VR×フィットネスバイクを体験してみた VRゲームで運動を新たな「エンターテインメント」に
VRデバイスをかぶりながらエクササイズする未来が来た。
汗を流し、体を鍛えられるスポーツジム。「健康のために」と運動を始めても、義務感だけではなかなか続かないもの。スポーツジムやエクササイズマシンメーカーは、運動を飽きさせないため、ユーザーの目の前にコンソールを配置し、映像や音楽を流すなど工夫をしている。
そんな中、エクササイズバイクにVRデバイスを導入し、新たなエンターテインメントを提供しようという動きが出てきた。
エクササイズマシンメーカーの大手、ライフ・フィットネス・ジャパンが、日本エイサーと協業し、VR映像を楽しみながらエクササイズバイクをこげる「VRフィットネスキット」を開発したと7月12日に発表した。
装置は、エクササイズバイクの周りにPC、モニター、VRデバイス、ヘッドフォンがあるといった見た目。エクササイズバイク以外の周辺機器がVRフィットネスキットとして発売されるもので、約80万円(税別)で主に法人向けに同日から受注生産する。
やってみた 取材であることも忘れて全速力に
実際にVRデバイスをかぶってバイクをこいでみると、こいだ速度に応じてゲーム内の一人称視点のアバターが前に進む。上半身ごと左右に振るように、頭を平行移動するとゲーム内のアバターも左右に動く。
バイクのハンドル中央にはボタンが備え付けられており、このボタンを押すことでゲーム内で簡単なアクションができる。
例えば、乗馬ゲームであれば先行する馬に対し縄を投げたり、戦車ゲームであれば的に対して砲撃したりといったことが可能だ。
サイクリングゲームでは、こいでいる速度が目の前に表示される他、サイクリングしている他のNPCを追い抜いていけるため爽快感を味わえる。
実際に体験すると、ついつい取材であることも忘れて全速力でこいでしまうほど各ゲームに熱中してしまった。
フィットネスを新たなエンターテインメントへ
ライフ・フィットネス・ジャパンが作るマシンのジム導入率は約30~40%で、「業界最大手」だと同社の中河勇真マネージャー(ビジネスデベロップメントセールス)はいう。
「フィットネスのトレンドはテクノロジー。スマートフォンアプリやコンソール、ウェアラブルデバイスといったデバイスがフィットネスの付加価値を生み出している」(中河氏)
業界の先端を走るライフ・フィットネス・ジャパンとして、どんなテクノロジーと組み合わせることでユーザーに新たな「楽しみ」を提供できるか。そんな検討の結果、出た答えがVRだったという。
協業する日本エイサーの谷康司部長(プロダクトマーケティングマネージメント部)は、VRフィットネスキットを実際に体験してみた感想をこう話す。
「私自身、健康のために何度かスポーツジムに入会することがあったが続かなかった。義務感だけで運動すると飽きてしまう。しかし、VRフィットネスキットはやってみると面白い。気付いたら20分が過ぎて、自分は汗びっしょりになっている」(谷氏)
なぜフィットネスメーカーと日本エイサーが協業?
ライフ・フィットネス・ジャパンと日本エイサーが協業に至った理由は大きく2つある。
一つは、日本エイサーのVRヘッドマウントディスプレイ「Windows Mixed Realityヘッドセット」にヘッドトラッキングのための外部センサーが不要であること。例えばHTCの「Vive」は動作に2つの外部センサーを必要とするため、ジムに複数台置かれることを想定するエクササイズバイクには向かない。一方Windows MRであれば、ヘッドトラッキングのためのセンサーを内蔵するためその問題を解決できる。
もう一つは、2社ともにサポート体制が充実しているということ。ライフ・フィットネス・ジャパンは販売後のサポートを重視しており、特にVRのような新しいデバイスを導入した場合は、導入先で不具合が出ると同社だけではVRデバイスの専門的な部分についてカバーしきれない恐れがある。そのようなときに、専門的にサポートができる日本エイサーの体制に魅力を感じ、協業に至ったという。
中河氏は「総合型のスポーツジムはもちろん、メディカルフィットネス、ホテル備え付けのフィットネス、24時間営業型のフィットネス、またフィットネス以外のVRアミューズメント施設など、幅広いチャンネルにVRフィットネスキットを提案していきたい」と語った。
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