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iPadの可能性――筑波大×附属桐が丘特別支援学校のアプリ開発ITと教育(2/3 ページ)

特別支援学校に導入されたiPadの活用事例からITの可能性を考える。

コラボプロジェクトで3つのアプリを開発

 筑波大学情報科学類は、肢体不自由者向けのアプリ開発プロジェクト「COINS-Project AID」のほか、筑波大学公式アプリ「iTsukuba」の開発、学内向けのプログラミング勉強会などを行う学部です。

 今回のコラボプロジェクトでは、まず桐が丘特別支援学校の生徒のひらめきからアプリを開発。アプリは実際に使ってもらい、改善点をフィードバックします。フィードバックと改善を繰り返し、ある程度完成したらApp Storeで公開します。この一連の流れでこれまで3本のアプリがリリースされました。

フィードバックと改善の繰り返しでよりよいアプリを作る

 因数分解の練習問題を解くアプリ「iPolyFactor」は、制作当初「ボタンのミスタッチが多い」「操作部と表示部が左右に分かれているので、利き腕によって操作性が悪くなる」などのフィードバックが寄せられました。そこでボタンの大きさを可変にし、操作部と表示部を左右入れ替えられるように改善したと言います。

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因数分解の練習問題を解くアプリ「iPolyFactor」

 生徒の熱い要望で実現したアプリもあります。ある生徒は記憶の保持が難しく、宿題の管理を苦手としていました。いつも母親に頼んで手書きのスケジュール表を作り、学習が終わると母にマスの色を塗ってもらっていたそうです。そこで宿題の進捗を自分で管理できるアプリの開発を要望しました。

 そして完成したのが、簡単な操作のみでスケジュール表を作成できるアプリ「Planner」。開発を担当した筑波大学情報科学類の三浦さんは、「マスの数とタイトルを決めるだけで表を作成できるよう着目しました」と工夫点を語ります。手書きの時と同じように、マスの詳細画面からは色を塗ることもできます。

アプリを依頼した生徒は「これまでできなかったことができるようになりうれしかった」と喜んだ Apple Store, Ginza (c) Kensuke Tomuro

 アプリを使うことで心境にも変化があったようです。依頼した生徒は「できることが増えてとてもうれしいけれど、自分でできることを今まで人に頼んでいたことに気づきました。自分でできることは自分でやれるようになりたいです」と語りました。

 ほかにも分数の四則演算が直感的にできるアプリ「FracCalc」がリリースされています。

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