新iPadの特徴の1つは、Apple Pencilに対応したこと。というと、上位モデルで3万円以上の価格差があるiPad Proと比べてどうなのかが気になるところだろう。
実際にApple Pencilでの描き心地を比較してみると、最新のiPad Proは画面の書き換えが120Hz、つまり1秒に120回。これに対して新iPadは、前の世代のiPad Proと同じ60Hzだ。
前世代のiPad Proでも多くの人がApple Pencilの書き味に感動していたことを考えると十分に滑らかな描画を実現してはいるが、標準のノートアプリでも、太めのインクのペンなどで描いたときには、描画の追従性に差が出る。
とはいえ、十分慣れで補えるレベルの追従の遅れ、いや逆にiPad Proの方が高価なだけあって描き味が滑らか、というのが正確な表現かもしれない。実際に両モデルをスローモーション撮影して比較したところ、この違いは映像で確認できた。
iPadでも十分な描き味だが、さらに上の描き味を追求するなら+3万円のiPad Pro、なかなか良い製品の差別化ではないかと思う。
iPad Pro(左)と新iPad(右)。画面をよく見るとiPad Proの方は白の色が少し温かみを帯びている。これは環境光にあわせて色味を自動的に変えるiPad Proのみの機能の影響で、筆者が海外取材先のホテルの暖色系ライトの下でこの撮影を行ったからだ。こうした機能の有無も標準モデルとProモデルとの良い差異になっている
ちなみにiPad Proは、この描き味や動画表示の滑らかさに加えて、色再現性の正確さ、そして処理性能の速さがある。定番の速度計測アプリであるGeekbench 4を使ったテスト、特にGPUの威力が生きるMETALという技術を比較するテストではiPad Proのスコアが新iPadの2.3倍になるという大きな差が出た。
決して新iPadが遅いわけではなく、通常のアプリであれば十分な性能が出るが、映像編集などを行うときに重要な処理では、これだけの性能差がある、という数値だと思ってもらえばいい。実際に体験する性能の差は、使うアプリの種類などによって変わるのでその点も留意してほしい。
両モデルの違いは性能差だけではない。iPadとiPad Proでは持ったときの質感の違いにも差がある。画面サイズ、本体サイズがひと回り小さいというのもあるが、それに加えて新iPadは持ったときにすぐに分かるほど厚みがあり、背面の梨地加工も汗など汚れがつきにくそうなざらざら感を感じる質感になっている。これに対してiPad Proは繊細な梨地加工でさらさら感といった印象の手触りなので、購入を検討する際にはそこも比較してみてほしい。
とはいえ、新iPadの質感は比較をすれば差が出るが、単体で見れば決して安っぽいわけではなく、3万円台の製品とは思えない品格を感じさせる。この価格で、これだけのことができ、しかも、おそらくiPadのことだから1台買えば2〜3年は満足して使い続けられるという価値を考えると、新iPadはかなり良い買い物ではないかと思う。
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