Appleが考えるこれからの教育――ティム・クックCEO単独インタビュー:林信行が聞く(3/3 ページ)
林信行がAppleのCEO、ティム・クック氏に単独インタビュー。AI時代の教育で大事なのは何か?
Appleの教材が生きるかは教員の手に委ねられている
Appleが作った新iPad、「Everyone Can Code」や「Everyone Can Create」といったカリキュラムが、これから日本の教育をどう変えるのかが楽しみでならない。
だが、その成否はAppleの努力だけでは決まらない。
クック氏はインタビュー中でも「(Appleが作る強力な道具だけでは)良い教育ができるとは思っていません。強力な道具が、教え子たちを奮い立たせる教員たちと結びつくことこそが大事なのです。その結びつきこそが世界を導き、人類を前進させる次世代を育みます」と熱弁している。
1時間にわたって行われた基調講演の最後も、今回はこんな言葉で締めくくられた。
「世界中の教員の方々へ。あなたがたが毎日行っているとても大事な仕事に対して感謝の気持ちを述べたい。あなた方は次世代のクリエイターやリーダーたちを育てています。私自身やAppleの全社員は、あなた方の働きぶりに奮い立たされています。今日はありがとうございました」――日本の教員の方々は、この言葉を胸に奮い立ってほしい。
あなた方は不確実な時代を生きる子どもたちを指導しなければならない。
そしてテクノロジー主導になりつつある世の中を、もう少し人間味のある世の中に軌道修正する大事な使命も背負っているかもしれない。
自らは学ぶ機会のなかったプログラミングやデジタル表現を教室で活用しなければならないというプレッシャーを感じているかもしれない。
実はiPad登場後、「ただタブレットを導入すれば教育が良くなる」という業者に勧められるがままにタブレットを導入して、先生に無駄な負荷をかけた割には、結局、ほとんど生かせていない学校を筆者はたくさん知っている。それだけに「ただテクノロジーを使えばそれで良い」という教育には正直、ずっと大反対の立場にいた。
しかし、「Everyone Can Code」などAppleの道具を使って教育を行っている教員たちの中には、教育において本当に大事なのは何かをしっかりと考え、議論し、試行錯誤をしている人たちが大勢いて、彼らはアップルストアのイベントやiOSコンソーシアムの「文教ワーキンググループ」などで日々積極的な情報交換や議論を重ねている。
そうした先生同士の良い結合がある、ということ1つをとっても、Apple提供の教育ツールに目を向ける価値は十分にあると思う。
関連記事
MacBook Airが変えた世界の風景
林信行氏による「MacBook Air」レビュー、待望の続編。新しい9.7型「iPad」の使い心地は? 林信行が動画で解説
Apple Pencilに対応した新「iPad」を早速入手。林信行のファーストインプレッション。iPad Pro 10.5とSurface Proを比較 人気プロ絵師によるお絵描きレビュー
旬なデバイスのお絵描き性能をrefeia先生が確かめる。描き味の簡単なインプレッションをお願いしたらなぜかガチレビューに。Apple Pencilに対応した新しい9.7型「iPad」発表 3万7800円から
Appleが新しい9.7型「iPad」を発表。32GBモデルと128GBモデルをラインアップ。Apple Pencilに対応し、プロセッサは「A10 Fusion」にバージョンアップした。iPad Proでライフスタイル改革! 仕事とプライベートを効率化する
iPad Pro活用術を紹介。学生・教職員を対象にiPadとBeatsの同時購入でキャッシュバックキャンペーンも実施中。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.