれば立ち入れる2階のオフィスフロアを進んでいくと、実験フロアへの扉が現れる(もちろん施錠されている)。
扉は中間の小さな部屋を挟んで2重になっており、実験室に入る場合は中間の部屋にいったん入り、外側のドアを閉めてから内側のドアを開けて中に入るという工程がある。誰でも通行できるオフィスビルなだけに、研究所の内部を安易にのぞかれないようにする仕組みだ。
最初に訪れたのは「耐久設計ラボ」と呼ばれる部屋で、携帯電話の電磁波による影響や、精密機器の大敵である静電気に対する耐久性をテストする場所だ。
電磁波対策を施していないThinkPadに携帯電話と同じ電磁波を実際に当てると、トラックポイントの傾きセンサーが誤作動を起こしてカーソルがあらぬ方向にスクロールしたり、スピーカーから高周波系のノイズが発生したり、場合によってはHDDへのアクセスが停止してPCがシャットダウンしたりするという。
1996年に発売した「ThinkPad 560」でこの問題が発生してから、ずっとこのテストを続けているという。
静電気に関するテストでは、ガンタイプの放電ガンを使用してさまざまな環境を想定したテストを実施。静電気にさらされやすいキーボード部分などは、1万5000ボルトに耐えられる設計となっている。また、静電気が帯電してしまったUSB機器をThinkPadのUSBポートに差し込んだ場合でも、動作に問題がないように開発しているとのこと。
こちらはディスプレイの開閉試験。開閉を4日間ほどひたすら繰り返し、ヒンジ部分に通っているケーブルにダメージはないかを検証する。
天板部分に荷重をかける試験では、天板部分の至る所にピンポイントで荷重をかけていくものや、一番たわみが発生する真ん中を狙って行うものなど、さまざまなパターンを実験する。
「電磁波試験設計ラボ」では、外界の電波から遮断された部屋でThinkPad本体から発せられる電磁波の量を測定。周囲に与える影響をチェックする。
こちらは内蔵ファンの耐久試験に用いられる装置。ファンの長時間使用による劣化を検証するため、ファンを揺動(ようどう)させることによって、軸受部分のすり減りによる劣化を短い期間で再現することができる。この試験機はお手製だとか。
もはや工場にすら見えるこちらの部屋は「振動衝撃試験設計ラボ」と呼ばれる実験室で、リュックにThinkPadと他の荷物を入れたような状態を再現して耐衝撃性をテストできるという。担当者によれば、これらの大掛かりな装置をビルに入れるため、ビルの外壁を壊してクレーンでつり上げて納入したという。
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