インタビュー

“創る”ためのPC――ドスパラがクリエイター向けPCブランド「raytrek」にかける想い絵を描きたい!動画編集したい!DTMしたい!(2/2 ページ)

サードウェーブデジノス(ドスパラ)の展開するブランドと言えば、ゲーミングPCの「GALLERIA」が有名だが、そのゲームを“クリエイト”するためのPCも負けていない。クリエイター向けPCブランド「raytrek」の担当者に話を聞いた。

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構成はどうする?

―― サイトには著名クリエイターさんのインタビューも載っていますが、そういった方でしょうか? 具体的にはどういった意見が反映されているのでしょうか

林田氏 はい。業務として実際に使用されている方ですね。実際に使っていただいて、性能のブラッシュアップを図っています。クリエイティブワークには、さまざまなアプリケーションが必要です。そして、実際に使用して問題が起きないことが大前提です。プロの現場では、一つのアプリケーションで作品制作が完結することはまずありません。複数のアプリケーションやハードウェアと組み合わせる必要が出てきます。

 raytrekがトータルの制作環境として問題がないかどうかについて、実際にプロのクリエイターに使っていただくことがとても重要なのです。その上で、クリエイターさんのご意見を頂戴してパーツ構成などを反映しています。また、購入時の予算というのも無視できない部分ですので、業界相場はどれくらいが適切なのかについても参考にさせてもらっています。同様にWebサイトやサポートなどから購入を希望する方の意見も反映しています。

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―― Webサイトでの購入者はどのようなカスタマイズをされるのでしょうか

林田氏 raytrekはあらゆる部分がカスタマイズ可能なので、かなり自由にされていますね。細かい部分ですとファンを静かなものにしたり、メモリの増量をしたりといった部分です。2015年からはSSDのカスタマイズが大きく増えています。とくに大容量モデルの価格が下がってきたので、OS以外のアプリケーションや各種プラグイン、キャッシュファイルなどを高速なSSD側に入れられるようになったこと、これが人気の理由ではないでしょうか。


店舗独自のメモリ増量キャンペーンなども行われている

 ちなみにクリエイターさんの場合は、3年から5年くらいは使うことを前提にしている場合が多いのです。このため、自作ユーザーさんと違って、自分でケースの中を開けてメンテナンスするのはあまり望んでいませんね。そのためか、購入時のカスタマイズは、必要な機能を最初から全て搭載してしまうことが多いようです。

―― 中にはPCI-Express接続のSSDにする人もいるのですか

林田氏 マザーボード側できちんと対応可能になったのはSkylake世代からなので、また数は少ないです。それでも選択する人は出てきています。通常はコンパクトなM.2接続のSSDで十分なのですが、4K動画の編集のようにストレージを酷使する環境の場合は、冷却性能の観点から大型の拡張カードタイプを選ぶ方もいますね。

PCで創作する需要が広げたい

―― ピクシブユーザーのような、ハイアマチュアのようなユーザーに対する訴求は行っているのでしょうか

林田氏 まずはraytrekの認知度を高めることが重要だと思います。対策としては、同人即売会などに実機を展示してデモをしています。ゴールデンウィーク中も東京ビッグサイトで行われるイベント「SUPER COMIC CITY 25」および「COMITIA 116」で展示します。そこでデジタルでお絵かきするとこんな感じだよ、PCを選ぶときはこんなところがポイントに選ぶといいですよ、といった内容の冊子などを配布したりしています。


同人即売会などで配布している小冊子「お絵かきパソコンの選び方」。ドスパラを知っている人なら見慣れた作風のイラストが使われている

 イベントで感じるのは、何を買ったらいいのか分からないという人がとても多いんです。例えば、家にある古いPCでお絵かきに挑戦してみたら、重くてとても使い物にならなくてPCで絵を描くのを諦めてしまう方もいる。でもそれはソフトが悪いのではなく、必要なスペックの機材を使っていただければストレスなく描くことができるわけです。

 一方で、PCで2Dの絵を描きたいという要望に対して、CADなどに適したPCを提案するようなことは避けたい。オーバースペックになったり価格が高価になりすぎることがあるからです。小冊子を配布するのは、こんな目的ならこのくらいのスペックでいいんだよ、という部分をきちんと周知していきたいなと考えているためです。また、小冊子の中でraytrekブランドを大きく打ち出しているわけではなく、うちで買っていただかなくてもPCで創作する需要が広がっていけばいいかなと。


マンガを描くのに必要なソフトウェアや印刷するのに必要な解像度、ハードウェアなどの選択ポイントを紹介している

―― raytrekブランドの今後の展開や目標などがあれば

林田氏 最近ではPCでしかできなかったことが、どんどんスマートフォンでできるようになっています。ネット閲覧とかゲームなどですね。こうした需要がスマートフォンにシフトしているのは市場調査などでも明らかです。でもスマートフォンで楽しんだり見たりするコンテンツはどのようにして制作しているかを考えると、やはりPCであろうと。

 モバイルでの体験がリッチになればなるほど、そこに表示させるためのコンテンツを生み出すための高性能なPCが求められる。今後はクリエイター向けPCの需要は高まっていくだろうと期待しています。

 弊社のゲーミングPCブランド「GALLERIA」は、ゲーム向けPCとしての認知度は獲得できたと考えています。同様にraytrekも何かを創作するときに使うPCなら「raytrek」と皆様に思い浮かべていただけるようなブランドにしたいと考えています。

―― ありがとうございました

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